JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆【お詫び】一昨日、昨日は寝てしまいました。 最近たるんでいまして、1ヶ月に何度か、木曜日にどっと疲れが出て、更新できないことがあります。 ◆記事:円急伸、一時81円72銭に 米雇用者数が予想超え減少--1995年4月以来の高値(日経 2010/10/8 23:07) 8日午前のニューヨーク外国為替市場で円相場が一段高となり、一時1ドル=81円72銭まで上昇した。 ◆コメント:折角日銀が金融緩和したけど、世界中が金融緩和政策を取ったら、同じ事ですよね。 日本銀行が10月4日、5日と金融政策決定会合を開き、ゼロ金利政策を取ることと、追加的な資金供給の為の基金を 日本銀行:2010年10月 5日 「包括的な金融緩和政策」の実施について(13時38分公表) (PDF, 177KB) 遂に5年ぶりにゼロ金利政策を採用することと、実質的「量的緩和」を組み合わせました。 翌日、首相や財務相からは、「日銀の姿勢を評価する」旨の発言が相次ぎました。 ところが記事に書かれているとおり、円高は止まりません。日本が金融緩和を実施する、と発表したら、 普通は、外為市場でドル円相場は円安に動く筈です。 何故そうならないか、というと、金融緩和を行って円安に振れるためには、ドル金利は動かないけれども、 円金利は下がる、つまり、金利差の縮小によるものです。 ところが今は、アメリカも景気が回復せず、あの大変な支持を得て(無論一部には不満分子が存在していましたが) 大統領に就任したオバマ氏ですら、不支持が支持を上回っていて、それは経済が好転しないこと、が理由になっています。 詳しく書くと長くなるので簡単に括りますが、米国が発表する経済指標や、不動産価格の動向を見ていると、 リーマン・ショックの根本的な原因となった、サブプライムローン問題が後を引きずっているのです。 一番新しい指標は、日本時間8日(金)21時半に発表された、米国雇用統計です。 米国雇用統計で注目されるのは、失業率自体よりも、非農業部門就業者数(nonfarm payrolls)の増減です。 農業部門の雇用者数は、景気の影響をあまり受けないので、「非」農業部門の雇用状況に注目するのです。 昨夜、事前の予想は、「前月比マイナス5,000人前後」でしたが、実際の統計は「前月比マイナス95,000人」 でした。アメリカの雇用統計は毎月第1金曜、米国東部時間午前8時30分に発表される(今月のように、第1金曜が 月初の場合は、翌週になります)ことは、株、為替、債券、金利、商品、その他あらゆる世界の市場関係者の常識で、 世界で最も注目される経済指標の一つです。この影響は大変大きい。 FRBが次のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で利下げするであろうことは、 雇用統計を待つまでもなく予想されていたのが、昨日はほぼ「確信」に変わりました。だから、市場は先取りして、 NY株式市場は、「金融緩和期待」により上昇して終わりました(実際に発表されたら、利食いで売られるはずです)。 この他、EU諸国も景気が悪いし、アイルランドは、ギリシャのような財政危機に陥る恐れがある。 日本の輸出企業にとって、円高よりも円安の方が好ましいのと同様、アメリカ・ヨーロッパの輸出企業にとっては 自国通貨安の方が好ましい。だから、日本が単独で円安を目指して介入するな、という声が海外から出ていますが、 皆、勝手に自国のことばかり考えて発言しているだけなのです。こうなると、全世界的に金融緩和で金利を下げて、 さらに市場介入して、自国通貨安を目指します。「世界通貨戦争」とかマスコミが書いているのは、そういうことです。 しかし、論理的に考えて、全ての国にとっての自国通貨安というのはあり得ないので、言い争っても、終わりが無い。 外需に依存するから良くないので、日本を例にとれば、輸出に頼らず、国内の需要(内需)を喚起するべきだ、 といわれます。日経の「マーケット総合欄」に「大磯小磯」というコラムがあり、ここは社説よりも自由に経済記者か 編集委員が自説を展開するのですが、「政府は内需拡大に努めるべきだ」というところまでしか書かず、 では、そのためにどうすればいいのか?を書きません。 ◆所得税・地方税・消費税を(暫定的にでも)減税するべきです。 政府は8日、追加経済対策で、5兆500億円の財政支出を閣議決定しました。 (1)雇用・人材育成(2)成長戦略の推進・加速(3)子育て・医療・介護などの強化(4)地域活性化、社会資本整備、中小企業金融支援 となっていますが、本当に効果があるか、やってみないとわかりません。 そもそも国家のおカネを特定の経済分野に焦点を絞って、支出するというのは、本来「計画経済」で、 日本は、社会主義国ではないのですから、どうもピントが外れているように思います。 政界・財界・学者のだれも口にしないのが不思議ですが、私は以前から書いているように、 いくら、日銀が金融緩和しても、市場に資金が不足し、銀行が貸し渋るから不況なのではなくて 長らく不況で家計の支出が滞っている。GDPの約60パーセントを占めるのは、個人消費なのです。 法人税を下げても、それが、従業員の給与の増加に繋がるとは思えません(会社はコストを削りたいのです)。 一時期、今よりも財政が悪化したとしても、暫定的に所得税・地方税・消費税を減税することにより、 家計の可処分所得を増やすことが、内需を喚起する為に最も直接的に効果がある対策だと思います。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年10月08日(木) 記者会見開放の問題(9月19日)の続き。首相の統率力。
JIRO
|HomePage
|