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2007年10月08日(月) |
「『海自給油は憲法違反に当たらず』首相、衆院予算委で反論」←違憲です。 |
◆記事1:「海自給油は憲法違反に当たらず」首相、衆院予算委で反論(10月9日13時39分配信 読売新聞)
衆院予算委員会は9日午前、福田首相と全閣僚が出席し、福田内閣発足後初の基本的質疑を行った。
福田首相はインド洋における海上自衛隊の給油活動継続問題で、小沢民主党代表が「憲法違反」と主張していることについて、
「武力行使に当たらず、非戦闘地域に限って行動している。決して憲法違反にあたるものではない」と述べた。
高村外相は「国連決議に基づき、国際社会の総意を受けてやっている」と強調した。
石破防衛相は海自が提供した燃料が目的外のイラク作戦に「転用」されたとの疑惑について、
「米国に問い合わせて『それ(転用)はない』と確認を得ている。
(米側の説明が)何によって裏付けられるか精査しない
といけない。
可能な限りの情報開示をしたい」と述べた。」
◆記事2:集団的自衛権行使に慎重=領収書全面公開は消極的−衆院予算委で福田首相(10月9日17時1分配信 時事通信)
衆院予算委員会は9日午後、福田康夫首相と全閣僚が出席して基本的質疑を続行した。
首相は、集団的自衛権の行使について「どこまで憲法解釈上許される国際活動なのかの扱いは十分に慎重でなければいけない」
と述べ、行使容認に慎重な考えを表明した。
政府が憲法解釈で禁ずる集団的自衛権行使に関し、安倍晋三前首相は解釈見直しによる行使容認に積極的だったが、
首相は安倍氏との立場の違いを改めて明確にした。公明党の斉藤鉄夫政調会長への答弁。
政治資金透明化の問題では、斉藤氏が領収書添付の上で全支出を公開対象とする同党案に理解を求めたのに対し、
首相は「全部公開すると、政治活動の自由が保障されるか心配している」と述べ、全面公開に消極的な考えを重ねて示した。
◆コメント:テロ対策特別措置法とは
2001年9月11日の、所謂「同時多発テロ」の後、アメリカは確たる証拠がないのに、
これはテロリスト組織「アルカイダ」のしわざだ、と断定した。
そして、アルカイダをかくまっているのはアフガニスタンのタリバン政権である、とこれも確たる証拠がないのに、断定し、
「報復の為に」アフガニスタンに対して戦争を始めたのである。
当時の小泉純一郎内閣総理大臣は「対テロ戦争」を支持する意思を表明し、アメリカを後方支援するため、テロ特措法案を
国会にて強行採決し、2001年11月2日にテロ特措法が公布された。
但し、これは、2年の時限立法(期限付きの法律)だった。
同法は2003年に2年延長され、2005年、2006年にもそれぞれ1年延長された。その期限が到来するのが11月1日である。
これまでは、衆参両院で自公与党連合が過半数を制していたために、大した議論もなく、あたかも定期預金の自動継続
でもするかの如く延長が可決されていたが、今年になって参議院で野党が過半数を占め、
従来のように簡単に延長できそうにないというので、与党が焦っているのである。
◆テロ特措法が定める自衛隊の活動内容。
それは、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法
(←これが「テロ特措法」の正式名称)の、第三条で決められている。分かりやすく書き直すと、
- 海上自衛隊の補給艦によるインド洋・アラビア海でのアメリカ海軍艦艇等への洋上燃料補給
- 航空自衛隊の輸送機による日本国内米軍基地およびグアムなど海外基地間の物資・兵員輸送協力
- 捜索救難活動
の三種類であるが、読めばお分かりの通り、今、専ら議論となっているのは(1)である。
◆テロ特措法の問題:1.アメリカの行動
上述の通り、アメリカは911テロの後、殆ど即座にアルカイダをテロリズムの実行者と断定し、それをかくまっているのがタリバンだ、
とこれも根拠薄弱のまま断定し、一方的に「報復」と称して攻撃を仕掛けたが、国連憲章ではこのような、武力行使を容認していない。
国連が容認するのは、
- 自衛権を行使する場合(国連憲章第51条)
- 国際的紛争に関して国連安全保障理事会が、平和的措置が無効で軍事的措置を取る決議をした場合(同第42条)
に限られる。
米国政府、日本政府がアフガニスタン戦争を正当化するために持ち出すのは、911テロの翌日、
国連安全保障理事会が採択した国連安保理決議 1368であるが、
この全文をよく読んで頂きたい。特に、5番目に掲げられている文言
2001年9月11日のテロ攻撃に対応するため、またあらゆる形態のテロリズムと闘うため、国連憲章のもとでの同理事会の責任に従い、あらゆる必要な手順をとる用意があることを表明する。
「あらゆる必要な手順をとる用意がある」と述べているのである。武力行使を示唆するものの、武力の「ぶ」の字も出てこない。
また、あらゆる手段をとる「用意がある」のであって、あらゆる(武力行使も含む)手段をとることに決めたのではない。
このように、国連憲章で示された一般論からも、個別の決議である安保理決議1368からも、米国のアフガニスタンに対する武力行使は容認できない。
さらに念を押すならば、1970年、国連総会で採択された決議2625がある。
これは、一般に「友好関係原則宣言」と呼ばれている。
この、決議2625では、
「国連加盟国はあらゆる政治的問題についてそれを解決するためには武力行使を慎まなければならない」
こと、また、復讐の為の武力行使を禁止している。
アメリカはアフガニスタン戦争をはっきりと「報復だ」と宣言しているので、明らかに決議2625に違反している。
◆テロ特措法の問題:2.日本の行動
日本国憲法第9条は集団的自衛権(自国が攻撃され又は、侵略されなくても、自国と密接な関係にある他国が攻撃・侵略を受けた時、これを自国に対する攻撃と見なし、反撃する権利)
の行使を禁止している、というのが、日本政府の公式見解であり、今まで変更されていない
(その見解を変えようと、安倍晋三前首相が諮問会議を開催していたが、安倍が辞めたから、何もなくなったと同然である)。
集団的自衛権の行使を禁止するからには、なるべく範囲を広く取らなければ意味がない。
後方支援は、日本が弾をぶっ放す訳ではないが、武力行使の一部を成すものと解釈されるべきである。
そして、アメリカに対する後方支援は、アメリカ自身が
「進行中の戦闘作戦(ongoing combat operation)に対する歴史上初めての支援」(アメリカ国防総省報告「同盟国の貢献」・2002年6月)
と「高く評価」しているぐらいである。「高く評価」されて喜んではいけない。
「戦闘状態」にあるアメリカが「後方支援されている」ことを認めているのであるから、
テロ特措法の給油活動は、集団的自衛権の行使、すなわち、違憲と考えるべきである。
記事2によれば、福田康夫内閣総理大臣は安倍晋三氏と異なり、集団的自衛権の行使には慎重な姿勢であるという。
しかし、テロ特措法に基づく、インド洋上における海自の他国艦船への給油活動が「違憲ではない」というのでは、
安倍と変わらない。
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