JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆わずか36歳で亡くなってしまった、天才ホルン奏者です。 デニス・ブレイン(1921-1957)は、イギリスのホルン奏者です。 モーツァルトは、早死にしたから実力以上の歴史的評価を受けているのだ。 と考える人はいないです。本気でそのように主張する「自称・クラシック通」がもし、 あなたの前に現れたら、もうそれだけで、「ああ、こいつは馬鹿だ」とお考えになって構いません。 デニス・ブレインも同様です。人生の長さの問題ではない。勿論もっと長生きして欲しかったけど、 とにかく、非の打ち所がない。これほど完璧にホルンをコントロールできるホルン吹きはいません。 先は知りませんけど、少なくとも後にはいない。 尤も、好みはあるかもしれません。 イギリスのホルン吹きと、旧東ドイツのホルン吹きでは、明らかに「ホルンの音」の観念が全く違う。 フランスやロシアのホルンもまた、ちょっと違う。 デニスのように、絶対にビブラートなどかけず、ちょっと聴くと、何の小細工もせず、 真っ直ぐに吹くホルンよりも、シュターツカペレ・ドレスデンの首席ホルン奏者だった、 ペーター・ダムの方が好みだ、という人がいます。 それは、いいのですが、好みとは別に、 デニス・ブレインほど上手いホルンはいない。 というのは、殆ど「客観的事実」と断言しても構わないと思います。 知ったかぶりはこの辺でやめときます。 ◆モーツァルト ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K.447全曲をどうぞ。 デニス・ブレインのホルン協奏曲のCDと言えば、カラヤン指揮=フィルハーモニア管弦楽団 この演奏がそんなに上手いの?普通に吹いてるだけじゃん。 と思いませんでしたか? それがこの人の天才たる所以です。如何なる楽器や、他の人間のやることでも同じですが、天才は 難しいことをあたかも非常に易しいことのように聴かせて(見せて)しまうのです。 こんなのなら明日から、ホルン習い始めて、半年ぐらいで自分も吹けそうだな。 という錯覚に陥ります。これこそ天才だけがなせる業です。 曲の途中でした。 モーツァルト ホルン協奏曲 第3番変ホ長調 K.447 第2楽章 Romance:Larghetto Horn Concerto No. 3 in E flat major, K. 447: II. Romance: Larghetto どの音域の音でも、完全に鳴りきっているのです。発音の際に余計な雑音は入らないし、 高い音から低い音まで、完璧に安定した、完成した音が出ます。 続いて、終楽章です。 モーツァルト ホルン協奏曲 第3番変ホ長調 K.447 第3楽章 Rondo:Allegro Horn Concerto No. 3 in E flat major, K. 447: III. Allegro あまりにあっさり吹いてしまうので、「それで?」と皮肉っぽくおっしゃる方もいます。 本当はですね。並のホルン吹きによる演奏と比較すると、デニス・ブレインの偉大さがよく分かるのですが、 それをやったら、他のホルン奏者に対してあまりに失礼ですから、止めときます。 うーん。もう少し音質が良ければなあ。レコードのときはこんな霞がかかったような再生音じゃなかったのですけどね。 最近の人が「デニス・ブレイン」と言ってもあまり興味を示さないのは、LPレコードの良い音(この録音に関して、ですよ) で聴いたことが無い為ではないか、と思うと残念です。 残念なまま終わりにしたくないので、「続・デニス・ブレイン」を書くかもしれません。 お付き合い頂けると幸いです。 余談ですが、N響の首席ホルン奏者を長く務めた名手、故・千葉馨氏(1928-2008)は、 デニス・ブレインのお弟子さんです。 兵庫県立明石南高等学校の放送部が、2004年10月4日、千葉馨氏にその頃の話を電話インタビューした記録を 千葉馨インタヴュー(2004年10月4日)で読むことができます。 大変に興味深いです。 それでは、皆様、良い週末をお過ごし下さい。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年09月03日(木) 「日本音コン:ピアノ部門 44人が第2予選へ」←第1予選を何人が受けたと思いますか?
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