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JIROの独断的日記
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2010年02月06日(土) 【音楽】オーケストラを本気にさせる指揮者

◆すいません。愚息が受験で、ちょっと気もそぞろなんです。

息子が受験ぐらいで、天下国家を論じられなくなるほど、情けない自分とは思いませんでした。

あんまり題材を見つける気にならないのです。先週は小沢関係が私にとっては一大事で、

次のうごきまでだいぶありそうですし、景気指標はめぼしいものがない。

トヨタのプリウスリコールとか、パナソニックやソニーの決算がありましたが、株をやっている方以外は

あまり関心無いでしょう。

とか何とか書きましたが、これはやはり言い訳です。

どうせ、現役では、大した学校には(具体名を出すと問題になるので書きませんが)合格しそうにない。

ということは、今年は浪人で来年の今頃、「今年こそは、どっかにひっかかってくれよ」と祈ることに

なっているでしょう。小骨が喉に引っかかったような1年が続くのかと思うと少々憂鬱で、

時事問題を書く気になりません。もう一日ご容赦を。


◆【音楽】オーケストラを本気にさせる指揮者

私の学生時代や20代には、まだ、巨匠が大勢ご存命でしたが、気が付いたら自分が今年50になるので、

当たり前なのですが、「巨匠」の名に値する人が殆どいなくなりました。

皮肉なものです。日本のオーケストラのレベルは、若い方昔を御存知ないから分からないでしょうが、

びっくりするほど向上しているのです。

そうしたら、呼ぶべき巨匠がいなくなっていた。なかなか上手くいきません。


巨匠とは何かというと、かつて岩城宏之さんがカラヤンから指揮のレッスンを一度だけ受けたときに言われたことに、

ヒントがあります。岩城音楽教室に、半世紀も昔のエピソードが書かれている。

カラヤンは岩城さんに向かって、

君はものすごく表現しているが、君が振ると、ときどきオーケストラから汚い音が出る。力を抜きなさい。

と言われたと。そして、
(オーケストラを)ドライブするのではなく、キャリーするのだ。

とも、カラヤンは言ったそうで、オーケストラが弾こうとしているのを無理矢理かき回してはダメらしいのです。

しかし、それでは指揮者が全く何もしないで良いかといったら、それではそもそも指揮者は不要だ、ということになります。

似たようなことは他の本にも書かれています。赤川次郎のばっくすてえじトーク(音楽之友社)で、

赤川次郎氏が、当時まだベルリン・フィルのコンサート・マスターだった安永徹氏と対談していますが、

赤川氏がカラヤンのドキュメンタリービデオを見ていたら、カラヤンは自家用ジェット機を操縦しましたが、

始めに教官に言われたことは、
あなたにとって一番大切なのは、飛行機が飛ぼうとするのを邪魔しないことだ

と言う言葉だったが、カラヤンは「オーケストラの指揮も同じで、オーケストラの邪魔をしてはいかんのだ」と言っていた、
と述べたところ、安永徹さんは、
それは、非常に本質を突いていますね。真髄ですね。

と答えています。

これは、何となく観念的にしか私には分かりません。要するに指揮者という言葉の「指揮」が

ミス・リーディングなのですね。指揮者は「指揮官」ではない。

指揮者が師匠でオーケストラが弟子でもない(一人一人のプレーヤーは何十年も音楽を勉強してきたプロなのですから)。

ただ、言えるのは、名指揮者は、オーケストラをドライブする、支配するという様子は見せないが、

オーケストラが弾きたいように弾いたら、実は指揮者の思うツボ、に嵌っていたというような、うーん。

上手く言えませんが、そう言う境地が名指揮者に共通するようです。


◆知らない間に、オーケストラが夢中になっているのがよく分かる演奏の映像。

以前載せた映像もありますが、ご容赦。

小澤征爾さんが2008年1月、カラヤン生誕100周年記念コンサート(何度か行われたようです)で振った

チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第三楽章です。

小沢さんは大暴れしてませんけれど、オーケストラの方が指揮者の意図を先取りするように、

エキサイトしているのがよく分かります。


小澤征爾指揮:ベルリン・フィルハーモニー、チャイコフスキー交響曲第6番より第三楽章。







次は、既に故人ですが、カルロス・クライバー。これは晩年、2年ぐらい姿を見せず、

ある時急に、「ウィーン・フィルでモーツァルト交響曲第36番「リンツ」、ブラームス交響曲第2番を振る」という発表があり、

チケットを求めてウィーンでも大騒ぎになったコンサートだと思います。VHSとして売られていました。2年ぶりに突如登場したのですが

2年前にウィーンフィルを振った時も、全く同じプログラム。好きなときに好きなオーケストラで好きな曲だけを振る、

というような我が儘が許された、最後の指揮者でしょう。

ウィーン・フィルのプレイヤーが、これほど露骨にエキサイトして弾いている映像というのはあまりないです。

カルロス・クライバー指揮:ウィーン・フィルハーモニー、ブラームス交響曲第2番より第四楽章。







最後。クラウディオ・アバド。1990年から2002年まで、ベルリン・フィルの音楽監督でした。

カラヤンの後任ですから、非常にプレッシャーが有ったと思いますが、見事に才能を開花させました。

私はアバドを初めて見たのは、カール・ベームの副指揮者としてウィーン・フィルと来日したときだと思います。

そのときは、失礼ながら、これほど才能ある人には全然見えず、口を半開きにした、はっきり言って少々マヌケに見える

表情で、両腕をずっと対照に同じ線を振り続けるだけで、あたかも「ラジオ体操」のようで「なんじゃ?こいつは?」と

思ったことをはっきりと覚えています。所詮、私のような凡人には、優れた才能は見抜けないことがよく分かります。

それはさておき、ご覧頂くのは、アバドが1999年のベルリン・フィル恒例、ジルベスター(大晦日)コンサートで、

ベートーヴェンの交響曲第7番を振った時に映像です。第1コンサートマスターが安永徹さんです。

クラウディオ・アバド:ベルリン・フィルハーモニー、ベートーヴェン交響曲第7番より、第四楽章です。






三人に共通しているのは、動きに力みが全く無いことですね。そして不必要に大きく振らないのに、

オーケストラが、勝手にエキサイトしていく。そういう気持ちにさせるのが名指揮者の名指揮者たる所以なのでしょう。

それでは。

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2008年02月06日(水) アメリカの大統領選の仕組みってのは、毎回、忘れるね。
2007年02月06日(火) 「日本『拉致問題に進展なければ北朝鮮支援はない』」政府は進展させる気があるのか。/【号外】「消防音楽隊を救う会」署名延長
2006年02月06日(月) 「茶番は止めろ」衆議院予算委員会の質疑者を見て下さい。
2005年02月06日(日) 「月曜の朝は血圧にご注意 仕事のストレスで急上昇?」 あたりまえだろ。(追記を含む)
2004年02月06日(金) 「患者が選ぶいい病院」は、意味が無い。医療機関評価機構という組織があるのだ
2003年02月06日(木) 日本政府がアメリカによるイラク攻撃を支持するだと!?・・・子供が殺されるのを黙って見ているということだ。

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