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JIROの独断的日記
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2010年01月19日(火) 「JALが会社更生法適用を申請」←日本航空は何故破綻したのか。

◆記事:JALが会社更生法適用を申請、事業会社で戦後最大の破綻(1月19日18時8分配信 ロイター)

日本航空(JAL)<9205.T>は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと正式発表した。

負債総額は2兆3221億円で、事業会社としては戦後最大の経営破たんとなる。

企業再生支援機構も支援決定を発表しており、

再建を巡って揺れ続けた同社は支援機構をスポンサーとして再生を図ることとなった。

更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルの3社。

負債総額は2000年のそごうの1兆8700億円を抜いて事業会社として最大規模。

金融機関を含めても戦後4番目の大型経営破たんとなった。

1951年に設立され1987年に完全民営化した日本のフラッグキャリアは事実上国の管理下に入る。

国内大手航空会社として初の破たんとなる。

支援機構の発表によると、破たん後のつなぎ資金として支援機構と日本政策投資銀行が6000億円の融資を実行し、

資金繰りを支える。また、支援機構は3000億円超の資本注入を実施するほか、

取引金融機関などに対して債権カット約7300億円を要請し、JALの債務超過を解消する。

JALの株式は100%減資し、上場廃止する計画だとした。

2012年度の売上高は1兆3585億円、営業利益は1157億円を計画している。



◆はじめに:なぜ、日本航空は破綻してしまったのでしょう?

多くの方はお分かりでしょうが、心配なさっている方がいるといけないので、

最初に書いておきます。まず、日本航空が無くなる訳ではありません。

日本航空のマイレージは有効です。

しかし、日本航空は、東京証券取引所の上場を廃止しますから、株券は紙屑同様となります。

また、日本航空が発行した債券(社債)は、投資家からおカネを借りたという証拠、謂わば借用証ですが、

この借金の多くは返せません。これを債権がデフォルト(債務不履行)になる、といいます。

日航の株や債券に投資していた人はかなり大きな損失を被ります。これがまた大きな問題なのですが、

それに関しては、またいずれ説明しますが、今日はどうしてこのような事態にまで日航の経営が悪化したのか、

について、説明します。


◆日航が破綻した原因。

日航を破綻に追い込んだ世の中の一般的な状況として、景気の悪さがあります。

航空料金は高いので、国内の移動ならば、皆、飛行機より安い鉄道や、自動車を利用します。

また、仕事で海外に出張しなければならない人も、今までビジネスクラスに乗れたのに、

どこの会社も儲かっておらず、少しでも経費を減らそうとするので、エコノミーの切符しか

買ってくれません。皆がそうするので、当然日航の収益は悪化します。

ただ、これは、「世の中の一般的な状況」と書いたとおり他の航空会社にとっても同じことで、

日航だけに降りかかった災難ではありませんから、あまり言い訳にはなりません。


他の原因は、やはり日航自身にあります。

まず、日航が持っている飛行機の機種です。日航は燃料を大量に消費するジャンボ・ジェット、例えば

Boeing747-400を37機持っています(ここにJALが保有または、リースしている飛行機の一覧表があります。

JALグループ航空機数 (2009年3月31日現在)という表です)。


そして、従業員が兎に角多い。2009年4月30日現在、JALグループ全体で48,934人。

さらに、企業は公的な厚生年金の他に企業独自の企業年金を退職し、引退した人に払うことができますが、

日航の場合、この企業年金が他の企業の水準からするとあまりにも高いので、

銀行から何千億円というおカネを借りて、返せないでいる会社なんだから、もう少し遠慮したらどうだい?

という、世論の非難(ま、はっきり言えば「嫉妬」ですが)が集中しています。

これは、しかし、次のような記事を読んだら、日航以外の人たちはいい気がしないですよ。

昨年7月の時事通信です。

◆記事:日航の年金583万円=高コスト体質浮き彫りに(7月7日3時0分配信 時事通信)

日本航空の経営再建問題で、年金の支給額がモデルケースで年583万円と、年300万円台半ばとされる

大企業の平均支給額を大幅に上回っていることが6日、明らかになった。日航は企業年金の減額を前提に、

政府保証80%の日本政策投資銀行の金融危機対応融資を受けることが決まっている。

ただ、減額後の試算さえ年433万円で、改めて浮き彫りになった日航の高コスト体質が議論を呼びそうだ。

内部資料によると、勤続42年のモデルケース(1965年生まれ、18歳入社、60歳退職)で、

65歳以降の年金支給額は基礎年金と厚生年金、企業年金を合わせて月48万6000円、年583万2000円。

減額後も最高月36万1000円、年433万2000円が支給される見通し。

これ、いまだにOBは減額に関して同意しない人がいるんですね。

まあ、一旦手にした豊かな暮らしは、手放したくないでしょうけどね。

日航の企業年金、バカ高いですからね。減らされても(程度によりますけど)十分くらしていけるでしょ?

この年金を支払うための積立金が、日航の財務状態を非常に圧迫し、今日の事態を招く一因になってたのです。

今の従業員もかなりリストラされるはず。OBさんは、
俺達の年金を少々減らしても良いから、なるべく今頑張っている奴はクビにしないでくれ。

というと、見直されるのですけどね。どうしても嫌だ、という人がいるみたいでして。


思い付くままに、日航破綻の原因を挙げると、3番目は不採算路線が多すぎたと言うことでしょう。

あまり、人が乗らない地方にまで、路線を持っています。元来、日本航空は、日本航空法という法律に

従って運営されていた国の会社ですから、ある程度仕方がないとはいえ、民営化されたのは1987年で、

既に20年以上を経ているのですから、商売感覚がなさ過ぎては困るのですね。ソロバンぐらいはじいてくれないと。


日航だけの所為でもないのですけどね。民営化された後も色々国の無理な注文も聞いていたので、

国としては、中東で原油価格が暴騰して、日航が「困った」というと直ぐに助けてしまうのですね。

最後は国が助けてくれると思っているうちは、会社の合理化なんて無理ですね。

タカを括って銀行からどんどんおカネを借りて遂に返せない、ということになってしまった。

銀行は、一昨年9月15日のリーマン・ショックでかなり、損失を計上しました。

漸く昨年後半、損失処理を終えて、資本を増やして、体力をつけて、

「さあ、いくぞ」と思っていたら、日航が潰れて、持っていた日航株は上場廃止で、

紙屑になってしまうし、会社更生法が適用され、企業再生支援機構が裁判所で管財人として選定されたら、

極端にいうと何でもありですから、銀行が日航に貸していたおカネのかなりが回収不能になりますね。

折角増資して資本を増やしたのに、また取り崩して、貸倒引当に計上しなければならなくなります。

「やってらんねーよ」という気分になるでしょ。そりゃ。


ちょっと話がそれましたが、要するに、日航は形式的には民間企業なんですが、

国が介入し過ぎて、日航は思い切った改革をしなかったというか、出来なかったというのが、

今回の悲劇的結果を招いたと思います。

書き忘れましたが、この会社は組合が何だか訳が分からないぐらい沢山あって、

しかも、その力が強いのです。経営側の方で「黙れ!」といえない。

だからいつまでも従業員が矢鱈多いし企業年金も常識を逸脱するぐらい高い。


今回、ホントなら完全に破産しても普通の会社ならおかしくないですが、

国内線の6割が日航なので、会社をたたむ訳にはいかないですね。。

兎に角存続するだけでも良かったと思って、地上職の方もコクピットクルー(パイロット)も、

客室乗務員も、引きずらないで淡々と任務を遂行して頂きたい。

給料やボーナスが減ることに気を取られて万が一、また、123便のようなことが起きたら

目も当てられません。それだけは絶対に起こさないように(言われなくても分かっている、と

言いたいでしょうが)して下さい。

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