二歩も、 三歩も、 後ろを歩いて居る事に。
全く、 気付けなかったから。
慌てて。
必死に、 走り始めた心算だけれど。
案外、 丘の上は遠くて。
未だ、 距離を縮めて居るか否かすら、 曖昧の儘。
其れでも。
見える足許を見つめ、 脚を留めずに、 前を追い続ける事が。
開けた視野に繋がる術だと、 知って居るから。
眼前の一歩を。
其の先の十歩を。
丁寧に、 丁寧に、 踏み続けて居るのだ。
一度閉じた箱を、 もう一度開ける怖さも。
昇華出来ぬ想いも。
此の身に、 刻まれて在るけれど。
今は、 無理矢理にでも閉じ込めて、 進む事が。
きっと、 追い付く為の近道だと、 そう想うのだ。
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