< 言葉の基本形は何れだったでしょうか >
一つの言葉を、 幾つもの視点から捉える。
一つの想いから、 幾つもの視点を浮き立たせる。
相手を想う故に、 時として身に纏わり付く想いの歪みを、 取り除く為に。
相手を想う故に、 時として一方向に傾く想いの極性に対し、 緩衝作用を産む為に。
何時でも其処へ舞い戻れる様に、 常に心に留め置くけれど。
迷いが産まれた時には。
自身を呼ぶ声が、 淵に潜んだ渦から聞こえた時には。
一本の筋を太く太く肉付けして、 確固たる自身の柱だけを、 見つめて行ければ良い。
惑わず素直に単純に、 其の対象を捉えれば良い。
筈なのに。
「珊瑚礁良かったね。」 「雰囲気も良くて。」
食事の御礼に届いた、 君からの手紙に。
添えられた一行。
「デートならなお良かったのになぁ。」
何処に礎が据えられた言葉なのか、 分からずに。
俺は未だ、 返答の筆を進められない。
---------- References Oct.29 2003, 「求める物は何れの物ですか」 |
2003年10月31日(金)
---------- History
< 重ねる唇に潜んで居るのですか >
触れる度に電気の走る、 キス。
快楽中枢を直接弄られる様な、 キス。
其の魅惑的な甘さに囚われ、 何度も何度も唇を重ね。
其の破滅的な衝撃で、 自身と、 相手とを、 共に傷付けるキス。
痛みを内包するキス。
この時期になると、 己に潜んでいる小悪魔が、 姿を見せ始める。
今年もそろそろ、 顔を出すんだ。
唇が触れるか触れないか。
必ず、 あの距離で発動する、 衝撃を。
貴女とのキスでは、 未だ経験していないんだね。
静電気と言う小悪魔の悪戯を。 |
2003年10月30日(木)
---------- History
< 求める物は何れの物ですか >
男運。
其の良し悪しとは、 何を対象とする物なのか。
恐らく他人には、 本能的に理解出来ない事象だろうけれど。
男運が無いと嘆く、 目の前の君が。
其処迄言う程、 周囲の雄に恵まれない人だとは、 如何しても思えないから。
素直に口に出して。
そして瞬時に、 藪蛇を突付いて出した事を感知した。
「友達から昇格するやつは?」 「候補は居ないのか?」
「私の口からはそんな事言えないわよ。」
「そっか。」
飽く迄鈍感な振りをして、 話を聞き流しつつ。
我慢し切れず、 俺は視線を逸らす。
友に求める思い。 雄に求める想い。
人が異性に求める物が、 其の対象によって異なる事は。
俺にも理解出来るけれど。
君の真意が、 俺に何れを求めているのか。
「長い間友達が続くって事は。」 「そう言う事でしょう?」
君は指示語を有耶無耶にして、 更に主格を相手に渡して、 煙に巻くんだよね。
俺は後者か?
---------- References Oct.14 2003, 「瞳の解釈には答えが複数在るのでしょうか」 |
2003年10月29日(水)
---------- History
< 早く掛け直してくれませんか >
事務的に、 現実的に、 其れは為される物かも知れないけれど。
寝覚めの時に、 隣に居られぬお互いが。
自身の存在を、 少しでも傍に置いて起きたいと願うから、 贈る。
寝覚めの声。
其の日一日を、 少しだけ積極的に変化させ得る、 想いで綴った魔法。
貴女が携帯に残した言葉には、 確かに魔力が、 宿っては居るのだけれど。
「起こしてくれない?」
「良いよ〜。」
朝に強い貴女へ、 目覚まし役をお願いをしたのに。
音を消した儘、 震えるばかりの携帯に。
俺は気付かなかった。
丸々二十秒目一杯を使い切って、 残された伝言。
「おはよ〜!」 「起きて!」 「起きて!」
起きて無いんだから。 気付かなかったんだから。
早く電話を切って、 もう一度電話を掛け直してよ。
其の中に大声張り上げても、 時間一杯声を詰めて贈ってくれても。
俺は未だ、 夢の中なんだからさ。 |
2003年10月27日(月)
---------- History
< 幸せな二人に見えましたか >
可笑しさの笑いを必死に堪えたと、 互いに主張しながら。
「顔がにやけてるよ?」
「お前こそ嬉しいんでしょ?」
喜びの笑みが、 相手に捉えられぬ様に。
意地でも我慢する。
「旦那様はいかがですか?」
試食を勧める店員の言葉一つに一喜一憂した、 奴と彼女の顛末を。
奴は照れ笑いしながら口にするけれど。
二人で創り上げた雰囲気を、 其の言葉が指し示しているから。
何より年齢差と言う、 彼女に潜む大きな不安要素が、 否定された事で。
「旦那様だって!」
「姉弟とかに見えないんだよ!」
互いが意地を張りながらも、 喜びに溢れる気持ちは。
極自然な想いだよ。
初めて貴女と、 二人で出掛けた日。
お互い知らぬ土地では無いけれど、 あの時居た世界は、 二人にとって初めての世界。
渡した付届けの効き目が、 強過ぎたのか。
「彼ったらお若いのにねぇ!」 「御食事は全てお持ちいたしました。」 「邪魔しては申し訳ないですから♪」
妙に丁寧な仲居の態度に、 ふと貴女と、 目を合わせて笑ったあの時を。
奴に話して聞かせたんだ。
男女の関係だと、 そう認識された事を。
あの時の貴女も、 本当に喜んで燥いでいたっけな。
---------- References Mar.01 2003, 「これが神が与え賜う褒美ですか」 |
2003年10月25日(土)
---------- History
< この画は切り取れませんか >
街の中心部に集まりつつある、 勤め人の流れ。
毎朝産まれる其の大きな流れの中に、 身体を錐の様に捻じ込む。
大河に逆らう小さな存在は、 世間の荒波に背を向け避ける様に、 映るのだろうか。
皆後ろを向けば、 綺麗な画を拝見出来るのに。
一瞬しか生を享けない奇跡の画を、 この目に焼き付けられるのに。
けれども。
振り向くな。 誰も振り向くな。
其の流れに身体を埋めながら、 願いつつある自分に気付く。
この流れは。
其処に貴女を含んで流れては、 居ないのだ。
虹。
光と水が空に描く、 奇跡の画。
目の前の虹は、 必ず貴女の住まう方角に出現する、 夢の架け橋だけれど。
其の画を同時に目にする距離に、 貴女は居ない。
其の画を共に歩く事が出来る程、 貴女は傍に居ない。
だからせめて。
俺の眼の中だけに残る、 虹で居て。 |
2003年10月24日(金)
---------- History
< 何を残して消えたのですか >
お互いがお互いの顔など知らず、 其の日初めて会った二人が。
共通の知人を通して知り合った、 徒の二匹が。
何故話題に出したのか。
無意識下で、 何時の間に。
何故其の話題に行き着いたのか。
「どうしてるか知ってます?」
「わからないんですよ。」 「今はこっちじゃなくて千葉なんですけど。」
「そうなんですか。」
「でも二ヶ月音信不通。」
違う。 無意識の流れでは無い。
俺は出汁か?
目の前のこの人が、 少々と言うには大き目の迂回をして、 此処へ来た理由は。
俺じゃなく彼女か?
「年の割りに色々経験してるみたいだし。」
「そうそう。」 「いろいろ大変みたいですね。」
妙な気配を感じ取りつつ、 相槌を打ちながら。
何らかの心残りが、 この人の胸にも棲んで居る事を、 探り捕った。
俺にも在るんだ。
聞き取れなかった何かが、 棲んで居るんだ。
二週間を経た今日この日も、 それは変わらないんだ。
あの時以来。
俺の如何なる問いかけにも、 反応が無いから。
あの子の為の音を、 携帯は一度たりとも奏でないから。
---------- References Jul.02 2003, 「口を封じてしまいましたか」 |
2003年10月22日(水)
---------- History
< 足りない条件は何ですか >
配偶者に至る理由と、 配偶者には至らぬ理由。
其の差を見極める力を欲するのは、 未婚故の惑いなのだろうか。
配偶者を斬る理由と、 配偶者を斬らぬ理由。
境界を分かつ壁の正体を渇望するのは、 未婚故の焦燥なのだろうか。
「俺に足りない結婚の条件って。」 「何?」
「学生って事。」
奴の問いに、 即答した彼女に。
未だに核心へ踏み込めず、 奴は何故斬らぬのかと問えないのか。
「ついていくから。」
俺の問いに、 即答した貴女に。
未だに核心へ踏み込めず、 何故俺は本題を切り出せないのか。
閾値を超える鋭い波は、 如何にすれば産めるのだろう。
---------- References Feb.06 2003, 「戸惑いの真の理由は何ですか」 Feb.07 2003, 「迷いの嵩は減らせないのか」 Feb.10 2003, 「何を悩んでいたのですか」 Mar.26 2003, 「今度話しても良いですか」 |
2003年10月21日(火)
---------- History
2002年10月21日(月) 報いですか
< 苛つきの理由は何でしょうか >
複雑に渦を巻いた流れの中で、 雑多で際限の無い引力の中で、 想い描いた絵を描くには。
自身の意思を、 自身の信念を、 是が非でも押し通し、 一歩も退かぬ事を。
其の善悪や、 其の好む好まぬや、 其の可否すらも排除して、 要求される時が在る。
心地良い秋晴れであろうが、 凍て付く冬晴れであろうが。
季節外れの暖かい雨であろうが、 底冷えのする雨の日であろうが。
唯一、 自身の我のみを押し通して、 描きたいと願った、 其の絵を描く。
そんな日々が、 続いているからなのだろうか。
「今日は良い天気だね。」 「気持ち良くない?」
貴女の緩んだ言葉に。
天気に一喜一憂出来ぬなどと、 何も噛み付く必要など無かろうに。
何を焦っているんだ。 俺は。
何に焦っているんだ、 俺は。 |
2003年10月20日(月)
---------- History
< 過去って何者なのですか >
過去の重さを見せまいと、 隠す努力も。
過去の重さを背負い込み、 進む決意も。
互いが互いを想うが故に、 産まれる物だけれど。
互いが互いへ、 負担の二文字を与えぬ為に。
必死に意地を張り合い、 負担を掛け合う。
相手の求めを、 的確に把握するには?
相手の不安を、 的確に取り除くには?
未だ足りない物が多過ぎる。
自身と平行期間の在る相手だから、 自分と並立して居た過去だから。
「前の彼氏って、どんな人だったの?」 「遊びって言ってた俺を、どうして選んだの?」
其の年令や、 其の配偶者の有無や、 其の選択の理由や、 其の前後の状況や。
如何しても振り切れぬ過去を知り、 自身の防波堤として、 其の知識を使いたいから。
奴の想いは、 手に取る様に理解可能で。
彼女の想いは、 雲を掴む様に不可解至極だ。
過去は知るべき物なのか、 無視すべき物なのか。
過去は乗り越える物なのか、 突き崩すべき物なのか。
過去は無視すべき物なのか、 初めから存在しない物なのか。
過去は実物なのか、 想いが創る虚像なのか。
貴女の過去は、 どんな物なのだろう。 俺の過去は、 どんな物なのだろう。
俺は如何にすべきなのだろう。 |
2003年10月19日(日)
---------- History
2002年10月19日(土) 柔らかかったですか
< 遊びの道具なのでしょうか >
人の姿形に、 異性の象徴に、 憧れを抱く事は有っても。
其れが互いの関係の根幹を成している訳では、 無いのだから。
例え自分の相手に存在しない物だとしても。
其れを相手に求める想いや、 其れを他へ求める想いなど、 何処にも無いのだから。
胸が在ろうが無かろうが。
貴女は貴女で、 俺の惚れた女なのだから。
謝罪の言葉を、 求めた訳では無いのに。
「ごめんね・・・。」 「小さいもんね・・・。」
貴女の言葉は、 込めた想いとは正反対に伝わり。
俺は逆に、 罪悪感を感じてしまった。
けれども。
貴女らしさが失われていない事を、 感じ取って。
大笑いしながら、 俺は貴女で良かったと思うんだ。
貴女は笑われて、 不安と不審で一杯だろうけれど。
「大きかったら・・・」 「色んな事して遊べるのに。」
「この大きさじゃ・・・」 「木琴ボロンって弾く位しか遊べないじゃん・・・」
謝罪の理由は、 何故遊ぶ行為へと結びつくのだろうか。
この種の疑問符は、 何時でも俺の活力の元。 |
2003年10月17日(金)
---------- History
2002年10月17日(木) 暖かくはないのですか
< 瞳の解釈には答えが複数在るのでしょうか >
満座に華が咲き乱れた様な、 色彩豊かな空間。
笑顔と、 笑顔と、 笑顔。
祝いの宴は、 全てを洗い流してくれると。
勘違いしていた。
一束の花をひらり舞わせる、 花嫁の儀式。
祝宴の在り処を、 次に贈り授け伝えて行く儀式。
「お前も行くのかよ!」
周囲の言葉は、 揶揄を含んだ厳しい言葉だけれど。
其の言葉には、 仲間内の暖かな想いを包んで在るから。
笑いながら、 儀式に向かえるのだと。
勘違いしていた。
吹っ切ったのだと、 勝手に理解していた。
宴の外で、 一瞬残した君の痕跡。
「裁判を起こしてるんだ。」
未だ何も終わっていない。
其れ処か、 未だ始まってすらも無い。
仲間内の笑顔が在ったから、 其処に踏み留まって居られただけ。
君が俺に訴えた其の瞳の解釈は、 此れが正解でしょうか。
---------- References Aug.03 2003, 「其れは違うと言えないのでしょうか」 Jun.21 2003, 「幸せ太りに変えられるでしょうか」 May.09 2003, 「仲間の輪はもう縒れませんか」 |
2003年10月14日(火)
---------- History
2001年10月14日(日) 身動きが取れないですか
< 何番目の貝殻代わりですか >
自身を掴み離さぬ大きな幹を、 捜し求め続け、 未だ其の途に在る故に。
寄居虫の様に、 手頃な仮住まいを纏い、 猶も迷い、 複数の貝を被る。
其の行為が、 是か非か。
判断を下すのは、 飽く迄当事者のみに与えられた権利だけれど。
宿木を複数所有すると言う、 事実の自覚と。
自身の信を相手に見せぬ以上、 相手の信を得られぬとしても当然であると言う、 覚悟の自覚と。
其れは全てに於いて、 自身が選択し創り上げた物だと受容する、 責任の自覚と。
最低限の義務を果たした上で、 当事者に与えられる権利だと思うから。
「選べなくても良いですよね。」
俺に許容を求めた御嬢へ。
「選べないじゃない。」 「選ばないだよ。」 「人に依存しないで自分で何とかしなきゃ。」
足りぬ自覚を伝え、 鼓舞した心算だったのに。
「三番目でも四番目でも良いですから。」
潤んだ瞳に乗せる牝狐の言葉は、 的確に雄の本能を揺さ振り。
悟られぬ様に、 俺は手掌の脂汗を隠した。
自身を軟着陸させ得る存在と、 自身を厳しく追い立てる存在との間を、 交互に行き来して。
ただ自身を肯定する柔らかい存在が、 今は心地好いだけだから。
御嬢は俺に許容を求めるんだ。
きっと次は。
今御嬢が振り向こうとしている雄が、 優し過ぎると。
其の言葉を持参して、 俺の元に来る。 |
2003年10月13日(月)
---------- History
2002年10月13日(日) 俺は出たらいけませんか 2001年10月13日(土) 貴女の心はどこにありますか
< 想いが在るから抱けないのでしょうか >
其の想いが、 其の振る舞いが、 相手に伝わらぬ時が在る。
其の行動が、 其の判断が、 相手に響かぬ時が在る。
夜中に始まる諍い。
意図とは完全に裏返しの結果を前に、 相手が号泣したとしても。
其れに答える術は、 生物の本能より下位組織には、 存在し得ないから。
奴と彼女の二人の時間。
既に互いが、 恍惚の域に足を踏み入れ掛けた、 其の直後に。
「止めようよ。」 「止まらないよ!」
「明日に影響しちゃうじゃない!」 「関係無いから。」
「駄目!」 「此処で止めろって言うのか?」
明日奴が、 大事な闘いを控えているから。
自身の欲望で、 其の体力を奪いたく無い。
そう想うからこそ。
敢えて行為を中断すると言う手段を、 選択した彼女。
彼女の想いは、 奴に届かぬ筈は無いけれど。
「触るなよ!」
「嫌いになったの?」 「背中向けないで・・・」
不安に恐れ嘶き号泣し、 一糸纏わぬ其の姿で、 必死にしがみ付く彼女に対して。
奴は何れ丈、 複雑な想いを抱いたのかな。 |
2003年10月11日(土)
---------- History
< 何故冬が浮かぶのでしょうか >
一気に色付き、 化粧を始めた杜を見ながら、 白い息を感じる。
秋の到来。
河原で芋を煮ながら。
貴女の住む地では、 楓を観る催しが盛んである事に、 想いを廻らす。
貴女の元には。
「雪虫が飛んでいたよ!」
秋を飛び越した長い冬が、 冬の使者を供に、 既に贈られて来た後なんだよね。
季節の変化に、 此処迄想いを託すのは。
この國に生を得た故の、 定めかも知れないけれど。
何故だろう。
貴女と初めて逢ったのも、 貴女を初めて抱いたのも、 そして貴女が、 法の柵を振り解いたのも。
貴女との強い想い出が。
雪の季節として、 俺の記憶に刻まれている。
---------- References Aug.05 2002, 「今日は何の日ですか」 Jul.01 2002, 「近いですか」 Oct.13 2001, 「貴女の心はどこにありますか」 |
2003年10月10日(金)
---------- History
< 早く帰りたいのですか >
常に常に、 二月先の自分を想像する。 常に常に、 二月先の未来を思い浮かべる。
自身の進歩を願う為、 未来の成長を願う為。
いや。
そんな高尚な理由では、 決して無い。
「もうすぐイルミネーションが始まるよね。」 「逢いに行って良い?」
予約可能な期間に月日が辿り着く事と、 航空運賃の軽減と。
二月先を見越すのは、 其れが理由。
故に、 言葉を裏面と入れ替えれば。
二月先迄は、 空白の期間が約束されると言う事。
其の時を只管待ち続け、 互いの想いに、 互いの想いを馳せる期間だと、 約束すると言う事。
待望の日を決めた時は。
其処迄の我慢を確実に強いると、 決める時でもあるのだから。
「最終便で帰って良い?」 「それとも夕方の便で帰った方が良い?」
そんな馬鹿な事聞かずに、 出来る限り此処に居ろ。
俺にへばり付いてでも、 貴女は此処に居る努力をしろ。 |
2003年10月08日(水)
---------- History
< 徐々に溜まって行くのですか >
如何に足掻いても。
日常生活の内に取り入れる事は、 現段階で不可能だから。
日常を切り離した時間を、 産み出す必要が在る。
そして。
互いが其の時を、 更に同時に、 創り出した時のみに。
二人の時間が手に入る。
僅か二日が産めぬ俺。
紅葉も、 温泉も、 何より俺も諦めて。
貴女は俺に励ましを贈ってくれたと、 そう理解して居るけれど。
「わかった。」 「今月は我慢する。」 「溜めて置く。」
未だに。
貴女は何を溜めるのか、 解釈に苦しむ。
逢いたい想いも。 逢った時の喜びも。
蓄えられて居るけれど。
寂寥感も。 切なさも。 無念も。 諦めも。
大きく大きく、 山積みにされて仕舞うのだろうな。 |
2003年10月07日(火)
---------- History
2002年10月07日(月) 暗い道を照らしてくれませんか
< 最初から相応しい相手ですか >
違いの在る二つの個体を、 一つの集合体に変化させるのだから。
角が取れ、 丸みを帯び、 且つ、 隙間無く重なり、 寄り添う迄に育つには。
何度と無く、 其の角で傷付け合い、 其の隙間風で風邪を患い、 重心の偏りで他方へ転がり。
そして混じり合う。
天然の雨風が、 人智を超える大峡谷を創るが如く。
想いの流れが、 時の刻みを要求するのだろうか。
別々の個体が、 別々の個体として産まれ出づる理由は、 自然の摂理に適う物。
初めから一つの集合体に成れる程、 個体差は小さく無い。
「俺だって彼女に値する男かなんて自信無いけれど。」 「俺の彼女に対する気持ちには自信有るからさぁ。」
「それは彼女も同じでしょ?」 「お前に対する気持ちに自信なきゃ、お前は選べないよ。」
事の核心は、 奴と彼女の想いであって。
奴が彼女を想い創った物も、 彼女が奴を想うが故に創った物も、 二人が共有する想いでは無く、 個々が勝手に産んだ虚像じゃないのか。
相手を想う故に。
「本当に私で良いの?」 「自信が無い・・・」
悩み、 惑い、 乱れ、 揺れ、 そして離れる。
其の想いは、 真実に近いのかも知れないけれど。
想いを介して創られた、 核心とは掛け離れた物だと想うんだ。
初めから、 相手に相応しい人間で在る。
いとも簡単に、 相手に相応しい人間に変わる。
そんな事が在り得ると想うなど、 痴がましい事なんだよ。
---------- References Sep.23 2003, 「運命は他に在るのでしょうか」 |
2003年10月05日(日)
---------- History
< 依存し過ぎて居ませんか >
拍子が普段と異なる事に気付いたのは、 数日前だった。
予想外の擾乱に対応し切れず、 始めの内は、 其の音すら判別出来ぬ有様だった。
調子が元に戻った事に気付いたのは、 今朝の事だった。
何を切っ掛けに、 耳に届く声が再び同じ物に戻ったのか、 理解出来なかった。
「だって・・・」 「変だって言うんだもん。」
貴女の理由は、 一番素朴な理由だった。
伝言の声の一部分に、 俺が一言異を唱えた事に、 素直な応答をしただけ。
俺はただ。
俺の伝言を受け取る為だけに存在するかの様な、 応答メッセージでは。
貴女に不都合を生じさせて仕舞わないかと、 不安に覚えただけなのに。
貴女の携帯に電話を掛ける人間が。
今は俺だけだなどと、 如何して想像出来るんだよ。
そんなに俺に依存をして、 日々を過ごして居るのだとすれば。
貴女は何時か、 壊れて仕舞わないだろうか。
俺には。
貴女が関わらなくても存在し得る世界が、 在るのに。 |
2003年10月03日(金)
---------- History
< 日常から丹念に拾い出せますか >
雑多に積まれた、 封筒の束から。
無造作に積まれた、 振込通知や引落通知の山から。
明らかに感触の異なる紙質を、 一枚抜き取る。
「何時だ?」
数日前か、 数週間前なのか。
如何程昔の事であったか、 想い出す迄に、 其れと同じ位の時を刻まねば、 記憶を取り出せないかの様な錯覚に陥る。
「何時の事だ?」
何日前の出来事が、 其処に書かれているのか。
記憶を巻き戻そうにも、 何処まで巻いて良いか把握出来ない。
「プールに遊びに行きました。」 「泳ぎを教えてね!」
小さな彼の言葉と共に添えられた、 貴女の写真。
単純な、 けれども新鮮な。
こんな簡単な事なのに。
「待ちわびてたんだろな。」
何時まで経っても、 この葉書を話題に出さぬ俺を。
貴女は如何想って居たのだろう。
消印から五日遅れて手元に届いた、 一通の宝物。
御免ね。
葉書は今日、 俺の心に届いたんだよ。 |
2003年10月01日(水)
---------- History
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