< 柔らかかったですか >
知らない街を独りで歩いた。
「太陽を背にしてぇ〜」 「広い通りを歩いてぇ〜」
貴女の言う、 たったそれだけの言葉を頼りに、 ひたすら歩いた。
受話器の向こうにいる貴女が、 俺の目の前で手を振った。
逢いに来た事を実感する、 最高の瞬間。
制服姿の貴女は、 昼休みに抜け出して来た貴女は、 他人の様に余所余所しく振る舞ったけれど、 唇だけでも奪えたからそれで良いさ。
「小坊主の唇は柔らかかった・・・」
貴女に先に言われてしまったから。
同じ位貴女の唇が柔らかくて、 それに反抗する様に俺が固くなっていた事は、 悔しいから内緒。 |
2002年10月19日(土)
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