雲間の朝日に想うこと


< 形にしないと苦しいですか >


時の間隙が零では無いのに。

時間の余裕が、
皆無と言う訳でも無いのに。


産まれる擦れ違い。




互いの手に、
少しだけ余裕の在る時間帯が。

捩れつつ、
歪みつつ、
噛み合わぬ事から起こる、
擦れ違い。





其れを良しとせず、
何度となく繰り返される着信と。

そして何度となく繰り返される、
無機質な応答メッセージ。










如何にして、
互いの声を手に入れようか。

如何にして、
互いの声を届けようか。


俺も貴女も、
努力を続けているのだから。





 「はぁ・・・。」
 「私達って擦れ違いカップル?」




其の言葉は、
決して其れが声で無く文だとしても。


形にしてはならない物だと、
俺は想うんだけれど。












言葉は。
文字は。

想わぬ力を持っている事を、
忘れちゃいけない。


2003年09月29日(月)


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< 少し消しておけませんか >


お互いの立場を、
入れ替える。

相手の立場に立ち、
想う。



良く忘れて仕舞い勝ちな物だけれど、
其処には、
大切な何かが確かに在る。








僅か二月前に我が身に起こった事を、
其の儘貴女に、
起こしたかの様に。

お互いの立場を裏返した様な、
出来事。



 「大丈夫?無事?」


目覚めて直ぐ事の大きさに気付き、
慌てて贈る様子伺いと。


 「怖かったけれど。」
 「大丈夫。」


貴女の無事を知らせる、
携帯に残された伝言。



其の一往復で、
一先ずの安心は得られるけれど。






きっと俺なら。

其れでは安心出来ずに、
直の声を欲しくて、
直の声を届けたいと。


そう想ったから。
そう願うから。












何度掛けても、
幾度掛けても、
残せぬ伝言。



貴女の携帯には。

僅か三件しか、
伝言は保存出来ないのだ。





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References
 Jul.29 2003, 「想いに気付かぬ揺れでしたか」


2003年09月26日(金)


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2002年09月26日(木) まだ癒えて無いのか



< 明晩はおやすみ位言えるでしょうか >


親愛なる相手からの電話に、
無機質に反応し。

そして、
ただ一言を浴びせた直後に、
受話器を切る。






 「もしもし!」
 「電話くれたよね?」


 「ごめん。」
 「今忙しい。」



忙しいと言う言い訳と共に。













こんな行為が擦れ違いを産み、
二人の間を遠ざけて行く事を。

十二分に理解していても。




其れ以外に取れる行動が無い。












貴女はきっと、
今夜も待ち疲れて眠ってしまったろう。


最近、
話を出来ていないね。


2003年09月25日(木)


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< 運命は他に在るのでしょうか >


一冊の本を差し出し、
読めと言う。

向かい合う様に膝の上に座りながら、
今すぐ読めと言う。


或る男女が、
擦れ違い擦れ違い、
最後にお互いの境界を越える。


そんな絵本。






読み終わった頃に、
彼女は不可解な言葉を口にした。


 「だから私もあなたも。」
 「まだ運命の人に逢ってないんだよ。」
 「他に居るんだよ。」







奴の膝の上で、
奴にしがみ付き、
微妙に腰を動かしながら。

奴と向き合い、
お互いの感じるままに、
微妙に腰を動かしながら。


互いは運命の組み合わせでは無く、
お互いに他の大切な人が、
きっと現れるのだと口にした彼女。















言葉足らずに隠された、
彼女の想い。

時として、
完全に異なる想いを言葉に乗せる、
奴の彼女。








 「意味分かるか?」
 「別れ話・・・じゃ無いんだろ?」
 「うん。」

 「俺が運命の人なら良いなって事か?」
 「私は本当に運命の人?って不安か?」

 「分かんねぇな。」
 「分かんねぇな。」



今宵もまた雄が二匹。

無い知恵を搾ったところで、
果たして理解出来るのだろうか。





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References
 Aug.27 2003, 「試す言葉が傷を産まないのでしょうか」


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Books
 "Separate ways"/「君のいる場所」 小学館


2003年09月23日(火)


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< 期待を封じて過ごさせていますか >


催促混じりだとしても、
打診程度の言葉は貴女に通じない。

貴女は既に其の日を想い、
当日の出来事へ旅立ってしまうから。


 「何時頃からなの?」

 「来週雑誌が出るのよね♪」
 「どこに行こうかなぁ♪」




早めに欲しい情報である事を、
貴女に伝えなければ。

一歩一歩歩みを進めて、
初めて実現する事だと通じないから。


噛み合わぬ想いを感じつつ、
再度言葉を付け加える。


其れも事細かに。


 「予約取らなきゃ行けないんだから。」
 「早く情報が欲しいの。」

 「そっか・・・」









二人で紅葉を見に行こうと、
想い続けて。

今年こそは実現しようと、
二人で想い続けて。


少しずつ先が、
見え始めて来たけれど。










強いて来た犠牲が、
貴女の奥底に大きな傷跡を残して居る事。








 「もし都合が付かず来られなくなっても。」
 「前みたいに泣いて困らせる様な事しないから。」


貴女から届いた最後の文字で、
其の事実を告げられた。


2003年09月21日(日)


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< 時の進みが早過ぎませんか >


ほんの軽口を、
僅かにちょこっと載せただけ。

表面上の言葉に本意は無く、
逢えぬ寂しさと、
募る想いを、
少しだけ形にして、
僅かにちょこっと伝えたかっただけ。




 「何時から女の子だっけ。」
 「また全部搾り取ってね。」










受話器の切れる瞬間に、
一瞬耳に入って来た貴女の泣きべそ。





貴女の身に起きている異常から、
推測出来る事柄。

俺も貴女もこの腕に抱きたいと、
そう願っている二人の形。


大切だけれど、
其れを捨てても良いと、
俺の覚悟は出来ているけれど。





貴女は決して、
そう想っていない事を。

貴女は切に欲しいと、
そう想って已まない事を。



貴女の、
一瞬の声にならない声が。

軽口の代償だと言わんばかりに、
抉る様に、
俺の胸に突き刺して来た。













掛かり付けの産婦人科医は。


 「子供を望むなら。」
 「不味いですよ。」


貴女や俺の事情などお構い無しに。

ぶっきら棒に、
出来難い身体になっている事実を伝えたんだろうな。





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References
 Aug.17 2003, 「時が奪って行きませんか」


2003年09月18日(木)


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2002年09月18日(水) 弱気を跳ね除けられますか
2001年09月18日(火) 単純だから純粋な気持ちなんですか



< 距離を埋める技術なのでしょうか >


秋の味覚が、
徐々に徐々に揃い始める日々。

仲間内で開く、
秋刀魚を食する会。


其の美味しさや、
其の楽しさを、
貴女に伝えれば。


きっと答えが一つ返って来るのだろうと、
想いつつ。







 「今夜は秋刀魚にしようかなぁ?」



案の定。

周囲の影響を即座受け入れ、
何の捻りも無く、
直接に出力してしまう貴女へ。




時として、
疑問を感じてしまうのだけれど。

時として、
怒りすら感じてしまうのだけれど。











其の場面を想像する事で。








一瞬でも。


季節の差や、
距離の差を、
代償的に忘れる事が出来るのだから。





其れは其れで、
貴女の一つの魅力かも知れないと、
そう想うのだ。


2003年09月13日(土)


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< 他の逃げ口は無いのですか >


貴女を腕の中に閉じ込めながら、
違う女の名を口にする。


 「ゆみちゃん・・・」

 「ゆみちゃんって誰よ?」


貴女は俺と言う衣を剥ぎ取り、
其の儘俺を、
彼方へと蹴り飛ばした。


 「ゆみちゃんて誰?」

 「知らねぇよ。」


突如出現した濡れ衣に。

俺は惑い、
そして貴女は、
自身の興奮をより一層強くするのだ。














嫌な夢の話は、
其の日の午前中に、
誰かに話してしまうと良い。

そんな格言は、
初めて耳にしたけれど。


どの様な教えであれ、
其れを信じる盲目的な信心が、
力を産むに違いない。



そう想いながらも。









 「エッチの最中の話なんて。」
 「しかも夢で小坊主とエッチした話なんて。」
 「他の人には言えないでしょう?」



俺に対する怒りと愚痴を、
目一杯に詰めて話さねばならない。

そんな夢の話であるにも拘わらず。



貴女が話す事の出来る相手が、
友人では無く、
唯一俺しか居ないと言う事実に。


俺は焦燥を感じて居る。







もし俺に話せない時は、
貴女はどうするんだ。

もし俺に話せない時は、
貴女はどうなるんだ。


2003年09月11日(木)


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2001年09月11日(火) 誰でも良いと想っているのか



< 少し意地悪でしたか >


想いの噛み合っていない事を、
お互いに察知しながら。

何度と無く、
切断の機会を伺う言葉が提示され、
何度と無く、
延長へ誘う粘りの言葉が応答する。



 「切るね。」

 「うん・・・」



早く電話を切りたかった。
早く貴女から離れたかった。

後数十分もすれば状況が一変する事。
俺は其れを知っていたから。




名残惜しかった。
未だ話をして居たかった。

久々に聞ける俺の声を得て、
貴女は離してなるものかと想っていたから。











貴女は知る由も無いのだから。


 「小坊主、忘れてるみたいなの・・・。」


切断の後に。

貴女が友に送った文は、
仕方の無い事かも知れないけれど。












俺の想いを知る筈の、
貴女だからこそ。


其の日の範囲内に時が位置する間だけは、
信じて待って居て欲しい。



俺の性格を知る筈の、
貴女だからこそ。


日付の変わる其の瞬間迄は、
想いの詰まった贈り物が届く事を、
信じて待って居て欲しい。







そう願ったのは、
やはり欲張りな事なのだろうな。


2003年09月09日(火)


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< 力みは少し取れましたか >


すれ違いの日々だから。

直に貴女の声を聞ける時間帯に、
俺は時間を創り出せずに居るから。


 「たまには伝言でも残してよ。」


俺は貴女へ、
軽くふんわりとした真綿を、
投げた心算なのに。






 「あのね・・・」
 「電話しても出ないで!」


伝えた言葉が。

如何して、
途轍も無い容積と質量を備えた言葉に、
成長してしまったのだろうか。











横で震えている携帯に。

約束通り、
手ではなく目を遣りながら。


 「力まなくて良いのにな。」


きっと貴女が伝言するであろう内容に、
想いを廻らせた。













一夜だけで良いから。

文に記した文字と、
分身に込めた想いに包まれたまま、
貴女が眠りに就ける様。


貴女の、
来年の誕生日こそは、
一緒に過ごそう。


2003年09月08日(月)


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2002年09月08日(日) 何色に光っていましたか



< 此れが罪滅ぼしの代わりでしょうか >


何処かに旅立とうと、
この地へ足を踏み入れる度に。

何処かから自身の街へ戻ろうと、
この地に降り立つ度に。


如何しても消えぬ過去が、
拍動の頻度と強度を一気に変調させながら、
鮮明に迫り来る。





嫌な場所。


貴女へ逢いに向かう扉であり、
貴女を迎えに来る窓であるにも関わらず。


未だに嫌な場所。










 「抱いて良いの?」
 「うん・・・」


逢って僅か二度目の貴女を凌辱した、
切っ掛けの言葉が産まれたのも。

この地。




 「駄目だった?間に合わなかった?」
 「どうしよう・・・帰れない・・・。」


最終便に貴女を乗り遅れさせ、
事の重大さに脅え惑う貴女の抜け殻を、
身体だけ抱きしめたのも。

この地。




 「仕事じゃ無かったのか?」
 「もう逢えないかも。」


受話器越しに届く旦那の罵声に脅えながら、
現実の状況を把握出来ず、
中途半端に貴女を送り出したのも。

やはりこの地。














貴女に逢いに行く理由以外に、
この地を訪れたとしても。


行き交う機影と其の轟音を耳にした瞬間から、
報いだとばかりに、
俺へと牙を剥き続けるんだ。




最寄のこの空港は。





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References
 Oct.13 2001, 「貴女の心はどこにありますか」
 Jun.01 2002, 「また逢えますか」


2003年09月06日(土)


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History
2001年09月06日(木) 言い訳を探して理由にしてませんか



< 想いは時の魔術も作りますか >


人と人との縁を紡ぐ。

時の流れと言う、
不可思議な要素が織り成す、
奇跡。



人と人との想いを繋ぐ。

時の流れと言う、
不可思議な要素が増やして行く、
想いの強さ。



出逢いや別離の横に。
相性や想いの強さの脇に。

「タイミング」や「偶然」と呼ばれる何者かが、
そっと控えて座って居るから。












 「小坊主って。」
 「タイミング良い時に電話くれるよね♪」


朝方の電話に、
弾んで返って来る貴女の言葉。

嬉しさの余り、
半分泣き始めた貴女。



俺から電話が届く時は、
必ず貴女が、
俺を深く想って居る時だと。


貴女はそう言ったけれど。

















 「何時でも俺の事考えてるから。」
 「何時電話しても良いタイミングなんじゃ無いのか?」


幻想を引き裂いて、
俺は現実的にそう答え。


 「そう言われればそうだよねぇ♪」


貴女は明るく笑いながら、
そう答えた。












馬鹿か俺は。

きっと貴女は、
必死に笑って居たに違いない。


2003年09月02日(火)


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History
2002年09月02日(月) 目を輝かせていますか
2001年09月02日(日) 両想いでも平気ですか



< 内緒は良い隠し味に成りませんか >


香辛料の効き過ぎは、
お互いを駄目にしてしまうけれど。

其れが無ければ、
お互いを怠惰にしてしまうから。



胡椒少々塩少々は、
お互いの努力に結び付く可能性を秘めた、
必須な物だと思うから。







「秘密」と言う香辛料では、
其の効き目に、
お互い参ってしまうだろうけれど。


「内緒」程度の香辛料を、
少し御洒落に振掛けてみようよ。












 「にやっ。」


貴女からの文に、
こう答えた。



 「内緒。」


貴女からの電話には、
そう答えた。













俺と小さな彼との間で交わされた、
受話器越しの会話の後に。

貴女から届く、
迫力の無い詰問。



 「小さな彼と何話してたの?」
 「彼に聞いても『にやっ』ってするだけなんだもん。」









俺だけが小さな彼に嫉妬するのは、
少し悔しいから。



たまには貴女も、
本気で息子に嫉妬してよ。


2003年09月01日(月)


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2001年09月01日(土) 二人の歩みに差を感じませんか





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