< 沈黙に勝る物が有るのでしょうか >
この選択肢が、 正しい解答であったかどうかなど。
俺の立場から判断する事は、 決して出来る筈は無いけれど。
もう何度も、 繰り返して来た事だから。
「遅くにごめん。」 「誕生日おめでとう♪」
遠慮がちに届いた、 アイツの文にも。
「また大きな地震が有ったけれど。」 「大丈夫ですか?」
揺れの直後に届いた、 アイツの文にも。
未だに俺は、 何の反応も示さない。
半端な答えなど、 アイツには必要ない。
離れる為に。
未だ飛べぬアイツが、 俺から羽撃いて行く為に。
折角の記念日だけれど。
俺はアイツに、 最大限に思いを込めた沈黙を、 送ります。
---------- References Apr.19 2003, 「本当は何が詰まった文ですか」 |
2003年08月30日(土)
---------- History
2002年08月30日(金) また一つ支えが増えましたか
< 離れていても共に学べますか >
遂今し方、 電話を切ったばかりなのに。
直後に届いた、 貴女からの文が二通。
其の内の一通は、 小さな彼から届いた初めての文だった。
「今日火星見たよ!」 「オモチャの双眼鏡でも丸い形が良く見えたよ!」 「小坊主も見てる?」
見上げた空に、 明るく輝く赤い星が一つ。
隣の星の来訪を見届ける、 偶然の積み重ね。
けれども。
「こっちは雨だと伝えて下さい。」
俺の街と、 小さな彼の街。
遠く離れた距離と、 大きく違う天候と。
霧雨に掏り返られた、 夢の無い話。
見上げたお空に、 明るく輝く赤い星が一つ。
お隣の星が挨拶に来たので、 お母さんと見てました。
「小坊主も見てるかな?」 「電話してみて!」
「自分でしてみたら?」
「恥ずかしい・・・」
今夜は。
そんな恥ずかしがり屋さんと共に、 社会と理科のお勉強。
臨時の家庭教師は、 役に立ったのだろうか。 |
2003年08月28日(木)
---------- History
< 試す言葉が傷を産まないのでしょうか >
安定した愛情は、 必要無い物なのだろうか。
揺さ振らねば、 僅かな変化が起きなければ、 感じられぬ想いなのだろうか。
この手の類の想いは、 失ってこそ感じる愛情なのだろうか。
仕事を始めたばかりの彼女へ、 負担が掛からぬ様に。
時間を合わせ、 都合を合わせて来た奴。
其れでも合わせられぬ都合を見越して。
明日に響かぬ様に先に寝ろと、 彼女へ言った奴。
全て其の彼女と、 話し合って決めた行動だと言うのに。
「先に寝てる。」
其の文を受け取った後の、 夜半過ぎの突然の電話。
「彼氏二号と呑んでたの♪」 「お泊りちちゃおうかなぁ♪」
明らかに酔った声で、 呂律の回らぬ甘えた声で、 予想だにしない状況を報告する彼女。
試されたと理解しつつ、 冗談だと認識しつつも。
「泊まれば?」
奴は捨て台詞を残し、 電話を切った。
「小坊主、何で試すんだ?」
「俺の彼女は犬だからなぁ。」 「こんな事しないよ。」
「俺だって犬だよ?」 「時々猫だけれど。」
「お尻突き上げて脱走する猫だもんな。」
「ははは・・・」
そう言う奴の言葉には、 ほとんど力が無いのだけれど。
彼女が奴を求めたからこその言葉だと言う、 其の理解はきっと正解で。
其れが在る限りは、 奴は立ち直って彼女へ向かって行くのだろう。
今まで何度も、 酔って吐き出して来た彼女だから。
普段は口にすら出来ない言葉を、 何度も吐いて来たから。
「まずは彼女の話を聞いてあげな。」
俺は一言、 奴にこう答えた。
---------- References Aug.12 2003, 「言葉に踊らぬ術が身に付きますか」 Jul.27 2003, 「対等の土俵に登れますか」 |
2003年08月27日(水)
---------- History
2001年08月27日(月) 許されない恋が育っていますか
< 夢の中ぐらいは夢を見ませんか >
どんなに努力をしても、 どれだけ努力を繰り返しても。
越えられぬ幅が在る。
一日中想い続けたとしても、 最深部まで深く想ったとしても。
至らぬ場所が在る。
それでも。
何度か流れに漂い、 幾度か流れに逆らいながら。
型に嵌る事が無い様にと常に念頭に置き、 一日想いを廻らす。
想像の型枠は、 自身が創り出す壁だけれど。
貴女は型枠共、 何処かに飛んで行ってしまう人だから。
俺が何度も型枠共飛んだ所で、 貴女の想像力に、 手を引っ掛けるが関の山だろう。
「今朝は小坊主に怒られる夢で目覚めた・・・。」
俺はどんな事で、 貴女を怒ったのだろうか。
其の原因を探りながら一日を過ごせるのは、 幸せな事に違いない。
今日一日の最後に、 答えを聞く事が出来るかな。 |
2003年08月26日(火)
---------- History
< 其の花火の様に稔っていますか >
一時期の不信感を、 徐々に徐々に払拭しつつ在るから。
二人で最初から造り直して来た信頼感が、 段々と段々と、 大きく稔りつつ在るから。
親友である貴女と、 其の彼である俺に対して、 優しい言葉が増えて来たあの人。
「花火に連れて行ってもらうの。」
貴女の明るい言葉。
もしかしたら、 小さな彼を楽しませる為の、 あの人の小さな心遣いかも知れないけれど。
貴女自身の為にも、 かなり大きな心遣いなのだ。
其れ故に、 貴女の涙腺は緩んだのだろうけれど。
其の反動故に、 反射的に俺を求めたのだろうけれど。
あの人の心遣いを、 貴女は素直に受け取って、 目一杯楽しむ義務を負うに違いないんだから。
「楽しんでおいでよ。」
俺の言葉には、 そんな想いを込めました。
花火の最中、 楽しさでは無く切なさを感じてしまった貴女に。
一つだけ伝えよう。
「来年は一緒に見よう。」
俺の住む街の、 花火大会なんだよ。
貴女と初めて出逢った記念日は。
---------- References Dec.13 2002, 「接する距離は教われませんか」 Oct.07 2002, 「暗い道を照らしてくれませんか」 Sep.16 2002, 「何の為の嘘だったのですか」 Aug.05 2002, 「今日は何の日ですか」 |
2003年08月25日(月)
---------- History
2002年08月25日(日) まだ秘密の存在ですか
< 過去を映しながら観ていましたか >
確信に近いと自信を持ちながら、 其処には踏み込めない。
「今日はデートだったの?」
「なんで?」 「相手居ないもん。」
敢えて迂回経路を辿って、 何の事は無い、 一つの話題を受話器に送る。
「テレビ見てたんでしょ?」 「常総だったね。」
「そうそう!」 「かじりついて見ちゃったよ!」
過去か?
会えば必ず、 野球の話をしたあの頃が。
お互いが、 遅々として距離を縮められずに、 心地良い距離感だけを、 何となく感じて居たあの頃が。
常総と言う単語で、 否応無く浮かぶからなのか?
高が此れ式の話をするのに、 何故此処まで戸惑いが在るんだ。
違う。
分相応の領域を超えて、 言葉を掛ける事になるかも知れない。
其の推測と覚悟で、 単に俺が、 常に動揺して話をしているだけだ。
御節介紛いの心配だと理解しながら。
放って置けないなどと、 馬鹿な粋がりを振り翳そうとしている俺が、 意識し過ぎているだけだ。
「責任が無いから良いんじゃない?」
既に二十日も前なのに。
君の吐いた言葉が、 どうしても消えてくれないのに。
「これからデートなんだよ。」 「ふふ。」
態と其の言葉を残す君が、 完全に作戦勝ちだ。 |
2003年08月24日(日)
---------- History
2002年08月24日(土) 俺の声で落ち着けましたか
< 何れが正しい答えでしょうか >
自分の選択だから。 自分が選んだ道なのだから。
誰かに救いを求めるなど、 虫が良過ぎる。
其れを理解していながら。
時として、 何かに寄り掛かりたいとの想いが、 浮かぶのだけれど。
貴女から届く、 朝の定時便。
「重い足を引き摺り職場へ向かう・・・。」 「小坊主も同じ?」
同じ。
其の答えが、 貴女の救いになるだろうか。
違う。
この答えは、 貴女への励ましになるだろうか。
貴女との道を歩むには、 必要不可欠の力試しだから。
俺の足取りは軽いのだと想う。
貴女だって。
自分の道を歩む為に、 資金源的な存在を斬って捨てたのだとしたら。
其の歩みが重くなる筈は無い。
弱音は弱音、 吐いたら直ぐに前を向けよ。
貴女へこの言葉を伝えるのに、 相応しい答えは、 果たして何れだったのだろうか。 |
2003年08月23日(土)
---------- History
< 毎日毎晩触れられますか >
色や形や音達は、 多種多様な流れに乗って少し寄り道をしてから、 想いの核へ届けられるけれど。
其の匂いは、 直接中枢へ飛び込んで来るから。
視覚や聴覚は、 情報の選別を経由してから、 感情の核へと届けられるけれど。
嗅覚からの情報は、 短絡的に事を起こすと言うから。
貴女の香が側に居るだけで、 鮮明に記憶が蘇って来る事など。
生理学的に正確で、 疑問の余地さえ残らないのかも知れないけれど。
人類が獲得した複雑な処理能力と、 動物に固有の本能的な反応と。
何れが勝っているのかと、 貴女へ問えば。
「小坊主って太陽の匂いがするよね?」
「何だって?」
「洗濯物干して部屋に取り込んだ後の匂い。」 「部屋に取り込むと太陽の匂いとはちょっと違うの。」
「・・・」
其の奇特な感性を、 どの様にして手に入れたか。
より複雑な命題を突き付けられそうで、 全てを投げた。
貴女は洗濯の度に。
何度も何度も、 同じ匂いを想い出して居るのか。
何度も何度も、 俺の匂いに触れて居るのか。
俺は最近、 貴女の香に触れていないから。
記憶が薄れそうだよ。
---------- References Jun.11 2003, 「早く我が家に来られませんか」 Dec.25 2001, 「俺の匂いは残っていますか」
---------- Acknowledgement I was impressed by this diary. Thank you very much for your collaboration, あげは. I am glad MAME-chan came back! How are your naughty guy? |
2003年08月22日(金)
---------- History
2001年08月22日(水) 本当に心配していただけだろうか
< 契れぬ想いは何処に向かうのですか >
愛しい女の腹の上で、 死を迎えたら。
雄にとって幸福な事だろうか、 其れとも恥ずべき事だろうか。
未だ生に執着の有る俺の身は、 問いを解く立場にも辿り着いていないけれど。
愛しい男の腕の中で、 死を迎えたら。
雌にとって至福の極致なのだろうか、 其れとも絶望の極限なのだろうか。
性差を有する俺の心では、 埋める事の出来ぬ感覚の差が存在するのだけれど。
きっと貴女は。
自身の姿を、 この昆虫に投影して居たに違いないから。
「あのね・・・」 「甲虫の雌が死んじゃったの。」
貴女が夜中に観察した、 情熱の契り合いが。
門出の刹那か、 本能の狼藉か、 別離の慟哭か。
何れにせよ、 決して暖かな未来を醸し出す行為では無かったのだ。
貴女へ伝えたい想いの数々が、 貴女を魅せたい想いの数々が、 俺には未だ残ってるから。
「雄は知らずに抱き締めてたのかな?」 「それとも悲しんで抱き締めてたのかな?」
そう呟いた貴女を、 抱けなくなりそうで怖い。 |
2003年08月20日(水)
---------- History
2001年08月20日(月) 何故恐れを抱くのだろうか
< 時が奪って行きませんか >
どれ位の期間を短いと看做し、 どれ程の時間を長いと称するのか。
時と場合に左右され、 二人の想いに左右され、 常に変化をし続ける其の基準に。
もう一つだけ、 基準を左右する要因が在る事に気付いた。
二人の間には。
最も大切で、 最も強力で、 最も困難な要因が存在する事に、 今更気付いた。
「プールのある温泉に来てるよ。」
そう伝えて来た貴女が居る、 其の場所は。
俺が行きたいと、 貴女や小さな彼と行きたいと、 そう願った場所。
泳ぎを教え、 親子の触れ合いに喰い込み、 新たな世界を築いて行こうと。
初めて貴女と、 具体的な話を持ち出した場所。
例え月単位や年単位と言う、 長い期間であっても。
俺と貴女の間なら、 想いと言う支柱を楯にして、 待ち続ける事が出来るかも知れないけれど。
小さな彼には、 耐え切れる筈が無い。
時間と言う大きな敵は。
小さな彼を、 鷲掴みにして攫って行かないだろうか。 |
2003年08月17日(日)
---------- History
< 寂しさの裏はまた寂しさでしょうか >
自身の意識から、 言葉は産まれ育つ物だから。
自身の意識を司る領域で、 自身の言葉は、 産まれ、 錬られ、 そして口や手へと運ばれるから。
例え相手を想い、 相手に贈った言葉や文字であっても。
其れは、 自分自身の想いや、 自分自身の状況を、 克明に記録して隠し持って居る。
貴女から届いた言葉に、 素直に浮かんだ一つの言葉。
貴女から届いた文に、 返信として贈り返そうとした言葉。
「それは貴女の気持ちじゃないの?」
この言葉が持つ残酷性に気付いて、 送信の寸前で、 何とか踏み留まった。
盆休みに顔を出す事も出来ずに居る、 親不孝者に。
「お母さん寂しがるんじゃない?」
そう言う貴女の本心が、 何処に在るか。
其れに気付けたのは。
きっと俺の意識下にも、 同じ想いが存在したからに他ならないんだね。 |
2003年08月16日(土)
---------- History
< 俺は昆虫の様に振舞っていたか >
人に備わる、 記憶を長期に渡って残存させる為の仕組みが、 睡眠時に活発化すると言うならば。
永遠に残したいと願った記憶は、 睡眠時の脳の中で、 何度も何度も繰り返し想い出されているかも知れないから。
過去の出来事が何度夢に現れても、 不思議では無いけれど。
過去が鮮明に浮かび上がる切欠は、 過去を夢に映す切欠は、 意識下に与えられた引き金なのだろうか。
其れとも無意識下で、 自身の与り知らぬ引き金なのだろうか。
「小さな彼がね、甲虫を飼ったの。」 「そしたら温泉の夢を見たの。」
「あのさ・・・」 「何で甲虫でそんな前の事を想い出すんだよ?」
貴女の想いの強さは、 人智を超えているのではないか。
いや。
貴女の体内の仕組みは、 生命の神秘をも凌駕する人類の例外なのではないか。
馬鹿みたいに、 真剣に考えを廻らせた。
貴女が記憶を呼び覚ました切欠は、 小さな彼と祖母との間に交わされた、 普通の会話。
「甲虫が交尾したんだよ!」
「もう直ぐ卵産むかもねぇ!」
相変わらず突拍子も無い思考回路に、 呆れ半分の笑い声を、 俺は止めようともしなかったけれど。
貴女の欲求不満が、 他の誰かに依って解消されていない事を知り。
少しだけ安心する。
---------- References Jan.14 2003, 「夢も形に出来ますか」 Mar.01 2003, 「これが神が与え賜う褒美ですか」 |
2003年08月14日(木)
---------- History
2002年08月14日(水) 使えていますか
< 言葉に踊らぬ術が身に付きますか >
言葉を素直に追っても、 真実に辿り着ける保証は無いのだと、 教えてくれた相手。
例え目の前で、 口から飛び出て来た言葉でも。
例え相手に面と向かって、 口にした言葉でも。
底に眠る真の想いを追う事が、 困難を伴うけれど、 本当の核心に辿り着く術なのだと、 教えてくれた相手。
「してやったりじゃん?」
「そうかも知れないね。」
奴の言葉は、 あくまで慎重だけれど。
奴の顔は、 自信たっぷりに笑顔を零す。
奴の精神的な不安定に繋がるなら、 彼女の心だけに、 秘めて封じて行こうとして来たから。
「旦那がそういう人だったから・・・」
息子の精神的な不安定に繋がるなら、 奴は此処には住まないと、 言い続けて来たから。
「息子だってストレス感じてるよ!」
彼女の其の言葉は、 奴に取って、 一見すると辛い言葉だけれど。
事の核心は其処に無い。
奴が初めて、 彼女から勝ち取った言葉。
彼女が其の言葉を、 初めて奴の前で口にした事実が、 二人に取って大きな変化。
腰を据えて問えば、 彼女の真意は別の所に在る事が分かるのだ。
自身を省みて、 俺は奴の力を欲しいと願った。
「強ぇな・・・」
「馬鹿。ビビってんのわからんか?」
うん。 良く分かるよ。
---------- References Aug.09 2003, 「屍を拾えば未だ闘えますか」 |
2003年08月12日(火)
---------- History
< 大人しく寝られましたか >
俺との行為を、 形有る物として文字で表現し、 そして俺に贈る。
貴女との行為を、 形有る物として文字で表現し、 そして貴女に贈る。
貴女と俺と、 行動は何ら変わり無いけれど。
其処に据えてる想いの中身は、 大きな違いが存在すると想うから。
貴女から届いた艶かしい文に、 返信を贈る。
「自爆するよ?」
戯言合戦の結果など、 既に勝敗が見えているのだ。
「身体が敏感に反応してる・・・」
身体の火照りに耐えながら、 今晩も貴女は、 寝床に入る破目に陥るんだ。
だってね。
貴女の文字は、 自身の寂しさ故に産まれた想い。
俺の文字は。
からかい半分には違いないけれど、 貴女を想う故に産まれた言葉。
俺の火照りなど、 俺という一人称など、 何処にも存在していないんだよ。
だから貴女は。
自身で綴った言葉で、 自身の欲情を呼び覚ましてしまう。
違う? |
2003年08月10日(日)
---------- History
< 屍を拾えば未だ闘えますか >
何度伝えても届かぬ言葉。
拒絶の壁を相手が解かない限り、 其の言葉は、 耳にすら到達出来ずに散って行くから。
何度伝えても届かぬ想い。
所詮言葉は想いの代用品であり、 相手の協力が存在してこそ、 届いた言葉が初めて正確に花開くから。
「自信無い。」
相手の目の前で、 近似すれば敗北に値する言葉を吐いた時。
相手の解答が其れと異なっていたら、 事は終焉に向かったのだろうか。
信頼の絆を束ね行くには、 自身の行動による事実の積み重ねが、 唯一の方策だけれど。
信頼の絆を引き千切るには、 自身の行動による事実の積み重ねのみならず、 自身の疑念、 相手の疑念、 事実と異なる精神力の薄弱でも、 十二分に其の機能を果たしてしまうから。
「自信無い。」
「じゃあ終わりにする?」
拒絶の壁は、 想いを遠ざける方向へと、 殊更力を発揮する。
「違うよ。」
奴は自分の想いに自信が無いと、 受け取った彼女。
自分の想いを伝える術に、 自信が無いと呟いた奴。
其の違いを認識する事が、 再び奴の糧になるんだ。
きっと彼女は、 もう直ぐ始まる仕事への不安を、 口にしただけ。
きっと彼女は、 生活の時間配分を掴めずに、 焦っているだけ。
「絶対離すなよ。」 「仕事が始まればチャンスが来るじゃない。」
「だよな。」 「信頼感取り戻してやる。」
そうそう。
彼女の強情や気の強さと、 奴の粘り強さと、 何方に軍配が上がるのか。
しっかり見届けてやるから、 存分に闘って来な。
---------- References Jul.27 2003, 「対等の土俵に登れますか」 |
2003年08月09日(土)
---------- History
< 与えてはならぬ期待でしたか >
期待していた未来が、 実現しないと判る瞬間と。
確定していた事実が、 実現しないと判る瞬間と。
失望の度合は、 何方が高いのだろうか。
確定し得ぬ未来は決して見せる事無く、 焦燥を与え続ける行為と。
僅かな可能性の中へ利かそうとした無理に、 弾かれ落胆させる行為と。
貴女の心は、 何方を是と見做すのだろうか。
「来月も駄目だ。逢えない。」
貴女の中では、 既に確定していた筈の事実を。
けれども俺の中では、 未だ希望的観測で在った事実を。
正確に打ち消した時。
予測と寸分違わぬ声で、 貴女は泣き出した。
至極当然の精神状態。
何故に打ち消したか。
其の事情が何処に在るのか迄、 貴女の考えが及ぶ余裕など決して無いだろう。
期待は。
可能性が有ったとしても、 確約出来ない期待は。
持たせるべきでは無かったのかな。 |
2003年08月07日(木)
---------- History
2001年08月07日(火) 別れは切なかったですか
< 天秤ごと支える力が備わるだろうか >
人は自身の生の数だけ、 過去を抱えるから。
生きて来た証拠として、 何らかの痕跡を残し、 其れは自身をも縛り得る存在だから。
お互いの柵を受け入れる覚悟で、 お互いに想いを届けるのかも知れないけれど。
「重かった?」
そう貴女が心配するのは。
重ね歩んで来たお互いの過去を、 重なった幾つもの想いの重量を、 充分過ぎる程理解しているからに違いない。
けれども。
直接短絡的に想いを繋げるから。
純粋な小児の想いは、 小さな彼の想いは。
時として大きな力と意味を有し、 時として周囲をたじろがせる程の質量を、 有するのだろうか。
「小坊主と結婚しないの?」 「小坊主がしようって言ったらね。」
「自分から言わないの?」 「そんな・・・恥ずかしいもん!」
自身の息子の言葉に、 未だ低学年の餓鬼の言葉に、 本気で照れている貴女を感じながら。
其の上に何層にも重なった、 過去の柵や背負った責務の数々と。
其の底に在る、 確固たる想いの核と。
今何方側に傾くのか、 此れから何れの側に傾き行くのか。
二つを乗せた天秤を、 想い浮かべた。 |
2003年08月05日(火)
---------- History
2002年08月05日(月) 今日は何の日ですか
< 其れは違うと言えないのでしょうか >
もしあの時、 俺が肯定の解答を君に伝えたら。
今頃はどんな関係だったのだろう。
十年前。
俺が生まれ育った土地を離れる事が決まり、 君が俺への想いを初めて告白し、 そして俺の親父の死期が判明したあの時。
俺に今程度の力さえ備わっていれば、 俺は問いに肯定して、 君を惹き寄せたのだろうか。
一つ手前の駅で先に電車を降り、 階段の途中で、 何時までも俺に手を振って居た君に。
ふとそんな想いを抱いた。
唯一の問題を、 金銭的な条件の問題を、 未だに残しつつも。
元の家、 元の苗字、 元の生活、 そして新たな仕事。
徐々に動きを見せ始め、 徐々に前を向き始めているから。
「仕事決まったんだよね♪」 「これで今年は四回目の花火なんだ!」
口から飛び出る言葉の数々は、 良く晴れて暑い、 今日の気候其の物の様に明るかった。
浴衣姿を目にするのも、 二人で花火を見た事も。
実は初めてであった事に、 今更気付いた男に。
「明日もデートなんだ♪」 「少しは八方美人になっても良いでしょ?」 「今までの分を取り戻さなきゃ!」
そう言いながら、 隣で明日の男と算段をしている君へ。
「其の男は違う気がする・・・」
そんな言葉を掛ける権利は無いんだよな。
---------- References May.29 2002, 「逞しく在りますか」 Jun.15 2003, 「人を舐めてやしませんか」 Jun.21 2003, 「幸せ太りに変えられるでしょうか」 |
2003年08月03日(日)
---------- History
< 信頼を失う時でしょうか >
会話に違和感を感じ続けながら、 貴女の中に一欠片も無いであろう想いを、 如何にして浮上させれば良いのか。
何度も試行錯誤した。
例えどんなに努力しようとも、 貴女を満足し得る言葉など、 何処にも存在しないと理解しているのに。
事実を伝えた時。
「やっぱり無理だ。」
そう貴女に伝えた時。
噛み合わぬ会話に、 噛み合わぬ想いに、 先に気付いたのは。
話を振った俺の方だった。
貴女の脳裏に浮かんだ無理の対象と、 俺の脳裏に在った無理の対象は、 似て非なる物。
貴女はただ、 貴女の友人や俺の友人との会食の機会が消えただけで、 俺が貴女の目の前に現れる可能性が消えた事など、 眼中には無いのだ。
「忙しいけれど。」 「何とかするから。」
其の言葉を、 俺の言葉を、 盲目的に信じているから。
貴女の無邪気な笑顔が、 瞬時に曇って行く姿を打ち消せず。
そして同時に。
想いを実現し続ける事で築いて来た信頼感を、 失う瞬間を自覚して。
「違うんだ。」 「行くのも無理なんだ。」
この言葉を搾り出すのに、 震えが止まってくれないんだ。 |
2003年08月01日(金)
---------- History
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