< 触れずに残る痕跡も在るのですか >
其の少なさに驚いた。
其の痕跡が、 ほんの僅かしか無い事に、 焦りを抱いた。
切符の半券や、 記念の写真や、 届いた文や。
逢えば増える、 逢瀬の記録。
交われば増える、 絆の痕跡。
其の少なさに、 寂しさを覚えた。
日付の変わる寸前に、 ふと口を衝いて出た言葉。
「今月はこれだけか。」
携帯に備わった、 通話料金の積算金額と其の時間を、 零に戻す作業をしながら。
貴女へ触れる時間が、 否応無しに少なかった今月を、 想い返す。 |
2003年07月31日(木)
---------- History
< 想いに気付かぬ揺れでしたか >
必然は必然であって、 決して偶然には成り得ないけれど。
偶然は偶然で在れど、 偶然は必然に変化をし得るんだ。
想いと言う要素で。
揺れの始まる寸前に、 発信をしたかも知れないが。
あの朝、 前夜に揺れたと言う其の事実に驚いて、 慌てて発した電話かも知れないが。
偶然にも、 揺れの始まった直後に届いた電話。
あの朝偶然にも、 二度目の揺れが起こった時刻に、 着信した電話。
同時に画面に映し出された大きな揺れと、 其の混乱の最中で、 貴女は何を考えたのだろうか。
分からない。
前回の揺れで感じた想いと後悔を、 脳裏に浮かべながら。
貴女は必死に電話を掛け続けたのだろうか。
分からない。
混乱の最中に居た俺は、 携帯のみならず自宅への電話にすら、 気付かなかったのだから。
御免よ。
留守番電話の光が点滅している事に、 さっき初めて気付いたんだ。
---------- References May.26 2003, 「無事なら良いと想えないのか」 |
2003年07月29日(火)
---------- History
< 対等の土俵に登れますか >
晴れぬ疑問が一つ。
ただしこの疑問は 奴にとって最大且つ最強の疑問。
唐突に放たれた矢。
「俺は旦那に養われているのか?」
親友の言葉は、 自分の弱さを覆い尽くせぬ苛立ちと、 そしておそらくは、 正確な事実の代理人だ。
就職先を探し続けつつも、 未だ其の突破口を探し当てられぬ奴の彼女が。 親へ依存し寄生する人間を、 極端に嫌っている奴の彼女が。
息子一人を抱えて、 生活の糧を何処から手に入れる?
未だ籍を抜かずに居る、 旦那と言う男からしか無いだろう。
半同棲に在りながら。
「でもな、受け取らないんだ。」
奴の食費や生活費を一切受け付けぬ、 彼女の言葉。
「『要らない』と『遣り繰りは上手』の一点張りなんだ。」
「踏み込まなきゃ駄目なんじゃない?」
「其処しか道は・・・無いよな、やっぱ。」
僅か一つの疑問であれ、 其れがどれだけの重みと強さを秘めているのか、 俺自身の手も嘗て理解して来たから。
奴が未だ、 社会に飛び出る前の充電期間に在り、 経済力に敏感な想いを抱く年頃である事も、 俺自身の手で嘗て理解して来たから。
旦那の稼ぎで此処に居るなど真っ平御免だと、 其の想いを伝えるしか無い。
彼女と対等の立場に上がるには、 奴の引け目を引け目としておいてはならない。
「早く自立したい。」
口癖の様に繰り返す奴の彼女だって、 現状を良しとしていないのだ。
きっと道は在るよ。
>> I was impressed by this diary. >> Thank you very much for your collaboration, あおい雪. >> Please take care of back-to-back earthquakes.
---------- References Jan.29 2003, 「何を言えれば良かったですか」 Mar.26 2003, 「今度話しても良いですか」 Jun.06 2003, 「如何受け取るのでしょうか」 |
2003年07月27日(日)
---------- History
2001年07月27日(金) 気持ちが足りなかったですか
< 其の場に居るのでしょうか >
家族団欒の場に、 実体として存在しないかもしれないけれど。
家族団欒の場に、 虚像としては存在している。
事実は喜びの素でも有り、 そして事実は、 逆に悲しみや切なさの源でも有るんだ。
質問合戦と称する、 貴女と小さな彼との間で繰り広げられる、 情報交換。
「一番逢いたい人は誰?」
「小坊主!」
小さな彼の解答は、 他の誰でも無く俺自身。
例え一時の熱であっても、 興味本位であっても、 構わない。
小さな彼の想いが、 俺に向かっている想いは、 決して悪意では無いのだから。
けれども。
声を聞く事すら儘ならぬ最近の俺と貴女の間に、 この話題は、 強制的な寂寥感を伴うのだ。
今夜もまた、 愛情と欲情とをごった煮にして。
「昼にあんな事言われたから。」 「敏感に反応してて辛かった・・・」
今夜もまた、 欲求不満をぶつけ合って。
「興奮状態なんだけど。」 「どうするんだよ・・・これ。」
今夜もまた、 身体の通わぬ貴女と、 想いの中で交わる事しか出来なかった。 |
2003年07月25日(金)
---------- History
< 城の護りを崩して行けますか >
何か貴女が不満を持つと、 何らかの不満が貴女の中に燻ると、 必ず届く顔文字。
合図と言う言葉で簡単に表現するには、 少し軽過ぎるけれど。
貴女自身で解決出来ぬ心の動揺を、 甘え混じりに、 軽く表現した文字。
「私たち危ないみたいじゃない。」 「上手く行って無いみたいじゃない。」
相変わらず、 貴女の事の捩れに対する鋭さには、 舌を巻く。
本音は何処に在るのだろうか。
「そんな事無いよ。」
俺は瞬時に、 貴女へ答えを返したけれど。
本音は何処に在るのか。
通話を遮断した直後から、 頭に想い描き続けた。
御免な。
不満だったんだ。
義兄に御強請りをした貴女が、 俺の存在を隠した事が。
御強請りの品は俺への品である事を、 隠した貴女に。
二人の絆は、 太く強くなって来たとしても。
埋まって来たとは言えぬ、 周囲に張り廻った城壁や外堀。
未だ不安定な関係を強いられるのだと、 頭では理解していても。
俺の心は、 不安定な不確定要素を嫌い、 不安定な曖昧さを避けようとしているのかな。 |
2003年07月23日(水)
---------- History
2001年07月23日(月) 蟷螂の毒を隠していますか
< 次の段階に進んで行けますか >
素直な心は、 裏を返せば単純であり。
両極端な行為は、 裏を返せばはっきりしている。
長所は時として短所になり、 短所は時として長所になり得る事が、 事の難しさであり、 事の根本でもあると想うから。
表と裏。 白と黒。 正と負。
相反する事象を、 何かの拍子に裏返す。
其れだけで絆を強くして行けるとすれば、 人は人で無く、 機械と何ら変わりが無い。
貴女の伝えたい事を、 俺に伝えたい数々の想いを、 全て封印して。
ただ静寂を護り続ける貴女。
貴女の想いの破壊力は、 確かに俺の安らぎを奪いつつあったけれども。
貴女が静寂を保つ事が、 俺の求めた解答では決して無く。
また貴女が静寂を保ち続ける事が、 互いの想いを進める解決策である筈も無い。
そして。
「我慢しているんでしょう?」
そう問うた俺に、 肯定の想いを伝えて来た貴女が、 我慢を続ける事は。
貴女を確実に削り続けて、 逆に貴女自身を破綻に追い込む行為に、 違いないのだ。
我慢じゃ駄目だよ。
指摘を受けて其れに応えても、 其の儘続けているだけじゃ駄目なんだよ。
臨機応変って難しいけれど。
お互いの想いは、 其れが出来るべき段階に来ているんだよ。 |
2003年07月22日(火)
---------- History
< 相手の為に腹が切れますか >
発つ前の、 澱み荒んだ空気。
其の濁り加減を知りつつ、 もう一度、 無理矢理足を突っ込んだ。
避けて通れば、 無事に戻って得られた喜びに飲まれ、 抜け出せないから。
其の負の力を理解しつつ、 もう一度、 無理矢理足を突っ込んだ。
前進の為に。
「貴女をどんな人か理解して。」 「貴女とずっと側に居られる様に努力してるつもり。」
俺が口にした一言は、 自身が振り返る事を禁忌に陥らした、 覚悟の一言。
「今までの自分を思い返してた。」 「目が覚めた感じです。」
そして貴女が返した一言は、 互いが後退する事を禁忌と縛り付けた、 覚悟の一言。
一度口に出した事は、 其の後に変更出来たとしても。
一度口に出した事実は、 二人の間で消える事は無い。
「今ね自分が変われるって気がする。」 「頑張れる気がする。」
俺に言い切った貴女は。
そして貴女に言わせた、 俺自身も。
一方向に突き進む流れに、 身を沈めたからには。
どんな想いが其処に在っても。
課した課題を成さねば、 敗れ去るのみ。
---------- References Jul.04 2002, 「努力を続けて行けますか」 |
2003年07月17日(木)
---------- History
< 後五分は創れませんか >
血が通い始め、 息を吹き返した携帯を弄る手。
四半時前から今迄、 片時も脳裏を離れずに居た行為を、 実行に移せた故か。
僅かに震えている。
自動販売機用に据えられたコンセントへ、 形振り構わず充電器を差し込み。
其の食事の真っ最中から、 未受信の文を受け取りに走った。
最初に飛び込んで来たのは、 紛れも無く貴女の文。
期待を胸に、 開封をして見たけれど。
「遅いよ・・・」
貴女らしい擦れ違いに、 留まる事無く、 微笑みと苦笑いが溢れ出る。
お願いだから後五分だけ、 早く贈ってくれないか。
たった五分で良いから。
後五分だけの気遣いを、 俺に与えてくれ。
其の五分に込める想いが、 凄く大切な物だと俺は想うんだ。
そんな貴女が、 愛おしくて堪らないけれど。
「もし私の声が聞きたくなったら。」 「コレクトコールで電話して!」
この文は、 時を逃しては全く意味の無い文だよ。 |
2003年07月15日(火)
---------- History
2001年07月15日(日) 他人が気になりますか
< 飛行機雲に気が付きましたか >
風が吹けば良いと願った。
強く強く、 風が吹けば良いと願った。
偏西風の勢いが、 力を増せば増す程に。
俺は長く、 貴女の側に留まる事が出来るから。
一週間程前。
そんな想いは、 多量の空気を噴き出しながら空を飛ぶ化け物に、 あっさりと引き裂かれたけれど。
風が吹けば良いと想った。
強く強く、 風が吹けば良いと想った。
偏西風の勢いが、 力を増せば増す程に。
俺は速く、 貴女の側に戻る事が出来るから。
今の今は。
そんな想いを、 多量の空気を噴き出しながら空を飛ぶ化け物が、 叶えてくれるのかも知れない。
「ただいま。」
機上から贈った想いは、 貴女の真上を通過する時に贈った想いは。
貴女に届いたのだろうか。
まさかな。
伝票に囲まれて、 きっと其れどころでは無かったよな。
俺の想いは、 一日の終わりに感じてくれれば、 其れで良いんだ。 |
2003年07月14日(月)
---------- History
2002年07月14日(日) 忘れていませんか
< 同じ月は見られないのでしょうか >
アイツと月を見ながら。
徐々に欠けて行く月を、 アイツと見ながら。
「離れているけれど、同じ月を見ているんだね。」
そんな言葉を送った事が、 在ったかも知れないけれど。
違うんだ。
同じ月など在り得ないんだ。
中世の匂いを、 余す事無く残して居る古都の、 幻想的な月明かりに。
中世の匂いを、 絶やす事無く聳えて居る古城の背後で、 俺を見つめる十三夜の月に。
「貴女と同じ月じゃないのか?」 「貴女の見る月とは違うのか?」
そう問いかけた。
月は満ち欠けを繰り返し、 時と共に姿を変えるのだから。
離れた地に在る人と共に、 同じ月を瞳に残す事など出来ないんだ。
空を見上げて、 瞳に焼き付けた月は。
この地に降り立った時に、 確か三日月だった筈の月は。
もう満ち満ちる寸前に、 其の姿形を変えて居るんだよ。
---------- References Jul.05 2001, 「月明かりの魔法は効きましたか」 |
2003年07月12日(土)
---------- History
< 役立たずを許してもらえますか >
元々何の役に立つと言うのだ。
初めから何の役にも立たないと、 理解していた物じゃないか。
例え一瞬、 光を帯びる事が有っても。
この地では何の力も得られないと、 理解していた物じゃないか。
其れでも。
一度其の光を失った姿は、 貴女との繋がりを立たれた様な気を、 否応無しに浮かび上がらせる。
貴女の居る国に戻っても。
貴女の声が聞こえる大地に、 足を付けたとしても。
「ただいま!」
僅か此れ丈の言葉も、 僅か此れ丈の文字ですらも。
直様貴女に届ける事は、 出来なくなって仕舞ったね。
充電の切れた携帯は、 悪戯に胸を締め付けるしか能の無い、 只の玩具だ。 |
2003年07月10日(木)
---------- History
2002年07月10日(水) 俺は必要無いのですか
< 未開封でも届く文ですか >
流れて行く文字の列。
画面の小さな窓に、 次々と現れ上方から下方へ消えて行く、 文字の列。
瞬く間に見逃してしまう、 流れ星の様に。
窓から覗く其の姿は、 一瞬の内に消え去って行くけれど。
視界には。
其処だけ文字の色が、 違って映った。
良く見覚えの有るアドレスが。
画面に一瞬現れ、 そしてあっさりと消えた。
良く見覚えの有る顔が、 脳裏に一瞬浮き出て。
そして懸命に其れを消した。
贈り主の欄に、 二つ並んだ貴女の携帯アドレス。
今受け取った数十通の文の中に、 貴女の文字が在る。
受信を必要とした優先事項の解決が先であり、 今は未だ、 其れに触れられぬ状況下だけれど。
今受け取った数十通の文の中に、 貴女の言葉が存在する。
其の事実を悟った所で、 何の益をも齎さないのかも知れないけれど。
貴女と半日近く離れた、 この地では。
未読のメールも、 鋼の様に強い御守りなんだね。 |
2003年07月08日(火)
---------- History
< 何故の御機嫌伺いでしたか >
出発の寸前に届いた、 一通の文。
出発の瞬間を見通していたかの様に、 刹那の時間に割り込んで来た音。
聞き慣れない着信音は、 時間に追われた最終作業の手を、 いとも簡単に凝固させた。
「何時に出発するの?」 「気を付けて楽しんで来てね♪」
何程の物か。
出掛けに届いたメールは、 只の質問文じゃないか。
「もう直ぐ空港に向かうよ。」 「急ピッチで準備中!」
何程の事か。
返信したメールだって、 只の会話じゃないか。
大した意図など、 きっと無い。
大した意味など、 何も込められていない。
俺からの手紙が減っているから、 気になっただけだ。
御機嫌伺い序での文以外に、 何の選択肢が在るんだよ。
あの人からメールが来る事など、 皆無に等しいから。
あの人からメールが届くと、 未だに勘繰り、 未だに戸惑いを覚えます。 |
2003年07月06日(日)
---------- History
< 曇った眼だからでしょうか >
真の強さが、 何処に存在する物なのか。
真の強さは、 如何にして手に入れる物なのか。
途方も無い探索の旅を続けても。
解答を見付けられる保証は、 無いけれど。
芯の強さであれば。
心の持ち様と言う手段で、 そっと覆う事が出来るかも知れないから。
高過ぎる依存心。
些細な事でも人を頼り、 何事が起きても人を頼り、 まず甘えて見ないと安心感を得られぬ貴女。
芯の強さを求めても。
少しも変わらぬ貴女の姿に、 痺れを切らし。
「俺が急ぎ過ぎなのか?」 「私が鈍いの。」
他方で頑なに、 変化をしていると主張する貴女。
「それでもプラスに進んでると想う。」 「見えて来ないよ。」
曇った眼では無く、 澄んだ眼で。
貴女を柔らかく見る事が、 如何して出来ない。
しっかりしろ。 俺が弱って居るだけだろう。 |
2003年07月05日(土)
---------- History
2001年07月05日(木) 月明かりの魔法は効きましたか
< 努力を続けて行けますか >
懸命な想いが伝わって来る。
懸命な想いが、 圧倒的な質感を伴って、 迫って来る。
想いとは裏腹に、 目的とは裏腹に、 弾頭の様な過度の破壊力を有しながら。
例え相手がどの様な状況下に在っても。
目の前に相手が居れば、 目一杯の想いで甘え、 目一杯の想いを表現する。
其の威力を受け切れる精神力を、 相手が備えた状況下では。
此れ程心地良い想いは無いけれど。
精神力が枯渇した状況下で、 其の威力を正面から受け止めれば。
其の想いに押し潰される可能性は、 否定出来ないのだ。
貴女の大好きは、 目一杯の貴女を込めた大好きには違いないけれど。
貴女の大好きは、 相手の欲しい大好きでは無くて、 自分の大好きなんだ。
其れ以上でも無く、 其れ以下でも無く、 純な貴女の想いだけれど。
貴女の一方的な想いなんだ。
相手と共に進んで行こうと、 相手と寄り添って歩んで行こうと、 そう欲したとすれば。
相手を理解し、 状況を察知し、 望む行為を推測し提供する事は。
必要不可欠な物に違いない。
「貴女をどんな人か理解して。」 「貴女とずっと側に居られる様に努力してるつもり。」
「貴女はどうなの?」
そう貴女に伝えた俺は。
「私って重いよ?」
口癖の様に、 昔貴女が残した言葉の意味が。
口癖に込められた、 貴女の過去の男達の言葉の意図が。
貴女を理解する事で、 少しずつ分かりかけている。 |
2003年07月04日(金)
---------- History
< 口を封じてしまいましたか >
久々に奏でられる着信音。
「まだ仕事中?」
メールの往復は然程珍しく無いが、 声を聞いたのは、 何ヶ月振りになるのだろうか。
「また仕事始めたんだ!」 「おお!そうなのか。」
仕事の出来る喜びと、 新天地での期待感を、 目一杯の明るさで報告してくれた。
そうか?
本当にそうか?
ただ仕事を始めた事を、 わざわざ電話で伝えて来るのか?
久々に電話をくれたあの子に対して。
「まだ仕事中?」 「うん。週末からヨーロッパだし。」
俺はそう、 無意識の内に先制攻撃を放って。
言いたい事を、 伝えたかった言葉を、 あの子の口を封じてしまったのだろうか。
あの間は。
普段と違うあの間は。
「またね!」
そう言って通話を切ったあの子は、 其の言葉の後ろに、 意識的に無言を添えたに違いない。
---------- References Jun.23 2002, 「繋ぎの種が必要ですか」 Jun.17 2002, 「元気と分かれば其れで充分か」 |
2003年07月02日(水)
---------- History
< 一度きりの言葉じゃいけませんか >
其の時の想いを、 口にしたいと。
其の時の雰囲気を、 大切にしたいと。
そう願う故に。
一度放たれた言葉は、 其の場を切り取り形作られた言葉は、 其の瞬時にしか有効に作用しない言葉であり、 勝負は一度きり。
例え其の言葉に、 どれだけの想いを込めようとも。
「聞こえない♪」 「もう一回言って♪」
「駄目。」 「もうおしまい。」
無条件で甘える貴女に、 同じ言葉を同じ量だけ同じ想いで贈る事は、 決して在り得ないのだ。
貴女が地に降りた頃を見計らって、 携帯を握った。
「只今電話に出る事が出来ません。」
例え貴女の声で応答するとは言え、 無情にも貴女の携帯は、 伝言を残せと応えるのみ。
已む無く、 俺の言葉を貴女の携帯に託し、 通話を閉じた。
電話を切った直後に、 貴女から折り返しの電話。
「もしもし?」 「はいはい?」
「電話くれたよね?」 「うん、伝言残したよ。」
「え?入ってない!」 「入れたよ!」
俺が通話を閉じる寸前に、 貴女が電話に出た事で。
折角残した筈の伝言は、 何処かに消え失せてしまった。
次々と携帯に入る、 催促の文。
「小坊主さま♪」 「メッセージが入ってないよぉ!」 「オ・ネ・ガ・イ♪」
俺の伝言を携帯に残せ残せと、 執拗に届く催促。
言葉は生き物であって、 其の時を逃がしたら、 時と共に変化してしまうんだ。
勝負は一度きり。 其れが伝言であっても。 |
2003年07月01日(火)
---------- History
2002年07月01日(月) 近いですか
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