傍に在り続ければ。
例え僅かで在っても、 其の為人が、 自身に沁み込んで来るのだから。
其の、 時間的な長さに応じて。
既視感や、 納得感が、 増えて来る筈なのに。
一年を経て。
いや、 二十年近くを経ても。
未だに、 其れが少しも増える事無く。
互いに、 独立し続けて居る様な錯覚を、 覚えるのは。
果たして、 望ましい事なのだろうか。
其れとも、 何か足りぬ事の暗示だろうか。
「今日はアンクロワッサン買いに行くと。」
「ん?彼処の?」
「今日は違う方。」
「何処のだよ。」
幾度もの経験は、 互いの理解を早める事も無く。
「職場近くに車で売りに来てた所がお店出すんだって。」
「うむ。付き合ってあげよう。」
「此のオムライス屋さん。」
「お腹一杯。量多いのね。」
増えた筈の、 二人だけの世界も。
別段、 二人の繋がりを強める様に作用する其の、 徴候すらもたらさない。
もしかしたら。
妙な新鮮さと、 長さに応じた違和感とが。
何時も、 何時迄も、 残り続けるのかな。
此の二人には。
---------- References Mar.17 2018, 「一歩目を踏み出せますか」 Dec.08 2001, 「気になり始めているのですか」
|