自身が移り住む、 其の先々では。
気温も、 湿度も、 風も。
森も、 建物も、 田も、 道路も。
雰囲気や、 土地柄も。
確実に、 異なるから。
水の合う地域と、 合わぬ地域が。
必ず在るけれど。
想う相手が、 自身に必要な其の地に、 惑う時。
自身の世界を、 捨て去るべきか。
相手の惑いへ、 蓋を加えるのか。
互いの想いを、 諦めるべきなのか。
其の天秤を傾ける要因は、 果たして、 何者なのだろうか。
「其れじゃ。」 「姫は此処以外には住めないね。」
「そうね。」 「でも此処から北は大丈夫だよ?」
互いが、 寄り添い在る為には。
住まう土地に制約が在ると、 姫は言う。
「小坊主、熱いんだもん。」
「あのな。」 「其れで住む場所迄決めるなよ!」
山背吹く、 此の地の梅雨には。
寄り添う体温は、 確かに、 必要不可欠な物だけれど。 |