既に、 咲き誇る便りの届いた、 其の土地から。
未だ、 綻び掛けの蕾すら疎らな、 其の土地へ。
柔らかな日和に運ばれて。
本来、 花は届くのだけれど。
其処に、 重ね逢わさる想いは。
ずっと、 ずっと。
季節には抗う向きに、 吹いて来たのだ。
其れ故に。
殊更、 印象に残ったのだろうか。
肇の風が、 季節と共に吹いた刻は。
今も、 鮮明に在る。
あの子は。
「前みたいに桜の写真を送って欲しいの。」 「待ち受けにするから。」
今年も。
自身には臨めぬ画を、 渇望し。
殆ど、 間を置かずに。
「其の心算だったよ。」 「後もう二週間位かな。」
「ありがと。」
言の葉を、 返す。
其れは。
決して、 望まれた故の応えでは無くて。
震災直後に届いた、 あの時に。
毎年欠かさぬと心に誓った、 あの子の想いへの、 応えだから。
---------- References Apr.10 2011, 「逆向けの春風でしょうか」
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