何らかの理由で。
互いの在処を行き交う事無く、 想いが続く事は。
然程、 奇異では無いのかも知れないけれど。
如何なる理由でも。
互いの在処を知らぬ儘に、 想いを続ける事は。
信を置けぬ其の闇を、 互いの間に、 肯定し続ける事と。
同義なのだ。
其れ故に。
自身の知らぬ相手の、 拒絶に怯え。
或いは、 半ば諦めながら。
自身を。
盲目的に、 駆り立てる他無いのかも知れない。
「数分で良いから。」 「電話ちょうだい。」
あの子の、 其の電信で。
確かに、 想いが通った事を知る。
「昔の住所で贈ってくれれば。」 「黒猫さんが連絡くれるから。」
「俺が住所を知らなくても。」 「最悪連絡だけは行くって事ね。」
「うん。」
「仕方ねぇな。」 「俺には其れを受け容れるしか無いのか。」
届くか否かすら分からない、 其の、 聖夜の想いは。
俺の知らぬ場所へ。
確かに、 届けられた。
---------- References Mar.19 2013, 「殊更遠い距離でしょうか」 Nov.18 2012, 「探る必要も無い事でしょうか」
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