邪気が在ったかと、 問えば。
皆無だと、 言い切れるのだ。
眼前の、 幸福を噛み締めながら。
祝宴に、 舌鼓を打って居た筈のだ。
けれども。
陰が在ってこその、 陽なのだと。
純白は、 黒にこそ映えるのだと。
御嬢は。
俺を相手に、 遊んで居るのかも知れない。
僅か数時間前に得た、 伴侶の横で。
「また逢いましょうね。」
何時もの、 人当たりの良さを発揮し。
挨拶に回る御嬢が。
「また逢いましょうね。」
「そんな瞳で。」 「見ちゃいけないんじゃないの?」
「ふふ。」
俺の前では。
意味深な、 笑みを置いて去る。
確かに。
立場は。
再び、 対等に成ったけれど。
---------- References Oct.13 2006, 「想いの派生が育みましたか」
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