積み重ねた刻の、 其の深さや。
進み歩んだ路の、 其の色彩に。
一つとして、 同じ物は無いのだから。
其処に在る価値も。
其処に在る想いも。
千差万別に、 他ならないのだけれど。
其れでも。
其の価値や、 其の想いは。
飽く迄。
過去と比較される事で、 其の嵩を、 量られ勝ちだから。
高が、 詰め合わせに。
其処迄の想いが、 宿るのか。
僅かとは言えぬ疑念を抱く。
「長靴が良いの。」 「御菓子の詰め合わせの。」
「山盛りに積んで在ったりする?」
「そうそう。」 「雑貨屋さんとか玩具売り場に在るでしょ?」
真剣に、 硬貨一枚程度の靴を欲した、 あの子の。
其の顔を想い浮かべ。
請われる儘。
半信半疑の儘。
小さな板紙の箱に、 菓子の詰まった長靴を入れた。
聖夜の、 文を添えて。
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