自身の欲を天秤に乗せて。
理や、 義や、 範に準じて。
其の優劣を、 定めるのだけれど。
判断基準が消失した、 酩酊下に於いて。
天秤は、 何方に傾くのだろう。
猿が朝四を欲する様に。
より早い望みが、 優先的に選択されるのか。
其れとも。
欲の大小を天秤に掛けて、 より強い望みが、 軽重に反映されるのか。
「泊めても良いですか?」
「お世話になります。」 「よろしくお願いします。」
遠慮がちに、 姫の友人から届いた電話に、 そう応え。
安心して、 眠りに就いた筈の俺の上に。
「玄関が開かなくてさ!」 「面倒臭くなって早く帰って来ちゃったんだよね!」
何時の間にか。
酒臭い息を振り翳して、 支離滅裂の姫が、 居た。
帰って来たって事は。
帰って来たかったって事は。
少しは、 此処に居たいと言う願いが在るって事なのかな。
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