一年に一度。
其の刹那へ、 互いの姿を重ね映す事が、 在るけれど。
其の、 刹那に注ぐ想いの嵩とは、 比較に成らぬ程。
刹那に至る迄の、 日々に。
莫大な想いが、 注がれて居るのだ。
其れ故に。
注がれた想いに乗して、 想いは熟し。
刹那の逢瀬へ、 人を、 駆り立てるに違いない。
空を見上げ。
「一年に一度。」 「繋ぐ手や触れる頬や唇がどんなに待ち遠しいだろう。」 「駆け寄る相手がどんなに愛しいだろうね。」
坂の街の人の馳せる、 其の想いに。
肯きながら。
一方で。
「晴れた空を見てると。」 「今年は無事に天の川を渡ることができるのねって。」 「安心したりして。」
坂の街の人の馳せる、 其の想いに。
天を仰ぐ。
刹那の想い。
其れは、 決して想いでは無い。
俺の街は。
小雨の混じる、 曇天だよ。
---------- References Jul.04 2008, 「還るべき想いも在るのでしょうか」
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