年に、 僅か一度切り。
其の機会を、 必ず逃さぬ強固な想いに、 肖って。
此の手に在る、 願いを。
小さな紙切れに刻み込み、 希うのだ。
其れ故に。
貴重な機会へ、 決して、 戯れの想いなど混ぜぬ様に。
殊更丁寧に、 想うのでは無いのだろうか。
娘の、 冒涜された願いへ。
彦星と、 織姫が、 罰を下さぬか。
ふと、 怖れを抱く。
「笑ってしまいましたよ!」
「可愛らしい願いごとですね!」
保育園に飾られた、 娘の、 願い事を。
保育士の面々は、 嬉々して居るけれど。
娘の、 貴重な短冊を奪い。
「すまっぷのなかいくんがぱぱになりますように」 「いたりあじんとけっこんできますように」
姫は、 自身の願望を刻み込んだ。
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