其の一点一点に、 注視出来ぬ状況下で在る事など。
重々承知の上で、 其処へ、 誘ったのだから。
例え一瞬でも、 其の、 姿を捕らえ。
互いを想えたのならば。
其れで、 十分なのだ。
けれども。
其の、 視線の一端は。
一瞬たりとも、 直接、 其の光へとは向かわず。
其の間に。
必ず、 幼気な姿を介在させて終う。
一昨年以来の。
増した暗闇の中に、 点々と放たれ始める淡い光に。
「ほら見える?」 「蛍だよ〜。」
姫は。
唯、 娘の事ばかりを想い続けた。
そうだね。
一昨年、 姫と観た蛍は。
宿した命を諦める。
宿した命を絶つ。
揺れながらも、 一度、 結論を下した後の、 光だった。
---------- References Jun.21 2005, 「本心は望まぬ出来事なのですか」 Jul.11 2005, 「第一希望は離別でしょうか」
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