自身に眠る、 其の姿を。
他者の介在に因って、 初めて、 目の当たりに知覚した時。
果たして、 悦ぶのだろうか。
其れとも、 戸惑うのだろうか。
或いは、 躊躇うのだろうか。
唐突に、 眼前で溢れ出した、 自身の想いは。
俄には、 受け容れ難かったに違いない。
未だに。
其の想いを、 持て余して了うのだから。
お互いに。
「多分。」 「小坊主しか知らない。」 「私だって知らなかったし。」
他者の触れた指に応じて、 溢れ出す自身も。
「愛してるって言ったのは。」 「小坊主がはじめてなのよ。」
他者の想いに応じた、 其の言葉も。
坂の街の人は。
初めてだと、 そう、 口にして。
俺は、 余計に戸惑い。
殊更、 其の過去に想いを寄せて終う。
---------- References Jul.27 2003, 「進まぬ想いも想いでしょうか」
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