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2013年03月31日(日) |
人間の可能性について。20歳で「九九」を覚えていなかったが、勉強して名古屋大学理学部物理学科に合格した人がいます。 |
◆明日から新年度です。
だからと言って、説教めいたことを書くのは、私の趣味ではありません。
しかし、歴史的事実が、人々に何らかの勇気を与えるかも知れないならば、
それを記すことは許される、と思いました。
この話は以前、一度取り上げていますが、7年も前なのです。
私は、「良い話」や「大事な話」は何度も繰り返し書くことが大切だ、と思うので
今回もその方針にのっとって、書きます。
◆ある男性の実話。小・中学校はオール1だった。技術・家庭と音楽だけ「2」だった。
この男性に関する情報は、2006年6月、テレビ朝日系列の「スーパーモーニング」から得ました。
あまりにも驚嘆すべきエピソードなので、家内が録画しておいてくれたのです(その映像は今はありません)。
のちに大学で物理学を学んだその男性は、小学校・中学校の間、技術と音楽を除いてずっと通信簿が「1」だった。
両親は無理に勉強させなかったが、お前は駄目だとも言わなかった。
中学を卒業して高校へ行っても到底勉強について行けないと思い、たった2つの「得意科目」のうちの一つ、「技術」に着目して、職業訓練の専門学校に行った。
大工になろうとしたのだった。学校を出て、小さな工務店に勤めたが、先輩のしごきがあまりに厳しく、ついて行けない。
その間に両親が相次いで病死し、男性は天涯孤独となった。
男性はもう一つの「得意科目」、つまり、「音楽」ならいけるのではないかと考え、ギターを覚えて、ストリート・ミュージシャンの真似事をした。
とても職業に出来るほどの才能はなかった。
◆ある女性と出遭った。
男性はやむを得ず、工務店などで下働きをして食った。
あるサークルで一人の女性と出遭った。男性は二十歳を過ぎていた。女性は大学に通っていた。
その女性が何故、その男性と付き合ったかは不明だが、男性はどう見ても「馬鹿」に見えないのである。
目に知性の光があった。だから、女性は深く男性の過去を詮索しなかった。
女性は地方公務員試験を受けるつもりだった。
ある日のデートで、男性は女性が公務員試験の問題集を開いて喫茶店で待っているところに到着した。女性は一般教養の「数学」の勉強をしていた。分数の足し算だった。
男性は、そんなことは全然分からない。が、面白そうだと思った。女性に馬鹿にされるのを覚悟で、「それ(分数の計算)はどうやるのか?」と尋ねた。
女性が簡単なテストしてみたら、男性は二十歳をすぎているのに、「九九」を覚えていなかった。
女性は初めて、男性が小学校程度の学力もないことを知った。一瞬、別れようと思ったが、男性のひたむきさに何かを感じた。
それから、懸命に男性に「算数」を教えた。男性はみるみる学力をつけた。
◆23歳で定時制高校に入学
男性はついに働きながら定時制高校に入学した。23歳だった。優秀な成績で卒業した。
既に働いていたので、生活は出来る。男性はくだんの女性と結婚した。
女性は男性がもっている、ひじょうに旺盛な知的好奇心に気づいた。
ある時、アインシュタインの生涯を描いたビデオを見せた。
男性は、そこで述べられている理論的な言葉を、一つも理解できなかったが、大いに感動した。
「物理学」という学問を学びたいと思った。
調べてみたら、男性の住む辺りでは、名古屋大学理学部というところが最もすぐれた学校であると分かった。
男性は妻に「名古屋大学を受験したい」と言った。女性は、さすがに、それは無理だ。働きながら勉強して合格できるようなレベルの学校ではない、と説得した。
しかし、男性は受験を決意した。
朝早く、また、仕事から帰ってきてから夜遅くまで勉強を続けた。
男性は、なんと、現役で名古屋大学理学部に合格した。
天体物理学を専攻し、無事4年間、学問を修めた。
男性は今、自分の体験を伝えることが出来ればと考え、高校で数学の先生をしている。
◆私は、このエピソードに素直に感動し、男性を尊敬しました。
この実話は、月並みな表現になってしまいますが、人間の持つはかりしれない可能性を
実証していると思います。無論、全ての人がこの男性と同じほど上手く行くとは限りません。
この男性の場合、20歳を過ぎても九九を覚えていないと知っても、離れていかなかった、後の奥さんが
非常に重要な転換点になっています。また、想像でしかありませんが、男性が元来極めて優秀に知能の持ち主だったのかも
しれません。
しかし、ごく一般的に、人間、そう簡単にあきらめるものではない、という勇気を、
このエピソードは、与えてくれます。
そして、私が同じ状況に置かれたら、諦めていただろうと思い、この男性を尊敬します。
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