DiaryINDEX|past|will
2005年03月31日(木) |
英国滞在者から先行で献血禁止…変異型ヤコブ病対策 ←米国産牛肉輸入再開など、もってのほかですね。 |
◆記事:英国滞在者から先行で献血禁止…変異型ヤコブ病対策
国内初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(VCJD)患者の発生で、1980〜96年に英仏に1日以上滞在した人の献血禁止措置について、厚生労働省は31日、英国滞在者から先行実施することを決めた。早ければ5月から始める。
日本赤十字社の調査で、同時実施では血液不足に陥る可能性が判明したため。また、尾辻厚労相をトップに献血推進本部を置き、国民に献血への協力を呼びかける。
日赤が同日公表した全国8か所での献血者約3万5000人の調査で、英仏に1日以上滞在した人は全体で5・5%。最も多い東京都は9・8%。英国滞在者に限れば全体で3・6%、東京都は6・7%だった。(読売新聞) - 3月31日23時35分更新
◆コメント:BSEと変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
BSE(牛海綿状脳症)もクロイツフェルト・ヤコブ病もプリオン病の一種です。
プリオン病(prion desease)は、異常タンパク質、プリオンが脳に沈着して生じる病気の総称です。
それが、牛で発症した場合、牛海綿状脳症(BSE)といい、人間で発症した場合は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)というのです。
BSEが発見された1986年頃は、BSEと、クロイツフェルト・ヤコブ病とは関係ないと思われていましたが、その後、研究が進むにつれ、どうやら、BSE(狂牛病)の牛の肉を人間が食べると、感染して、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というのを発症するらしい、ということが明らかになってきました。
◆昨年、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病で初めて日本人が亡くなったのです。
昨年12月に、初めて、日本人が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなりましたが、この患者さんは、特定危険部位(脳、脊髄など)の除去が始まる1989年以前にBSEの牛が最も多い英国に一ヶ月以上滞在していました。その間、現地の牛肉を食べ、感染した可能性が高い、という結論に厚生労働省はたどり着きました。
そこで、英国が本格的なBSE対策を取り始める前に、「1日でも」英国にいた日本人は、BSEに感染した牛の肉を食べて、既に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹っていて、まだ発症していない潜伏期の状態かもしれない。従って、献血させたら、輸血を受けた人に感染するかもしれない、と言うわけです。
1日でも英国に滞在した人は、危険だ、ということですから、専門家は、たとえ一回でも、BSE感染牛肉を食べたら、伝染る可能性がある、と考えているのでしょう。
何せ、現時点では変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の治療法は無く、発症したら確実に死に至る病なのです。
◆それほど警戒するのなら、米国産牛肉輸入再開など出来るわけがない。
アメリカでは2003年12月に初めて、BSE感染牛が出ました(実際はもっと前から感染した牛がいた可能性が高いです)。
日本は、直ちに米国産牛肉の輸入を禁止しました。 さらに、アメリカの食品衛生管理の甘さを見て、輸入再開の為には、アメリカが全頭検査することが、まず大前提だ、と主張しました。これは、正しい措置です。
しかし、アメリカは、プリオンの蓄積が少ない若い牛の肉は安全だ、全頭検査は必要ない、と言ってきました。
アメリカから輸入している牛肉の8割は生後20ヶ月未満の牛だと言われています。
「言われている」というのは、実は、アメリカの畜産業者は日本のように一頭一頭の牛の生まれた日を正確に記録・管理していないのです。
便宜的に肉質から月齢を推定する方法がある、とアメリカはいうのですが、その測定法の信頼性がどうも疑問なのです。
日本の食品安全委員会がその測定法を検証しましたが、途中で、分からないことがあったらしく、アメリカにもっとデータをくれ、と要求したところ、アメリカは「既に、十分なデータを渡したはずだ」と、更なるデータの提供を拒否してきました。ますます、怪しい。
◆先日、「全頭検査見直しを了承」といったのは、和牛の話です。
つい先日、食品安全委員会は日本の牛肉に関しては、今まで発見された最も若いBSE感染牛は生後21ヶ月だったから、20ヶ月以下は検査しなくてもいいかもしれないということをいいました。
これは和牛のことだけを問題にしているのではなく、将来、米国産の牛肉を再開する為には、「全頭検査していなくても構わない、」ことにしておかないと都合が悪いからです。
しかし、繰り返しますが、アメリカは、牛の月齢を正確には把握できていないし、検査法というのも、どうも、本当に信用していいかどうか、甚だ怪しいのです。
第一、本当に20ヶ月以下の牛肉は安全だという証明は、誰も出来ないのです。
ニュース映像を見て愕然としましたが、アメリカの食肉業者は、足もとがよろよろふらついて、明らかにBSEの症状が出ている牛ですら、処理場に運んで、食肉として流通させているのです。
◆結論:アメリカの牛肉は今の状態ではとても危険で、輸入再開すべきではない。
何しろ、日本政府はイギリスに一日でもいたことがある人は献血してはいけない、というのですから、専門家はBSEの牛の肉を一回でも食べれば、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹る可能性が極めて高い、と考えているのです。そして、治療法はない。
それほど、日本政府はBSEに感染した牛肉を食べることを危険視しているのです。
ということは、管理不十分の米国産牛肉の輸入を再開することは出来ないはずです。
それをやったら、明らかに、「危ないと分かっている肉を国民に食べさせる」ことになります。米政府の圧力に屈してはなりません。
2003年03月31日(月) 「今までに死にたいと思った事が無い人は教養の無い人である」(アメリカの精神科医 クレイネス)