JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事1:安倍総裁“金融緩和公約は勝負あった”(NHK 11月25日 18時8分) 自民党の安倍総裁は津市で講演し、衆議院選挙の政権公約でデフレ脱却のために日銀法の改正も視野に入れて ◆記事2:野田首相と安倍総裁の党首討論実現の見通し 意見対立は鮮明に(フジテレビ系(FNN) 11月25日(日)18時47分配信) 民主党が呼びかける、野田首相と自民党の安倍総裁の党首討論が実現する見通しとなった。 ◆コメント:日銀による、国債の「市中買入」と「直接引受」は違います。 私は、以前から、いくら経済全体における「需要」がないところで「金融緩和」をしても、デフレは止まらない 日銀は既に国債を買っている。 といいます。それは、本当です。日本だけではなくて、アメリカもECB(欧州中銀)もやっています。 但し、これは「市中買入」というオペレーション(市場操作)でして、一旦国が発行して、金融機関が保有している国債を 買っているのです。この場合、日銀法の規定があって、買入の限度は、例えば日銀ならば、 「日銀券(おカネです)の発行残高以内の金額でなければいけない」ことになっています。 ところが安倍総裁は日銀法の改正も考える、といっています。これは何を意味するかというと、 日銀に自分でおカネを刷らせて、日本政府が発行した建設国債(だろうが、何国債だろうが同じです)を 無尽蔵に買い取らせようというのです。これを日銀による国債の「直接引受」といいます。 先日、20日(火)、日銀金融政策決定会合の後、白川日銀総裁による定例記者会見が行われました。 その席で、次のような質疑応答がありました。 問)日銀による国債の直接引き受けの是非は? 同じ記者会見の記事ですが、日経がまとめた「要旨」では、 日銀の白川総裁は、政府が公共事業のために発行する建設国債を日銀が全額買い取る案に、 という表現を使っています。日銀の発表した記者会見の全文は、 日本銀行 2012年11月21日【記者会見】白川総裁(11月20日) [PDF 233KB] にあります。 白川総裁の発言を正確に引用すると、 中央銀行が通貨を発行する権限をバックに、国債の引き受け、或いは引き受け類似の行為を行っていくと、 公平に見て、この件に関しては、野田首相が正しく、安倍総裁の発言は詭弁、つまり市中買入れと直接引受を混同させて、 野田首相が、日銀が既に市中買入れを行っていることすら知らない、というような言い方ですが、それを知らない訳が無い。 それよりも問題なのは、安倍総裁は、日銀法の改正を視野に入れる、といっていますが、この文脈に於ける日銀法とは、 先ほど述べた、「日銀は、国債を日銀券発行残高よりも沢山買ってはいけない」というルールのことです。 これを撤廃したら、いくらでも国債を発行し、いくらでも日銀におカネを刷らせれば、「打ち出の小槌」で、無限に通貨(円)を 発行できてしまいますから、次第に日銀券(日本円というおカネ)の価値が希釈されます。 また、国債をいくらでも出せるとなったら、債券市場で国債が供給過剰になります。需要と供給の関係で、国債の価格は 暴落し、これはちょっとややこしいので説明を省略しますが、債券価格と利回りは逆相関関係にあるので、国債の価格が暴落すると 金利が高騰します。金利が暴騰すれば、当然、景気に対して、強烈なブレーキになります。 また、国債を多額保有している投資家、特に銀行も多額の評価損を計上しなければならなくなり、下手をすれば、資本が足りなくなって 潰れてしまいます。 その辺を無視して、安倍総裁は「既に日銀は国債を買っているのだから」というのはあまりにも暴論。 こんな、無茶な金融緩和はありません。 ちょっと、いくら何でも、真面目な政策とは信じられません。 口幅ったいようですが、12月16日の投票日まで、有権者は多少面倒臭くてもマクロ経済を猛勉強する必要があると 思います。よく分からないのに適当に投票するから、国家がとんでもないことになるのです。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2011年11月25日(金) 【音楽】1928(昭和3)年11月22日に、モーリス・ラヴェルの「ボレロ」が初演されました。
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