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JIROの独断的日記
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2012年11月25日(日) 【衆議院選挙】「安倍総裁“金融緩和公約は勝負あった”」←分かっていないと思います。

◆記事1:安倍総裁“金融緩和公約は勝負あった”(NHK 11月25日 18時8分)

自民党の安倍総裁は津市で講演し、衆議院選挙の政権公約でデフレ脱却のために日銀法の改正も視野に入れて

大胆な金融緩和を行うとしたことを民主党が批判していることについて、

「発表してから円は下がり、株価は上がった。『勝負あった』だ」と述べ、

政権公約の正しさが証明されたと主張しました。


自民党は先週発表した政権公約で、デフレや円高からの脱却に最優先に取り組むとして、

日銀法の改正も視野に入れて大胆な金融緩和を行うとしていますが、野田総理大臣をはじめ民主党は

「経済政策として通用しない」などと批判しています。

これについて、自民党の安倍総裁は講演で、「野田総理大臣は『安倍さんが言っている政策は危険だ。

インフレになっていいのか』と驚くべき発言をした。デフレのままでいいような発言で、

こんな人が経済運営をしていたかと世界が驚くと思う」と述べました。

そのうえで、安倍氏は「政権公約を発表してからどんどん円は下がり、株価は上がった。『勝負あった』だ」

と述べ、政権公約の正しさが証明されたと主張しました。

一方、安倍氏は、政権公約で、憲法を改正して自衛隊を「国防軍」と位置づけるとしていることについて、

「世界は自衛隊を軍隊だと認識しており、外に向かって軍隊、

内に向かって自衛隊という奇弁はもうやめるべきだ」と述べました。(注:色文字は引用者による)


◆記事2:野田首相と安倍総裁の党首討論実現の見通し 意見対立は鮮明に(フジテレビ系(FNN) 11月25日(日)18時47分配信)

民主党が呼びかける、野田首相と自民党の安倍総裁の党首討論が実現する見通しとなった。


そんな中、安倍総裁が主張する「建設国債」の日銀買い取りなどの政策をめぐり、意見の対立が鮮明になっている。

野田首相は25日、大阪・吹田市で「(自民党の安倍総裁は)建設国債は、日銀が買い取ればいいと言っている。

日銀の輪転機で、お金をいっぱい印刷すれば、景気が良くなると言っている。そんなのごまかしです」と訴えた。

さらに、野田首相は「建設国債だろうが、借金は借金ではないか。誰が返すのか」と批判した。

自民党の安倍総裁は、三重・津市で「もう笑止千万なんですが、皆さん、日本銀行は毎月、1兆8,000億円も国債をもう買っているんですよ。

実は、そのことを総理大臣が知らなかったということが驚きであります。日本銀行としっかりと調整をし、

思い切った、大胆な金融緩和をやっていかなければなりません」と述べた。

また、野田首相は、自民党が主張する自衛隊の「国防軍」化なども批判しており、

党首討論が実現すれば、激しい議論が交わされるとみられる。(注:色文字は引用者による)


◆コメント:日銀による、国債の「市中買入」と「直接引受」は違います。

私は、以前から、いくら経済全体における「需要」がないところで「金融緩和」をしても、デフレは止まらない

と書いているので、そもそも金融緩和云々に拘る、野田首相、安倍自民党総裁の議論も根本的に的はずれだと

思いますが、この件に関しては安倍さんの言っていることは詭弁だし、考えていることは危険なのです。


安倍総裁は、

日銀は既に国債を買っている。

といいます。それは、本当です。日本だけではなくて、アメリカもECB(欧州中銀)もやっています。

但し、これは「市中買入」というオペレーション(市場操作)でして、一旦国が発行して、金融機関が保有している国債を

買っているのです。この場合、日銀法の規定があって、買入の限度は、例えば日銀ならば、

「日銀券(おカネです)の発行残高以内の金額でなければいけない」ことになっています。


ところが安倍総裁は日銀法の改正も考える、といっています。これは何を意味するかというと、

日銀に自分でおカネを刷らせて、日本政府が発行した建設国債(だろうが、何国債だろうが同じです)を

無尽蔵に買い取らせようというのです。これを日銀による国債の「直接引受」といいます。


先日、20日(火)、日銀金融政策決定会合の後、白川日銀総裁による定例記者会見が行われました。

その席で、次のような質疑応答がありました。
問)日銀による国債の直接引き受けの是非は?

答)中央銀行には通貨を発行する権限がある。それを背景に国債の(直接)引き受けを行うと、通貨発行に歯止めが利かなくなり、さまざまな問題が生じる

(産経新聞 2012.11.20 21:37)

同じ記者会見の記事ですが、日経がまとめた「要旨」では、
日銀の白川総裁は、政府が公共事業のために発行する建設国債を日銀が全額買い取る案に、

一般論と断ったうえで「国際通貨基金(IMF)が発展途上国に助言する際に、やってはいけないことのリストの最上位だ」と強い懸念を示した。

という表現を使っています。日銀の発表した記者会見の全文は、

日本銀行 2012年11月21日【記者会見】白川総裁(11月20日) [PDF 233KB]

にあります。

白川総裁の発言を正確に引用すると、
中央銀行が通貨を発行する権限をバックに、国債の引き受け、或いは引き受け類似の行為を行っていくと、

通貨の発行に歯止めが利かなくなり、その結果、様々な問題が生じるという内外の歴史の教訓を踏まえたものだと考えています。

公平に見て、この件に関しては、野田首相が正しく、安倍総裁の発言は詭弁、つまり市中買入れと直接引受を混同させて、

野田首相が、日銀が既に市中買入れを行っていることすら知らない、というような言い方ですが、それを知らない訳が無い。

それよりも問題なのは、安倍総裁は、日銀法の改正を視野に入れる、といっていますが、この文脈に於ける日銀法とは、

先ほど述べた、「日銀は、国債を日銀券発行残高よりも沢山買ってはいけない」というルールのことです。


これを撤廃したら、いくらでも国債を発行し、いくらでも日銀におカネを刷らせれば、「打ち出の小槌」で、無限に通貨(円)を

発行できてしまいますから、次第に日銀券(日本円というおカネ)の価値が希釈されます。

また、国債をいくらでも出せるとなったら、債券市場で国債が供給過剰になります。需要と供給の関係で、国債の価格は

暴落し、これはちょっとややこしいので説明を省略しますが、債券価格と利回りは逆相関関係にあるので、国債の価格が暴落すると

金利が高騰します。金利が暴騰すれば、当然、景気に対して、強烈なブレーキになります。


また、国債を多額保有している投資家、特に銀行も多額の評価損を計上しなければならなくなり、下手をすれば、資本が足りなくなって

潰れてしまいます。

その辺を無視して、安倍総裁は「既に日銀は国債を買っているのだから」というのはあまりにも暴論。

こんな、無茶な金融緩和はありません。

ちょっと、いくら何でも、真面目な政策とは信じられません。

口幅ったいようですが、12月16日の投票日まで、有権者は多少面倒臭くてもマクロ経済を猛勉強する必要があると

思います。よく分からないのに適当に投票するから、国家がとんでもないことになるのです。

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