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2004年11月25日(木) |
「再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達 」 再処理工場は原発より、危険なのです |
◆記事:再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達
原子力政策の基本となる原子力長期計画を改定中の原子力委員会新計画策定会議(議長・近藤駿介原子力委員長)は12日、原発の使用済み燃料を再処理する現行の核燃料サイクル政策を基本方針とする中間報告を取りまとめた。
国は15日に関係閣僚からなる核燃料サイクル協議会を開き、青森県の三村申吾知事に政策継続の方針を伝える。同政策の中核施設である同県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場がウランを使った試験開始に向け動きだす。
ただ、再処理によって大量に抽出されるプルトニウムを、計画が遅れているプルサーマルや高速増殖炉で消費しきれるのかなど、今後の課題も残った。
中間取りまとめによると、循環型社会の追求やエネルギー安全保障などの観点から総合的に優れる再処理政策を基本方針とする。(共同通信) - 11月12日20時42分更新
◆コメント:核燃料について、勉強しました。核燃料再処理というのは、怖いみたいです。
原子力発電所も火力発電所も、圧力をかけた蒸気をタービン(スクリュー、みたいなものですな。巨大な風車といってもいい)に吹き付けて、それによってタービンが回転して、発電機の動力となり、電気が発生し、そのおかげで、私達は、こうして明かりがついている部屋で、パソコンやインターネットを使うことが出来るわけです。
まことに有難い。
電気なんていうものは、点いているのが当たり前になっているから、つい、忘れるけれども、365日、24時間、発電所で施設を管理、保守、点検、整備してくれる人がいることを忘れてはなりません。
それが彼らの仕事だから当たり前というのは、短慮ですね。かのアインシュタインの言葉にこういうのがあります。
「私は、自分の肉体的・精神的存在のほぼ全てが、他人の労働の上に成り立っていることを、1日に100回は自らに、言い聞かせる。」
◆原発のメリット:地球温暖化対策
火力発電は、石油とか石炭などの化石燃料を燃やす過程で、「温室効果ガス」の代表格である、二酸化炭素を大量に発生させるのです。
私の日記で過去何度も取り上げましたが、地球温暖化が進むと、水面上昇、異常気象の増加(今年なんか、明らかに変でしょう?5月から、台風が来て、上陸した数は過去最高です)、氷河が溶けることによる、内陸部の人の水不足(氷河は真水の塊。貴重な水資源)、氷河の中に、何十万年も前に閉じこめられた、人間がまだ知らないウィルスや最近が存在するので、変な伝染病が流行るかもしれない。と、いろいろあるのです(最近では、11月9日の日記に書きましたから、ご参照下さい。
原発には、それがない。というのが、確かにメリットなのです。日本の電気の30%ぐらいは、現在、既に、原発から供給されています。これを全部火力に戻そうとすると、京都議定書なんて、とうてい守れません。
また、石油は日本で取れないので、中東に大きく依存することになり、中東紛争が起きた時に、「日本は参加しなくていいのか!」という人たちを喜ばせますね。あまり化石燃料に依存しない方がいい。ところが残念ながら、原発には放射能の恐怖が常につきまといます。
◆原発のデメリット:使用済み核燃料からも、放射能が出るのです。
木を燃やしたり、石炭を燃やしたりしたら、後にのこるのは、灰だけですよね。水も出るか・・。兎に角危険なものはない。
ところが原子炉で使うウランというのは、そう言う単純なものではないのですね。原子力発電所では、原子炉でウランの核分裂反応させ、その熱を利用する。ウランが、石炭のように灰になって、放射能を出さないものに変わってくれればよいのですが、そうではない。
しばしば、原発の中で、大きなプールのようなところに使用済み核燃料が浸かってますが、あれを空気中に出したら大変なのです。人間が即死するぐらいの放射能が出ている。死の灰というのは、この、使用済み核燃料のことなのですね。
使用済み核燃料は、猛烈に危険な放射能を発しているのですが、その中から、燃え残りのウランや、核分裂によって新たに生じたプルトニウムが混じっているのです。
◆使用済み核燃料から、ウランやプルトニウムを取り出す施設を「再処理工場」というのです
この、燃えかすに混じった使用済み核燃料から、ウランやプルトニウムを取り出して、もう一度使えるようにするプロセスを「再処理」といい、その施設を「再処理工場」というわけですね。取り出しに成功したら、それをもう一度燃料として使う。この一連の流れを核燃料サイクルというわけです。
引用した記事によれば、国は、この「核燃料サイクル」計画を推進することにしたというのです。
ところが、「再処理」自体が非常に危険な、作業なのです。
使用済み核燃料は、まだ、高温を発しているので、3年〜4年ぐらい水の中で冷やします。青森県六ヶ所村の再処理工場ですね。具体的には。ここまで運んで、プールで冷やすのです。
その後、ジルコニウムという金属のカバーに詰められている使用済み核燃料を、そのカバーごと細かく剪断(せんだん)するのです。
ここが、問題です。この過程においては、どうしても、使用済み核燃料が空気に触れるのです。この、ほんの最初の段階で、すでに危険なわけです。
そのあと、使用済み核燃料は、溶解漕というステンレスの容器のなかで、硝酸で溶かすのですが、この溶解漕から、死の灰が漏れたり、溶解漕自体がぶっ壊れて、中身が流れ出したという例が東海村でも、フランスでも起きている。
つまり、核燃料の再処理というのは、事故がなくても、放射能をまき散らすことになってしまうのです。
完全に放射能を封じ込めたまま、プルトニウムを取り出すという技術を、人間は持っていないのです。
燃料がむき出しになるわけですから、原発よりも、再処理工場の方がもっと危険なのですね。
フランスなどはプルトニウムを使用済み核燃料から抽出するのを断念したようです。
再処理しないなら、捨てるしかないわけで、ガラスで固めて深海に捨てるわけですね。もっとも再処理工場からも、まだ、「高レベル放射性廃棄物」という「死の灰」が出るのです。これらも、ガラスに混ぜて固めて、深海に埋めるというのですが、要するに、たまる一方。ウランの放射能の半減期はU-235が7億年、U-238が45億年です。
◆再処理工場はやめておいた方が良いと思います。
すぐ、核分裂に取って代わるだけのエネルギーを発生させることができる方法がないので、原発自体は仕方がないと思うのです。
ところが、調べれば、調べるほど、再処理施設は危険なことがわかってきました。実際、イギリスやフランスの再処理工場の周囲では、民家の掃除機の埃を調べたらプルトニウムが混ざっていた(いままで、書き忘れていましたが、プルトニウムで原爆がつくれるのですよ)、とか、子供の白血病が増えているとか言われています。
統計を見たわけではないので、厳密にいえば、私がここで因果関係を断定することは出来ませんが、可能性はかなり高い。
CO2による地球温暖化も困るが、再処理工場で事故が起きたら、原爆が落ちたのと同じような影響をもたらすのですから、これも大変怖い。
今のところ代替エネルギーであまり見所のあるものはない。仕方がない。原発存続、しかし、再処理は不可。使用済み燃料の安全な捨て方を専門家によく考えて頂くしかないのです。
◆リンク
日記才人にご登録のhasep様が、じぶん更新日記の中で、私の11月20日付の日記を取り上げて下さいました。
篤く御礼申し上げます。
2003年11月25日(火) 「私は今でも私が取った政策は正しいと信じている」(小泉首相)←そりゃ、そうでしょうね・・・。
2002年11月25日(月) 毎日、食べ物がある、有難さ。東京-平壌1293km。