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2008年11月25日(火) |
「空売り規制、意味のあるものを策定して欲しい=東証社長」空売り規制をしても株価の下落は止まらない。 |
◆記事1:空売り追加規制案を批判=「買い注文なくなる」−斉藤東証社長(11月25日17時1分配信 時事通信)
東京証券取引所の斉藤惇社長は25日の記者会見で、
株安対策として金融庁が12月に導入を検討している空売り規制強化案について
「(そのまま導入したら)買い注文はなくなる」と懸念を示した。
その上で売買実務の実態を踏まえた規制をするよう再考を促した。
斉藤社長は、空売り注文を受ける証券会社に、株券の手当ての確認を義務付ける追加規制案は弊害があるとの認識を示した。
海外投資家などは、機関投資家から大量の銘柄を調達し、わずかの時間差で売買する取引を頻繁に行っている。
追加規制案が適用されれば、空売りのたびに株券の確認作業に時間がかかり、売買タイミングを失いかねないからだ。
このため同社長は「こんな規制をするのは日本だけになる」と批判。
「実際の株式売買方法をよく勉強して規制してもらいたい」と注文を付けた。
◆記事2:各国証券監督当局、空売りなどめぐる国際作業部会を設置(11月25日14時40分配信 ロイター)
[ワシントン 24日 ロイター] 各国の証券監督当局などで構成される証券監督者国際機構(IOSCO)は24日、
不正な空売り、規制されていない金融商品、ヘッジファンドなどの規制されていない金融事業体について
それぞれ検討する3つの作業部会を設置した。米証券取引委員会(SEC)が24日明らかにした。
空売りに関する作業部会は、株の手当てのない空売り(ネーキッド・ショート・セリング)に対する各国当局の対応を調整することに焦点を置く。
SECのコックス委員長は、各国証券当局は
「ショートポジションや取引状況の報告を含め、不正な空売りをめぐる国際的な規制措置で協調するため、早急に対応している」と述べた。
IOSCOは24日に電話会議を開き、緊急を要する規制上の問題について協議した。
コックス委員長はIOSCO専門委員会の委員長を務める。
IOSCOはこのほか、金融危機悪化の一因とされているデリバティブ店頭市場など、
規制を受けていない市場の「透明性を高め」、監督の対象とする方法について検討する部会も設置する。
さらに、ヘッジファンドなどの規制されていない事業体に関する作業部会は、
こうした事業体の取引などに伴うリスクを軽減する方法について提言する。
3部会は次回2月のIOSCO専門委員会および来春の20カ国・地域(G20)会合で報告を行う。
◆コメント:東京証券取引所社長の言うことも尤もであるし、「売りを規制」しても株安は止まらない。
記事1、2共に、内外の証券取引監視当局が株の「空売り」つまり、投資家が実際は手許に無い株を証券会社から借りて市場で売り、
後に(上手く行けば)売ったときよりも株価が下がったところでこれを買い戻し、差益を得た上で、買った株式を証券会社に期日までに返却する、
という手法である。
日本の金融庁ばかりかアメリカのSEC(Securities and Exchange Commission=証券取引委員会)が音頭をとって、
空売り規制をしようとしている。
記事2に書いてある、SECのコックス委員長のコメントはSEC Chairman Cox Statement on Meeting of IOSCO Technical Committeeに載っている。
東証の社長は空売り規制の方法について、今、金融庁が考えているようなことをやったら、手間がかかりすぎて、
プロの、特に海外の投資家は東京市場で売買しなくなるぞ、と、どちらかというと実務面からの危惧を呈しているのであるが、
空売り規制そのものは、ある程度はやむを得ない、と考えているのだろうか。
リーマン・ブラザーズが破綻して数日後、9月19日からアメリカのSECは銘柄を絞って、空売りを禁止したが、10月4日には解除している。
何故解除したか、はっきり言わないが、私は、「空売り規制」は効果が無いことが判ったからだろう、と考えている。
空売りであろうが、実際に手持ちの株を売る場合であろうが、株を売ることが出来るのは、「買い手」がいるからである。
株式の売買取引なのだから、買い手がいなければ誰も売れない。
これは、株に限らず、為替でも債券でも、商品市場(コモディティ)でも、凡そマーケット(市場)取引の原理を考えれば当然である。
言い方を変えると、売りを止めさせたいのなら、皆、ショート・ポジション(「売り持ち」)にさせればよいのである。
少し専門的になる。
マーケット用語で買い持ちを「ロング・ポジション(略して、ロング)」、売り持ちを「ショート・ポジション(同、ショート)」という。
「買い持ち」「売り持ち」とは、何か?
為替の方が簡単なのでドル円の売買を例に取る。
為替においては、百万ドルを「1本」といい、通常10本ぐらいで取引するが、
仮に貴方が、ドルを対円で10本買って、更に10本買って、30本売ったとする。最終的には、
10+10−30=−10
となる。この状態を、貴方のポジションは「ドル・ショート10本」、日本語で言えば「10本のドルの売り持ち」という訳である。
逆に、10本売って、更に10本売って、30本買ったとする。最終的には、
-10-10+30=+10
となる。この状態を、貴方のポジションは「ドル・ロング10本」、日本語で言えば「10本のドル買い持ち」という訳である。
株でも債券でも原理は同じことだ。売り買いを合計して売りが多ければ、「ショート」、買いが多ければ「ロング」というのである。
くどくど説明したが、私が何を云わんとしているか、というと、
マーケットが下がらない様にするには、買い手がいなくなるまで売らせることだ、と言いたいのである。
つまり、マーケット参加者が皆、株のポジションがショートになれば良いのだ。
こうなったら、市場参加者の取るべき行動は一つ。自分が買い手になることである。
誰かがショート・ポジションを閉じ始めたら、株を売った値段より安い値段で買い戻さないと差損が出るから、
我先にと、買い戻しが始まるだろう。
勿論、世界全体が不況で、世界中の企業の業績が不振なのだから、いきなり株が急騰することはあり得ない。
しかし、今まで説明したように、売りを規制しても、株価の下落は止まらないのである。
◆逆の事が不動産で起きたのがアメリカのサブプライムローン問題である。
今の世界同時株安と逆のことが不動産取引で起きたのがアメリカのサブプライムローン問題である。
アメリカ中の住宅ローン専門の金融機関が、通常ならローンを組めないような人にまで、
カネを貸して土地と家を買わせた。土地バブルだったから、不動産価格はうなぎ登りに上昇していた。
だから、住宅ローン会社は、低所得者層に、
「もしも、ローンが返せなくなっても、買った家の価格は買った時より上がっていますから、それを売ればローンを返してお釣りが来ますよ。」
といって、本来なら問題のある人にまで融資をして住宅を買わせた。
その結果、皆が「不動産ロング」になってしまった。皆が買ったから買う人がいない。
こうなったら、不動産価格は上がらなくなる。それで、ローンを返せそうにない人が売り始めた。
一人売り始め、二人売り始め、皆大あわてで、売り始め不動産価格は暴落した。
その結果、ローンの担保に取っておいた住宅の価格は買った時より遙かに安くなってしまった。
家を売っても、ローンは返せない。金融機関からみれば「不良債権」である。
このような不良債権がふくれあがってどうしようもなくなっているのが、今のアメリカである。
逆説的だが、相場は「買うから、下がる。売るから、上がる」のである。
何となくお分かり頂けたであろうか。
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2007年11月25日(日) 「ミサイル防衛、来月から訓練実施…新宿御苑など10か所で」迎撃ミサイル配置計画をエロ写真と一緒に世界にばらまかないでね?
2006年11月25日(土) 雅子妃殿下とトランペット
2005年11月25日(金) 「消費者物価マイナス脱す 量的緩和、解除へ一歩」←日銀の「解除条件」を良く読め。
2004年11月25日(木) 「再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達 」 再処理工場は原発より、危険なのです
2003年11月25日(火) 「私は今でも私が取った政策は正しいと信じている」(小泉首相)←そりゃ、そうでしょうね・・・。
2002年11月25日(月) 毎日、食べ物がある、有難さ。東京-平壌1293km。