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2012年10月13日(土) |
10月14日はレナード・バーンスタイン(1918-1990)の命日です。 |
◆どうして、天才は一度に現れて、同じ時期に亡くなってしまうのでしょう。
音楽の歴史だけみても、常にそういう傾向があります。
年表を見ますと、キリがないのですが、最近発見して一番驚いたのは、1910年前後生まれです。
ハロルド・ショーンバーグという元、ニューヨークタイムズ、首席音楽評論記者だった人が書いた、
大作曲家の生涯(上) 、大作曲家の生涯(中)、大作曲家の生涯(下) は、こういう本の中ではかなり読みやすい本だと思います
(まともな「音楽史」の本というのは要するに教科書ですから、退屈です。「歴史の本」と「歴史の教科書」の関係に似ています)。
さて、大作曲家の生涯(上)、「ベルリーズ」の項にかいてあるのですが、この「幻想交響曲」のオッサン。
天才なんですけど、やはり相当変わっていまして、フランスに公演に来たアイルランドのシェークスピア女優に一目惚れして
何度も、ファンレターを通り越した殆ど「ラブレター」を何度も出すのですが、
女優のハリエット・スミスソンという人はかなり困惑したはずです。彼女はベルリオーズを知らないのですから。
それでもベルリオーズの、彼女への思いは「愛を遙かに超える」もので友人達に打ち明け、狂人のように泣きわめき、
遂に、ある晩、泣き喚いたあとにパリ郊外の森へ消えてしまいました。友人達は
「やつは、首を吊るに違いない」と心配し、手分けして探したそうですが、その「友人たち」が
「リスト、ショパン、シューマン、メンデルスゾーンなど」というものすごい人達なのですね。
のっけから話が大きく逸れましたが、このように天才達というのは一度に現れて消えて行きます。
かつて、ウィーン・フィルは
カラヤンとバーンスタインなら、いつでも振りに来て欲しい。
と言っていたそうですが、そんなことを行って貰える指揮者は今は、いません。
バーンスタインが1918-1990。カラヤンが、1908-1989。ほぼ重なってます。
他の芸術の分野でもスポーツ選手でも何でもそうですが、本当に天才は一度にあらわれ、
一度にこの世からいなくなってしまい、その後数十年は凡人の時代が続きます。
◆バーンスタインの名演の数々がYouTubeに残っています。
お薦めCDを挙げてもいいのですが、晩年のバーンスタインがウィーン・フィルとかコンセルトヘボウなどを指揮した
古典からロマン派の録音はまあ、大抵全部名演ですから、どれを買っても良いといっても過言では無いのです。
YouTubeを眺めていたら、色々なバーンスタイン(モーツァルト、マーラー、ラベル、自作自演)が
見つかったので、それを載せておきます。
なかには、何とウィーン・フィルとのマーラー:交響曲第5番全曲と長いのもありますが、
アダージェットだけでもお聴きになるといいでしょう。
まずはモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き振りしている映像です。
第一楽章、第二楽章、第三楽章、それぞれで一つの映像となっていますが、
このモーツァルトに限りません。いつも申しあげますが全てをお聴きになる
「必要」は全くありません。お気が向いた所だけ、ご覧下さい。
モーツァルト:「ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453です。
Bernstein - Mozart: Piano Concerto No. 17( 1/3)
Bernstein - Mozart: Piano Concerto No. 17(2/3)
Bernstein - Mozart: Piano Concerto No. 17(3/3)
非常に音楽的。上品な演奏です。こういうのを弾くと、モロに才能が分かってしまいます。
次は同じピアノ協奏曲でも技術的には、格段に難しい、モーリス・ラベルのピアノ協奏曲ト長調の弾き振りです。
余程ピアノが上手くないと、弾き振りなどする余裕がない曲です。
Maurice Ravel Piano Concerto in G (Leonard Bernstein)
これは、本職のピアニストでも難しい部類です。バーンスタインは余裕で弾いていますが・・・。
次は長いですが、伝説的名演として知られています。亡くなったコンサートマスター、ゲアハルト・ヘッツェル氏や、
マーラーの5番ではその成否のカギと言っても過言ではない、ソロ・トランペットは神様、アドルフ・ホラーという先生です。
GUSTAV MAHLER SYMPHONY NR. 5
バーンスタインは、作曲家としても「ウェストサイド・ストーリー」など多くの名作を残しています。
「キャンディード序曲」。吹奏楽コンクールでも取り上げられるほど、今や世界中で有名ですが、
良くもこれほど、独創的なことを思い付くものだと、驚嘆します。
亡くなる前年、1989年12月、ロンドン交響楽団で「キャンディード序曲」。
Candide Overture: Leonard Bernstein conducting
バーンスタインに限りませんが、作曲家というのは、この複雑な曲をまず頭の中で鳴らして、
それを楽譜に書くのですが、そもそも、これほど複雑で独創的な作品を「創作する」のは、才能以外にありません。
ピアノを弾けば、本職のピアニストとしても一流だし、指揮者としても世界の超一流オーケストラから
「いつでも、来て欲しい」と言われるし、歴史に残るような名曲を作曲する。
100年に1人出るかどうかというほどの人だと、つくづく思います。
日曜日です。よろしければごゆっくり、お楽しみ下さい。
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