JIROの独断的日記
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夢を見た。かつて仕事で4年ほどロンドンに駐在した頃の記憶の断片が夢の中に再現された。時間にすれば30分ぐらいだが、鮮明な夢だった。これまでも何度もロンドンに再び赴任した夢を見たことがあるが、今日の夢は何故かいままでのものよりも鮮烈であった。 ロンドンにいたときは、今とは比べ物にならないぐらい強いストレスに晒されていた。上司は意地の悪い奴だった。イギリス人の班長と日本人上司の板ばさみになって苦しんだ。しかし、うつ病にはならなかった。あの頃、私は将来自分が精神科に通い、入院までする羽目になるとは夢にも思わなかった。リタリンなどという刺激剤を使わなくても普通に暮らせた。今のような薬物依存者になるとことも、想像だにしなかった。 仕事は大変だったかもしれないが、生活全体としては楽しかった。家は広かったし、目の前にWimbledon Parkという広大な公園があった。車で20分ほど走れば、日本であれば北海道にでも行かなければ見られないような、美しい景色が広がり、その自然の美しい風景の中をドライブすることができた。ヨーロッパ各国にも頻繁に旅行して、行く先々で美しい町並みや自然に感動した。そのような豊かな環境が、ストレスを和らげていてくれたのであろう。 祖国である日本に戻るとき、それまで11年間携わっていた仕事を続けさせてもらいたいと希望したが、叶わなかった。全く別の分野の仕事に従事させられ、神経症になった。始めのころは何とか耐えていたが、やがて、毎朝仕事場に近づくたびに動悸がして、息が苦しくなり、冷や汗が滝のように出た。普通の人にとっては東京屈指のおしゃれな場所だが、私にとっては毎朝が断頭台への行進のようだった。いまでも、その街がテレビに映っただけで嫌な気分になる。ついに精神科の門をくぐり薬を飲みながら頑張ったがだめだった。自分ではもう限界だと思い、主治医に行って休職が必要であるとの診断書を貰った。即座に会社に提出した。幸い上司が理解があるひとで、休職と配置転換の手続きをすぐにとってくれた。 半年休職して、以前の仕事に比較的仕事内容が近い職場に転属になった。職場の人にはすぐに病気の事を打ち明けた。幸運にも、誰も白い目で見ることはなかった。しかし、一旦調子が狂った脳の働きはなかなか元に戻らない。もう4年間も病院に通っているが、前のように働けない。 ロンドンに再び赴任する可能性は最早ゼロだ。それがわかっているから、普段は無意識に抑圧している願望が、夢に出てくるのかもしれない。
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