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2012年06月12日(火) |
「<丹羽駐中国大使>尖閣発言で超党派議連が更迭求め決議へ」←フィナンシャルタイムズを読んだ。 |
◆記事:<丹羽駐中国大使>尖閣発言で超党派議連が更迭求め決議へ(毎日新聞 6月12日(火)19時1分配信)
超党派の「日本の領土を守るため行動する議員連盟」(山谷えり子会長)は12日、国会内で総会を開き、
英紙のインタビューで東京都による尖閣諸島購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使の
更迭を求める決議を採択することを決めた。文言など詳細は調整する。
総会には、自民党やたちあがれ日本など野党に加え、民主党の議員5人を含む約20人が出席した。
玄葉光一郎外相が外務省幹部を通じて丹羽氏に注意したことについて
「更迭する以外に日本政府のはっきりした意思表明はない」(衛藤晟一参院議員)など、不十分だとする意見が続出。
更迭を求めて決議を行うことを決めた。
また、英紙が1日にインタビューしてから記事が出る7日までの外務省の対応に批判が噴出。
北京の日本大使館職員がインタビューに同席していたといい、同省の担当者は
「(発言)内容は記事が出るまで北京の大使館から本省に連絡がなかった。不適切な発言で、それが報告されなかったことは問題だ」
と北京大使館の対応にも問題があったとの認識を示した。
◆【翻訳】Financial Times:“Tokyo warned over plans to buy islands.”(June 6, 2012 12:56 pm)
丹羽宇一郎駐中国日本大使は、東京都による尖閣諸島購入計画は
両国間の関係に極めて深刻な悪影響を与えるであろう、と忠告した。
丹羽大使は、石原慎太郎東京都知事がこの計画を実行したら、
日中関係は、1972年に正常化してから発展させてきた両国関係を脅かすだろう、
と述べた。
丹羽宇一郎大使は、フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、
「石原知事の計画が現実化したら、日中関係に極めて深刻な危機をもたらすことになる。
過去数十年に亘る、両国間の関係改善の努力を水泡に帰すべきではない」と述べた。
丹羽氏の発言は、中国近海における、さまざまな領海争いの最中に為された。
中国の海洋調査船とフィリピン海軍艦船との揉め事にフィリピン政府は抗議し、
ベトナムも、海洋調査を中国に妨害された、と非難している。
この種の紛争は(中国の台頭を懸念する)米国の肩入れにより、一層面倒なことに
なりつつある。パネッタ米国防長官は、アメリカは、アジア太平洋地域で、保有艦船全体の5割だった配備比率を
2020年までに6割とするとの考えを表明した。
尖閣諸島は、長らく日本が自国領土であることを強調しているが、中国側は"Diaoyu Islands”(釣魚島)
と名付けて、中国領と見なし、東アジアに於ける一触即発の危険を孕む地域になっている。
2010年、中国漁船と日本の海上保安庁巡視船との衝突事件は、
外交問題、貿易問題にエスカレートし、一応落ちつくまでに数ヶ月を要した。
丹羽大使の見解は、石原慎太郎東京都知事の計画に対する日本政府側から今までで
最も強い、懸念表明である。
現在、尖閣諸島は私有地であり日本政府が賃借している状態である。
しかし、石原氏は長らく、この日本政府の曖昧な融和的な方法に異を唱えていたが、
今年の4月、東京都が、島の所有者から、尖閣諸島を購入する計画を表明した。
丹羽大使は、石原都知事の計画には法的その他問題があり、購入前調査だけでも、
外交問題になりかねない、と言っている。
丹羽宇一郎氏は大手商社、伊藤忠商事の会長であったが、2010年、
初めての民間出身の駐中国大使に任命された。
日中間の経済的な関係は、この数十年で急拡大している。
日本の財務相のデータによると、昨年1年間の日本と中国の貿易額は27兆円(3,450億ドル)を超えている。
中国側のデータによると、日本から中国への海外直接投資がくは2011年、前年比50%も増加している。
歴史的な問題に起因する両国間の憎悪感情と急速に発達した中国の国力のゆえに、
日中関係は、世界で最も微妙な、外交問題の一つである。
日本政府は、石原都知事の計画に、殆ど反応を示さずにきた。
玄葉外相は、「冷静かつ大局的な観点から対応するべきだ」と曖昧な言葉を発した。
(東京都ではなく)日本政府が尖閣諸島を買い取るという案は、野党・自民党が次の選挙の公約に
掲げようとしている。
しかし、日本政府が尖閣諸島を購入する、という姿勢を表明したら、近年ますます
自らの領有権を強硬に主張する中国は、やはり黙っているわけが無い。
石原都知事の計画に対しては、都議会からも反対意見が出ている。それよりも、
もっと有効な税金の使途があるだろう、というわけである。
それでも、石原知事は1日の定例記者会見で、
都が呼び掛けている尖閣諸島購入に向けた寄付が同日正午現在で約7万件、
総額約10億1048万円に達したと発表した。
共同通信によれば、石原氏は、
「寄付金全体で島の購入があがなえるならそれに越したことはない。税金を使わずに済むのだから」と述べた。
◆コメント:政府の方針に反対だから、って、総理も外相も石原プロジェクトに何も言っていないではないか。
日本の新聞は、駐中国大使の丹羽宇一郎氏の発言を「英紙のインタビューに答え」としか
書いていないが、こういうものはそのインタビュー全体を読み、文脈の中で発言者の意図を
知ろうとするべきであるが、Twitterを見ていると丹羽さんが「日本の権益を守ろうとしない売国奴」とか、
色々ひどい言葉が書いてあるが、彼らの中でFT(フィナンシャルタイムズ)の原文を読んだ人間は1%もいないだろう。
上の翻訳が全てである。
「丹羽更迭論」の理由として「政府の方針に反対したから」という人がいるが、
尖閣諸島は私有地であり、それを購入しようとしているのは東京都(=石原慎太郎)であり、
国の方針がどうなのか。野田首相、玄蕃外相ともに、石原慎太郎が余程怖いのか、まだ、何もいっていない。
日本政府が公式見解を示していないのであるから、
丹羽発言が日本政府の政策・方針に反対している、という批判は論理的に正しくない。
政府の方針が「無い」のだから、反対も賛成もない。
◆丹羽宇一郎、元・伊藤忠商事社長が、どのような人か知らないのではないか?
これもTwitterで見かけたが、丹羽氏が伊藤忠の社長室でふんぞり返っていただけで、
エリートコースまっしぐらで苦労もしらないのだろう、と、本件とは何も関係無いと思うが、
そういうことを書いている人がいた。少しは調べろ、と、言いたい。
私は、今までに何度丹羽宇一郎氏のことを書いたか分からないが、今一度書く。
1999年、経営危機にあった伊藤忠商事の社長に就任した丹羽さんは、調査を命じ、
伊藤忠が4,000億円もの不良資産を抱えていることを知り、一括償却を決めた。
社員にこれまで以上に働けと、要求した丹羽社長は、給与を全額返上し、
1年間無給で働き、社長車も廃止して、電車通勤し、
昼飯は傘下のファミリーマートの弁当とか同じく傘下の吉野家の牛丼で済ませた。
経営立て直しに成功して、史上最高の経常黒字にしたあとも、丹羽氏は電車通勤を続けた。
「日本の領土を守るため行動する議員連盟」が丹羽大使の更迭を要求したそうだが、
この不況下、家計の所得が減り、それでも国民はまじめに納税している。
その税金から国会の費用が賄われている。
国会議員は、
歳費129万円+文書通信交通滞在費100万円(月額。非課税)+立法事務費65万+ボーナス718万+JR無料 etc.
を受け取り、生活に困らない状態で消費税率引き上げを決めようとしている
国会議員は、尖閣諸島は別として、丹羽さんを見習って、次の選挙まで無給で働いては如何であろうか。
◆フィナンシャルタイムズのインタビューのみでは、真意が分からない。
丹羽大使は、何も尖閣諸島は中国の領土だ、と発言したわけではない。
日中間に領土問題が存在するかのような誤解を招いたことがけしからんというが、
実質的には、我が国固有の領土である、尖閣諸島を中国領だという彼の国と
領土問題は確かに存在する。
以下は、私の想像である。
丹羽氏はこの数年の両国関係を見て、2010年中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、
日本は一旦、中国人船長を公務執行妨害で逮捕し、菅直人首相と前原誠司外務大臣は
「国内法で粛々と判断する」と大見得を切ったが、
中国が「報復」と称し、中国本土にいたフジタの社員4人を
「許可なく軍事管理区域を撮影した」として身柄を拘束し、更に
レアアースの日本への輸出を止める、など、殆どヤクザのように凄んできたら、
那覇地方検察庁が勾留延長期限が5日残っている時点で、
わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮して、船長を処分保留で釈放する。
という情けない結果になった、国際世論から見たら、本当に悪いのは中国なのに、
日本はちょっと中国に脅迫されたら、「土下座をして謝った」ように映ったことであろう。
丹羽大使は当時既に中国大使で、船長逮捕に関して、2回も3回も未明に中国の外務大臣に
呼び出されて抗議をされる、など屈辱的な目に遭わされた。
私が思うに、丹羽さん個人としては尖閣諸島に関しても内心、こんちくしょう、と思っているが、
都知事が、あるいは、国が、尖閣諸島を所有者から購入し、それを発表したら、
中国が、ゴタゴタいうのは目に見えている。そのときに、今度は本当に肚を据えて
中国とケンカする覚悟はあるのですか? と、言いたいのではないか、と思う。
字面だけをなぞって、「丹羽大使は日本の国益を損なっている」
という意見は、あまりにも短絡的、表層的で、幼稚だ。
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