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JIROの独断的日記
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2012年03月19日(月) 【音楽】モーリス・アンドレ。ハイドン「トランペット協奏曲」。

◆トランペットの為に書かれた古典派の協奏曲は2曲しかありません。

ピアノやヴァイオリンでは、協奏曲の名曲が一生かかっても弾ききれないほど

沢山がありますが、トランペットは今のようにバルブ・システムが発明され、

3本のバルブを押さえたり放したりすることにより、自由に半音階が吹ける

(ということは、西洋音楽を構成する24の調性全てを自由に吹ける、ということです)

ようになった時期が遅いので、所謂大作曲家の作品はハイドンとフンメルの2曲だけです。

ハイドンの時代に、今のトランペットとは異なるのですが、木管楽器のように、管のあちこちに

穴を開け、それをフルートなどのように、開閉して、音階を比較的楽に吹けるようになり、

この曲ができました。


近・現代の作曲家によるトランペット協奏曲はあり、高度な技術を要求されますが、

音楽としては、少なくとも私には、全然面白くありません。

フンメルも名曲ですが、極論すれば、
トランペット協奏曲は、ハイドンに始まり、ハイドンに終わる。
といっても過言ではありません。


◆モーリスアンドレの特集は続けます。

先月亡くなった、フランスの天才トランペット奏者、モーリス・アンドレの特集を

何度か組みました。

やはり、クラシック・ファンの中でもトランペットを自分で演奏する(していたことがある)方

以外には、殆ど関心を持って頂けないようですが、100年に1人、出るか、出ないかというほどの

天才トランペット奏者ですから、まだまだ、取り上げます。


今日はいよいよ。モーリス・アンドレによるハイドンです。

何度か録音していますが、一番良い録音の一つが、

1971年、テオドール・グシュルバウアー指揮、バンベルク交響楽団との共演だと思います。

アンドレ全盛期にはバラで売っていましたが今は、モーリス・アンドレ・エディション第1集〜協奏曲編1(6CD)です。

6枚組の1枚目に収録されています。

このCD ボックス。「お取り寄せ - 通常ご注文後 18-30 日以内に入荷予定」とあります。

多分このまま行くと間もなく廃盤になります。

興味がある方は、今のうちに買っておかれた方がよろしいかと思います。

クラシックの、しかも、トランペットのCDなど、売れないとなったら、すぐ品切れ(廃盤)になります。


◆ヨーゼフ・ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 HobVIIe/1

それでは、お聴き頂きます。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第一楽章 アレグロ



Trumpet Concerto in E flat major HobVIIe/1 : I Allegro


演奏に文句の付け所がないのですが、ハイドンの楽譜はいくつも「版」があるようで、

この曲など、そんなに幾つもありませんけれど、最近、オーケストラの序奏部で、早くもソロトランペットが

音を出すのですが、これは余計だと思うのですね。ここです


序奏部のこの部分


序奏部



これ、別になくても良いと思います。昔は吹かないのが普通でした。

主題がソロで再現されるところで、初めてソロ・トランペットが音を出した方が

協奏曲らしい。アンドレに文句ではなく、演奏習慣への文句です。


カデンツァはモーリス・アンドレ特有のものです。これを初めて聴いたラッパ吹きは皆唖然とします。


カデンツァ前半より。


カデンツァ前半より。



そしてカデンツァ後半、トリル直前の見事さ。


カデンツァ後半。



カデンツァ後半。



何がすごいのかといわれても、うーん。ラッパ吹いたことがないと、分からないと思います。

すみません。


ところで、モーリス・アンドレも人間、タダ一度だけ、ミスったのを聴いて、

逆に感動したことがあります。これはスタジオ録音ですから、勿論ミスっていません。

2オクターブ近い跳躍のこの部分。最後低いBから高いAsに跳ぶときに

上のAsを出し損ねた事が一度だけあるんです。大阪でしたね。


モーリスアンドレすら、一度はミスった跳躍



モーリスアンドレすら、一度はミスった跳躍



何の楽器でも音が大きく低音から高音、高音から低音に跳ぶのは難しいのです。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第二楽章 アンダンテ・カンタービレ



Trumpet Concerto in E flat major HobVIIe/1 : II Andante cantabile



金管奏者にしてはヴィヴラートを多用するモーリス・アンドレですが、

「アンダンテ・カンタービレ」のこの楽章では、極力、ヴィヴラートを抑えているので、

素朴で淡々とした旋律の美しさが際立っている、と思います。



ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第三楽章 アレグロ



Trumpet Concerto in E flat major HobVIIe/1 : III Allegro



余計な事を書かない方がいいですね。これぞ、アンドレのハイドン。

生で聴いたことがありますが、一生忘れないと思います。

マニアックな記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。

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