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JIROの独断的日記
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2011年12月31日(土) 年末所感

◆「紅白歌合戦」を見ていて考えた。

紅白歌合戦の熱心な視聴者ではないが、今年は、どうなるかと思って見ていたら、

やはり、東日本大震災の被災者や、直接の被災者ではなくても、地震によって大きなショックを受けた

日本人を何とか、元気づけたいという、演出が非常に明らかだった。


勿論、それは「悪いこと」ではないが、「頑張っ」たり、「明日を信じ」たり、「夢を諦め」なければ、

何とかなる、という情緒面を過度に強調する、如何にも日本人の好きな「浪花節」的思考に傾くことには

気を付けた方がいい。


◆科学的・合理的思考の欠如

世の中、あまりにも「科学的合理性」や「論理」「客観性」を強調すると冷酷な印象となる。

それは分かるが、倫理学者、和辻哲郎先生が著書、「鎖国」(上)

始めに書いておられる文章を引用する。

和辻哲郎「鎖国 日本の悲劇」序文より

太平洋戦争の敗北によって日本民族は実に情ない姿をさらけ出した。この情勢に応じて日本民族の劣等性を力説するというようなことはわたくしの欲するところではない。

有限な人間存在にあっては、どれほど優れたものにも欠点や弱所はある。その欠点の指摘は、人々が日本民族の優秀性を空虚な言葉で誇示していた時にこそ最も必要であった。

今はむしろ日本民族の優秀な面に対する落ちついた認識を誘い出し、悲境にあるこの民族を少しでも力づけるべき時ではないかと思われる。

しかし人々が否応なしにおのれの欠点や弱所を自覚せしめられている時に、ただその上に罵倒の言葉を投げかけるだけでなく、

その欠点や弱所の深刻な反省を試み、何がわれわれに足りないのであるかを精確に把握して置くことは、この欠点を克服するためにも必須の仕事である。

その欠点は一口にいえば、科学的精神の欠如であろう。合理的な思索を蔑視して偏狭な狂信に動いた人々が、日本民族を現在の悲境に導き入れた。

がそういうことの起り得た背後には、直観的な事実にのみ信頼を置き、推理力による把捉を重んじない、という民族の性向が控えている。

推理力によって確実に認識せられ得ることに対してさえも、やって見なくては解らないと感ずるのがこの民族の癖である。

それが浅ましい狂信のはびこる温床であった。またそこから千種万様の欠点が導き出されて来たのである。

これは、当時、普通の日本人でも「アメリカと戦争などして、勝てる訳がない」と感じていた人が大勢いたのに、

一部の、恫喝的な狂信的な人々の所為で、「当たり前」のことを口にだすと「非国民」呼ばわりされたり、

しまいには、「大和魂」さえあれば、竹槍でB29を撃墜できる、と本気で信じていた人が実在した、という状況を指している。


今の日本人は、そこまでアホとは言わないが、「紅白歌合戦」を見ていて、喜んだ方には申し訳ないが、

いくら、「頑張っ」ても、「未来を信じ」ても、放射性物質を無効化することはできないのである。

2011年3月11日の地震による、地震そのもの、又、津波による被害、犠牲者だけでも、

史上最大規模の国難であることは間違いないが、もしこれだけだったら、日本人は

時間がかかっても、元通りかそれ以上に復興・開発してしまう、とてつもない能力と勤勉性を

有しているが、原発事故だけは、どうしようも無い。


人類は放射能を消す技術をもっていないのである。福島第一原発から溶融した核燃料は

圧力容器底部を溶かし、さらには、小出裕章京都大学原子炉実験所助教によれば、多分、格納容器も溶かし、

地面に落ちて、「どこかに」存在し、大気に直接触れている。

従って、これを拾い上げて、再び密閉した容器に入れるか。或いは、

溶け落ちた地中で、完全に周り中を固めてしまわないと汚染は続くのである。


消費税、武器輸出三原則、TPPも、既に弊日記・ブログで取りあげたとおり大問題だが、

福島原発の溶融した核燃料が今どうなっていて、どのように処理するのか、はっきりした

方針が立たず、したがって、具体的な行動予定も策定できていないのが、

日本国にとって、最大の問題である。


歌や音楽や、諸々を楽しむ事は人間にとって大切だが、だからといって

最大の問題を忘れたり、意識から排除しては(したほうが、樂だが)いけないのである。

それは、人間が勝手に決めた暦で2011年が2012年に変わっても、

全く変化しない。

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