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JIROの独断的日記
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2010年12月31日(金) 【音楽】「JIROの独断的日記・ジルベスター・コンサート」。モーリスアンドレ、モーツァルト:オーボエ協奏曲、他。

◆一時期絶盤になっていた録音が復刻していました。

「ジルベスター・コンサート」と銘打つには、本当は、ややマニアックなのですが、

私の好きな、トランペットで1年を締めくくらせて頂きます。


モーリス・アンドレというフランスの天才トランペット奏者のことは、

これまで何度も紹介しました。「天才的トランペット奏者」ではありません。

議論の余地は無い。紛れもない「天才トランペット奏者」そのものです。



ずっと昔、NHK毎週木曜日の「NHKシンフォニー・ホール」という、

今の「N響アワー」の源流とでも言うべき番組では、当時非常に冷静かつ公平な

評価をする、音楽評論家・大木正興(まさおき)氏が一人でニコリともしないで、

曲目を解説し、演奏後、再び面白くも可笑しくもない、つまり、全く大衆に迎合する気はない、

と(勿論、そういう言葉は使わないですが、見ていて明らかなのです)いう態度で、

演奏評を加える、という構成の番組でした。

そのクソ真面目な、滅多なことでは冗談めいたことを口にしない大木正興氏が、

全くこの人、ラッパをくわえて生まれてきたのではないか、と思うほどであります。

と、殆ど無条件の大絶賛を下したのが、モーリス・アンドレでした。

今から40年近く前で「トランペット協奏曲」などというのは、全くクラシックでは

傍流だった(今もそうかも知れませんが)だった時代に、大木さんは非常に正しい評価を

した、と、思います。それは、トランペットのことは分からなくても、音楽の演奏そのものを

公平に評価した結果です。



モーリス・アンドレのレコードは一時期、大量にありましたが、

彼が全盛期を過ぎたら、みるみるうちに減り、CD化された録音も多くは絶盤となりました。

しかし、先日たまたま発見しましたが、最近復刻版が(輸入盤ですが)出ました。

Maurice Andre Edition - Concertos Box Vol.1です。6枚で3,600円は

録音の内容に鑑み、安い、と思います。

相当マニアックな分野で、本来、自分がトランペットを吹く人か、

トランペットを非常に好む人しか、買わないでしょう。

だからこそ、ご紹介したいのです。そうしないと、世間に知られないまま、

終わってしまいそうですから。


◆トランペットでモーツァルトの「オーボエ協奏曲」を原調のまま吹いています。

モーツァルトのオーボエ協奏曲は、オーケストラのオーディションや、様々なコンクールで

オーボエ奏者が必ず吹かされるほどで、凡そオーボエを勉強して、この曲を知らないということは

あり得ない。オーボエで吹いても難しいと思いますが、モーリス・アンドレは、この曲を

原調のまま、ピッコロ・トランペットで演奏しています。

気が遠くなるほど難しいと思います。とにかく、お聴き下さい。


モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調 K.314 第1楽章(トランペット版)


Mozart Oboe Concerto (Trumpet) 1st Movement(Trumpet Version)



モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調 K.314 第3楽章



Mozart Oboe Concerto (Trumpet) 3rd Movement(Trumpet Version)



他に、これを吹いた人を私は知りません。

テクニック以前に「音」、です。しかもこれはトランペットにとっては、

非常な高音域。高音になっても音がキンキンしない。ピッコロトランペットと言って、

通常のトランペットの半分の管長の楽器です。管が短いほど、音程は狂いやすくなります。

そのような、ありとあらゆる難しさを全く感じさせない所が天才の天才たる所以です。


◆ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル:4本のトランペットの為の合奏協奏曲。

ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル(Gottfried Heinrich Stolzel)は、

バッハと同時代のドイツの作曲家で、ドイツ中部のゴータ宮廷の楽長をつとめました。

バッハは、1685年生まれ、1750年没。

シュテルツェルは、1690年生まれ、1749年没。

殆ど、生涯が重なっています。


バッハはシュテルツェルのことを尊敬していたらしいですが、

尊敬する余り(?)従来、バッハ先生、シュテルツェルの曲を借用してます。

従来、バッハの作品とされていた曲のいくつかは、実はシュテルツェルの作品だった

ということが、学者先生の研究で判明したそうです。「アンナ・マグダレーナ・バッハの為の音楽帳」

という曲集で、BWV 508「あなたがそばにいたら」("Bist du bei mir")という歌があります。

これは、シュテルツェルの作品だそうです。


それはさておき、Maurice Andre Edition - Concertos Box Vol.1には、

シュテルツェルの「6本のトランペット、フルート、オーボエ、ファゴット、通奏低音の為の合奏協奏曲」という

華やかな曲が収録されています。アンドレ以外のトランペット・パートは彼の弟子たちが、

吹いていますが、ライナーノーツをよく読んだら、トランペット群に唯一の日本人杉木峯夫さんのお名前がありました。

杉木さんはパリのコンセルヴァトアールに留学しておられましたが、アンドレのお弟子さんなのです。

帰国後10年以上も札幌交響楽団・首席トランペット奏者を務めておられました。

どれが杉木さんの音か、「トランペット群」の1人なので分かりませんが、

モーリス・アンドレに認められたからこそ、録音に参加しているのでしょう。

大したものです。

それでは、曲を。


シュテルツェル:「6本のトランペット、フルート、オーボエ、ファゴット、通奏低音の為の合奏協奏曲」第1楽章



Gottfried Heinrich Stolzel Concerto Grosso In D Major For 6 Trumpets I Allegro



同:第3楽章



Gottfried Heinrich Stolzel Concerto Grosso In D Major For 6 Trumpets �� Vivace



絢爛豪華で見事な音楽ですが、これ、バッハの曲だと言われても違和感ないですね。

お互いに作風を真似していたのかもしれません。


◆バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067(トランペット版)

バッハの「管弦楽組曲」は4曲あり、それぞれ構成は似ていますが、

作風は違うのです。2番は本来独奏フルートと管弦楽の「協奏曲」のような形になっていますが、

その独奏フルートパートを、モーリス・アンドレはトランペットで吹いてしまいました。


以前から何度もご紹介しているのですが、

2006年11月25日(土) 雅子妃殿下とトランペット(ココログ)

で一部を載せたのが最初です。


最後の「バディネリ」は動きが速く、演奏がとってもたいへんなので、

旋律が「とってもとってもたいへんだ」に聞こえる、と書いたのが、

予想以上にウケたのを、覚えています。


長く絶盤でしたが、漸く(CD BOXを買えば、ですが)引用元を買って頂けるようになりました。

では、曲を。


バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 1 序曲



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 1 Overture



バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 2 ロンド



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 2 Rondeau



バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 3 サラバンド



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 3 Sarabande



私は、この後のブーレ以降がとくに好きなのです。正確にはブーレ�機↓兇判颪�のですが、

ブーレ�兇�実に切ない。


バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 4 ブーレ �機Ν�



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 4 Bourree �機Ν�



次のポロネーズ、中間部は「ドゥーブル」というのですが、

主旋律を、チェロが弾き、独奏トランペット(原曲ではフルート)はオブリガートを

演奏します。ものすごく高い音でしかも、ブレス(息継ぎ)がなかなか取れない。

聴いて想像する以上に、演奏は難しいと思います。


バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 5 ポロネーズ



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 5 Polonaise



次のメヌエットは比較的簡単ですが、とても美しい。

書き忘れましたが、「管弦楽組曲2番」はアルト・リコーダーでも吹けます。

楽譜が出版されています。

アルトリコーダーと通奏低音のための バッハ管弦楽組曲第2番。

最初は「メヌエット」から練習すると良いかも知れません。


バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 6 メヌエット



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 6 Menuet



最後です。「とってもとっても大変だ」の、「バディネリ」。


バッハ:管弦楽組曲第2番 BWV 1067 7 バディネリ



Bach: Orchestral Suite No.2 In B Minor, BWV 1067 Badinerie



如何でしたでしょうか?

と言っても、今年も残りわずか。お正月にゆっくりとお好きな曲から

ご自由にお聴き下さい。

40年音楽を聴いています。素人の知ったかぶりですが、

モーリス・アンドレは間違いなく、不世出の名手。天才です。


最後になりましたが、

皆様、本年も「JIROの独断的日記」にお付き合い頂き、ありがとうございました。

どうぞ、良いお年をお迎え下さい。


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2009年12月31日(木) 【御愛読御礼】本年も駄文を御愛読頂き、誠にありがとうございました。
2008年12月31日(水) 本年も弊日記・ブログ御愛読ありがとうございました。世の中の景気が悪いので、景気のいい音楽を。
2007年12月31日(月) ベートーベン交響曲全曲演奏シリーズ、完結。交響曲第9番 第三楽章、第四楽章 長らくお付き合い頂きありがとうございました。
2006年12月31日(日) 新年ご挨拶/N響の「第九」所感、というか、知ったかぶりのよもやま話。
2005年12月31日(土) 「第九」の歌詞は何を訴えているのか。
2004年12月31日(金) 正しい新年の挨拶。初夢のことなど。
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2002年12月31日(火) 今、現実にある幸福を見出す。

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