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2010年08月16日(月) |
円高阻止の為に介入をしても、無駄だと思います。 |
◆記事:円急騰 政府・日銀は為替安定へ動け(8月13日付・読売社説)
米国の景気減速懸念から、円高・ドル安に歯止めがかからない。為替安定へ、政府と日銀が連携を強化し、機動的に対応すべきだ。
円相場は1ドル=84円台に上昇した。1995年以来、15年ぶりの水準だ。
この年に79円台の史上最高値を記録したが、このまま円高が進めば、
最高値をうかがう展開もあり得る。対ユーロでも円が上昇し、円独歩高といえよう。
円急騰は、ようやく業績が好転し始めた自動車、電機などの輸出企業の収益を圧迫し、
景気回復に悪影響を与えかねない。
円高に伴う輸入価格の下落により、日本のデフレがさらに長期化することも懸念される。
円高加速が嫌気され、12日の東京株式市場の株価は急落した。
今後の為替相場の動きを警戒しなければならない。
円高が進んだきっかけは、米連邦準備制度理事会(FRB)が10日、
景気判断を大幅に下方修正し、事実上の追加金融緩和策に踏み切ったことである。
市場への資金供給量を減らさずに、長期金利の低下を促し、
景気を下支えする狙いだ。米国でも台頭し始めたデフレ懸念に対し、先手を打つ思惑もあろう。
しかし、市場ではむしろ、雇用悪化と個人消費の低迷など、景気減速への警戒感が一段と高まったといえる。
米国の金利低下で、日米金利差が縮小するという見方も重なり、ドルが売られている。
比較的安定した通貨と受け止められた円が、“消去法”で買われている事情もある。
気がかりなのは、FRBの追加策による景気テコ入れ効果が限定的とみられる点だろう。
財政赤字を抱えたオバマ政権も、新たな景気刺激策を実施しにくい。政策に手詰まり感がみえる。
そこで米当局は、当面は輸出で景気を下支えしようと、
輸出促進にプラスになるドル安の進行を容認する構えのようだ。
財政危機問題を抱えた欧州も事情は同じで、通貨安頼みがうかがえる。
そんな中、円急騰に無策ぶりが目立つのが日本政府と日銀だ。
日銀は10日、金融政策の現状維持を決めたばかりだが、量的緩和策の拡充を含め、
追加策の検討が急務ではないか。あまりにも危機感が足りない。
経済産業省は円高が経営などに与える影響について、企業調査を月内にまとめるという。しかし、これも緩慢すぎる。
政府・日銀は、円高阻止の為替介入をためらうべきでない。
◆コメント:介入をしても無駄だと思います。
読売新聞の13日付社説は、教科書的には大変正しいのですが、現実のマーケットにおける売買は、
このような、日米の経済情勢を勘案して行っているのでは、ありません。
ディーラーといっても色々いますが、このドル円相場は「直物(じきもの)為替」といいます。
スポット・ディーリングとも言いますが、これは、「ディーリング」というと聞こえが良いけれど、
要するに、「丁半バクチ」です。上がるか、下がるか、動かない。この3種類しかない。取引としては、
ドルを売るか、買うか、何もしないか、です。何もしなかったら損もしないけど儲かる可能性もゼロなので、
ディーラーという人種は必ず何かをします。
そして、ここからは理屈ではないのです。
ドル円、直物相場の歴史的安値は79円75銭です。先週の海外で84円台まで円高が進みました。
ここまで来たら、ディーラーという「生き物」は、歴史的安値を更新しないと気が済まないのです。
歴史的安値を付けたのは俺だ、と言いたい。それだけのことです。実際の相場というのはその程度の世界です。
所でドルが対円で値を下げるのは、ドルを売る人がいるからです。
何故、ドルを為替市場で売ることが出来るかというと、買い手がいるからです。
買い手がいなくなったら、ドルを売っていた連中が自分で買い戻すしかありません。
そうなったら、自分が売ったときより、安い値で買い戻さないと、損失が発生しますから、
今度は、狂ったようにドルの買い戻しが始まるでしょう。それまで放っておくしかないのです。
今、介入したら、日銀がドルの買い手になるということですから、余計に売られる事でしょう。
逆のケースが、為替ではありませんが、アメリカの不動産価格です。サブプライムローンは、本来、
過去に延滞の記録があったり、低所得だったり、住宅ローンを組めないような人達にも住宅ローン専門の
アメリカの金融機関がどんどんおカネを貸したものです。何故そんなことをしたかというと、2007年頃まで、
アメリカの不動産価格はずっと上昇し続けていたのです。だから金融機関は、低所得者層にまで、
ローンを組んでローンで買った土地、建物を担保にすれば、これらの値段は、どんどん上がっているから、
ローンを返せなくなっても、土地と建物を売れば、ローンを返済してまだお釣りがきますよ
と、甘言を弄しておカネを貸して、土地・建物を買わせました。ところがあまりにも買ったものだから、
それ以上、買う人がいなくなってしまいました。買う人がいなくなれば、不動産価格は暴落します。
このため、金融機関の思惑ははずれ、皆、土地・建物を売っても、元の値段より安くしか売れず、
住宅ローンを返済できなくなり、住宅ローン専門金融機関は多額の不良債権を抱えることになりました。
そして、サブプライムローンを証券化して、他の投資家に売っていたのですが、何しろ不良債権になって
しまったので、債券化した商品も価格が暴落しました。こういう金融商品に大量に投資したり、
或いは、住宅ローン専門金融機関に融資していた、さらに大きな金融機関も不良債権を抱えることになりました。
それを処理するために、資本金を取り崩さなければならない。それだけ経営の安定性が崩れます。
いつ潰れるか分からない金融機関に短期金融市場で資金を出してくれるところがどんどん減りました。
それで資金繰りが付かなくなって潰れたのがリーマン・ブラザーズです。
話が、それましたが、要するに、アメリカの不動産市場では、皆が不動産を買ってしまったので、
暴落するしかなかった。
だから、日本の為替市場に日銀が介入したら、売りたい連中は喜ぶばかりです。
今は、黙って見ていれば良いのです。そのうち、皆ドル売り持ち(買いと売りを相殺してもまだ売りの方が多いこと。)
になります。皆が売ってしまったら、買い戻すしかありません。
そうしたら、我先にとドルの買い戻しが入る事でしょう。どうしても介入したいのなら、
このタイミングで介入することです。既に買い戻しが始まっているのに、さらに後から
追い立てるように介入するのを、「追いかけ介入」などといいますが、これは短期的には効果があります。
しかし、アメリカも景気の回復が鈍いので先週、FRBは追加的に金融緩和措置を講ずるといっています。
ドルは、今は積極的に買われる地合いにない。中期的にはドル安でしょう。
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