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2010年05月22日(土) |
「東証大引け、大幅に3日続落 年初来安値、欧米株安や為替相場が重荷」←何故こうなるのか。 |
◆記事1:東証大引け、大幅に3日続落 年初来安値、欧米株安や為替相場が重荷(日経 5/21 15:32)
21日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落した。大引けは前日比245円77銭(2.45%)安の9784円54銭だった。
2月9日(9932円)以来、3カ月半ぶりに年初来安値を更新し、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の債務問題が
世界的な株安につながっていた昨年12月2日(9608円)以来、5カ月半ぶりの安値水準となった。
後場には円高基調に一服感が出たことでやや下げ幅を縮小したが、週末とあって買いの勢いは限定的だった。
東証1部の時価総額は296兆円となり、約3カ月ぶりに300兆円を下回った。
前日の欧米株式相場が軒並み大幅安となり、投資家がリスクを回避する流れから日本株にも売りが先行した。
朝方は外国為替市場で円が対ドル、対ユーロそれぞれで上昇し、輸出関連株の採算悪化懸念が広がった。
日経平均の下げ幅は一時300円を超え、取引時間中では5カ月半ぶりに9700円を下回った。
日本時間午前に米上院が金融規制改革法案を可決。デリバティブ(金融派生商品)取引への規制などを通じて
金融市場の流動性が低下するとの懸念が高まり、株価の重荷となった。日銀が昼に新規の貸出制度の素案を発表したが、
「具体策が出ていないため消化不良」との見方があった。北朝鮮情勢の緊迫化を受け、地政学リスクも意識されたという。
◆記事2:ユーロ圏国債に空売り規制=投機抑制へ−ドイツ(時事通信)(2010/05/19-07:52)
ドイツ連邦金融監督局は18日、国内市場で取引されているユーロ圏各国国債に対する、
資産裏付けのない空売りを19日午前零時より一時的に禁止すると発表した。
禁止措置には、各国債に関する資産裏付けのないクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も含まれている。
CDSは企業や国家の破綻(はたん)リスクを売買するデリバティブ(金融派生商品)の一種。
ギリシャ債務危機では、裏付け資産のない投機的なCDS取引が同国債利回りの急上昇を招き、
信用不安を拡大させたとの批判がある。独当局は今回の禁止措置で、
ギリシャなど大幅財政赤字を抱えるユーロ導入国に対する投機をけん制した格好。
金融監督局はこのほか、商銀最大手ドイツ銀行や保険大手アリアンツ、取引所運営会社ドイツ取引所、
再保険大手ミュンヘン再保険など同国の主要な金融関連株に対する資産裏付けのない空売りも禁止する。
これら一連の禁止措置は当面、2011年3月31日までとする。
◆コメント:21日(金)の日経平均株価、1万円割れは、複合的要因。
もともと、東京に限らず、欧州財政危機を原因とする金融不安から世界同時株安の傾向が続いていた。
18日に、記事2で示した通り、ドイツがユーロ圏国債の空売り禁止を発表し、米国で金融規制法案が可決した。
国家権力がこのように自由市場に規制をかけて、良い結果に終わったことは、少なくとも私の記憶には無い。
債券に限らず、株や為替のディーラーは、取引の自由を奪われることを本能的に嫌うので、
空売り規制は、一見債券価格の急落(=金利の高騰)に好影響をもたらしそうだが、
世界の投機筋はユーロ圏を嫌気した。このため、ドイツ政府が債権の空売り規制を発表してから、欧州株が売られた。
さらに金曜日の東京市場に限って言えば、前夜発表された米国の経済指標が予想より悪かったこと、から米国株が売られた影響、
朝鮮半島の不安定な情勢、なかなか平穏を取り戻せない、タイ国内の動乱など「地政学的要因」が重なったため、一挙に
1万円の大台を割り込み、損切りの売りが加速したものと思われる。
◆何故、いつまでも欧州不安が続くのか。
5月10日にユーロ諸国や国際通貨基金(IMF)などが協調して対応策を決めた。
ギリシャなど特定の国の財政が危機に陥った場合には、最大で7500億ユーロを緊急融資する制度、等が主な内容である。
その後も為替市場ではユーロが他の通貨に対して売られ続け、世界的に株価が下がり続けた。
ギリシャは今月19日に約90億ユーロの国債の償還期日を迎えた。それはEUからの融資が約束通り前日18日に振り込まれたので、
無事に償還を済ませた。
しかし、欧州の財政、ひいては金融システムに対する不安は払拭されていない。
これは何故かというと、ギリシャが最終的に財政赤字を減らして、緊急融資で借りた借金を
返済できないのではないか?という不信感が、最大の原因である。
ギリシャ政府は赤字を減らそうと必死に計画を策定しているが、そもそも、ギリシャは国家としてカネを稼ぐ力が乏しい。
ギリシャが世界に誇る工業製品など、聞いたことがない。国の主な産業は「観光」である。
更にギリシャは公務員が多く、彼らは財政赤字の削減に伴い、給料を減らされたり、
ましてや、リストラされることなど、まっぴらご免、とストライキを行う。庶民はどこの国でも
そういう物かも知れないが、自分達はユーロ圏の他の国から借金をして、ようやくデフォルト(債務不履行)を
免れたのだ。申し訳ない、という意識など存在しない。自分達の生活さえ安泰ならば、それでいい。
また、ユーロという単一通貨が裏目に出ている、昔のように(ギリシャの通貨はドラクマだった)、
ギリシャ単独で為替政策を取ることが出来ない。独立した通貨ならば、韓国がウォン安政策をとり、
日本から、大量の観光客が訪れた。ブランド品をやすく買えるという理由だった。
単一通貨ユーロに組み込まれているギリシャは、この手が使えない、ということも、痛い。
◆ドイツの「空売り規制」発表後、一層欧州株が売られたのは何故か。
記事2のとおり、ドイツの金融当局が18日(火)、ドイツの各市場で売買されている、ユーロ圏内の各国国債の空売りを
禁止した。
これがユーロ圏内各国と相談した上での決定ならまだしも、いきなりドイツ単独で規制を発表したので、ユーロ内でも
動揺を招き、ユーロ圏ではない、世界の金融市場からは、ユーロ圏内の足並みの乱れ、政策で揉めている、という印象を与えた。
このため、発表後、米国や東京市場でも株が売られた。
ユーロ圏内では、ギリシャ以外でもスペインやポルトガルの財政危機が危ぶまれているが、
これらの国をユーロ圏全体で支援するといっても、最も負担がかかるのが、経済力のあるドイツだ、
と見られている。ギリシャ支援を決めてから、ドイツの納税者はギリシャや他国の財政不安を助ける為に、
自分達の納めた税金が使われることに対する抵抗があり、政府に対する不信感から、地方選で与党が議席を失った。
このため、ドイツ政府はやや焦り気味で、単独で空売り規制を他国に相談もせずに決めてしまったのは、
いささか勇み足であった。
前述のとおり、空売り規制でも、米国の金融改革法案でも、自由市場に国家権力が何か規制をかけると、
ディーリングの自由度が減るわけで、その市場の株・通貨・債券は売られる傾向にある。これは、今回に限らず
そうなのである。
◆全般にリーマン・ショックの後遺症から抜け出ていない。
世界中見渡すと、アメリカはリーマン・ショックの際、民間金融機関が持っていた不良債権を
国が買い取ったが、不動産価格が元に戻る気配がなく、その不良債権は
処理できていないので、単に民間の損失が公的部門に移っただけである。
加えて、最近、米国景気がやや景気が持ち直しているかと思われたが、ユーロ売り・ドル買いで
ドル高となっているため、アメリカの輸出企業の収益期待を減殺している。
また、随分と景気が良いと気焔を上げていた中国だが、最近では、バブルを警戒し、
中央政府が金融引き締め策を取っているので、中国株も下落している。
中国はユーロ圏への輸出が多く、欧州経済が不振だと、当然、輸出が減り、中国の儲けが減る。
更に、ブラジルやオーストラリアなど「資源国」の通貨や株が売られている。
オーストラリアは今年の始め、景気回復に楽観的で利上げを重ねたので、その影響で、
景気にブレーキがかかっているし、やはり欧州経済の低迷が関係していて、欧州での
工業生産が落ちこめば、資源の需要が落ちこむから、資源国が輸出で儲け続ける可能性に翳りが出る。
サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック後、金融危機を回避するために世界中の政府が財政出動し、
その結果、世界中の銀行が連鎖的に倒産する金融恐慌は確かに防げたが、このために各国の財政が苦しくなり、
その状態は、世界経済が回復し、税収が大幅増にならなければ解消出来ないので、
八方塞がりとなっているのが、残念ながら現状である。
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