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JIROの独断的日記
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2010年05月21日(金) 【音楽】5月21日は、オーボエ奏者、ハインツ・ホリガーの誕生日でもあります。マルチェルロ、アルビノーニなど。

◆音楽が続いて恐縮ですが、あまりにも綺麗なもので・・・・。

 例年、5月21日は、敬愛するトランペット奏者、モーリス・アンドレ(1933-)の誕生日、ということは、年表を確かめるまでもなく

 覚えていたのですが、何とうっかり見逃しておりまして、「天才的」という形容詞が付く世界的オーボエ奏者、

 ハインツ・ホリガー(1939-) の誕生日でもあります。金管と木管で、偶然とはいえ、天才管楽器奏者二人の誕生日が重なる。

 音楽年表をみておりますと、作曲家では例えば、バッハとヴィヴァルディの命日(7月28日)が同じであるとか、

 つい先日過ぎてしまいましたけれども、ブラームス(1833-1897)とチャイコフスキー(1840〜1893)の誕生日が

 同じ5月7日である、という類の偶然にしばしば遭遇します。もう一つだけ挙げるなら、1月5日はミケランジェリ(1920-1995)、

 ポリーニ(1942-)、ブレンデル(1931-)という大ピアニスト3人の共通の誕生日であります。

 どういう因果なのか分かりません。偶然には違いますが、そう言いきってしまうと実も蓋もない。

 面白い事だと思います。


 さて、話が逸れましたが、今日は時事問題では書くことが無い訳ではありません。

 日経平均が暴落し、昨夜の欧州市場、昨夜のニューヨーク市場に続き、世界同時株安となっていますが、

 それに関しては、ギリシャ支援策が決まってもまだ金融危機の恐れがありますよ、と先日書いたばかりなので、

 もう1日、週末ですし、音楽にさせて頂きます。


 ここでご紹介するのは、以前にも紹介した演奏ばかりなのですが、音楽記事を書く度に新しいCDを買っていたら

 私が破産してしまいます。また、毎日このブログには一見さんが多数アクセスして下さっておりますので、

 そういう方々にとっては、初めて聴く音楽になるわけです。以前、ご紹介したときにCDを買われた方は、

 クラシック(厳密に言うと今日はバロックですが)音楽というのは、一度聴いたらお仕舞い、というものではなく、

 読書と同じように暫く時間をおいて聴くと、また別の感興を催したり、意外な発見があったり、忘れていたのを

 思い出したり、ということがあります。ですので名曲の名演奏は繰り返しご紹介しています。


◆マルチェルロのオーボエ協奏曲。あまりにも有名です。

 

実は私は見たことが無いのですが、映画「ベニスの愛」にその第二楽章が使われてから、

 特に知られることになったそうですが、マルチェルロのオーボエ協奏曲。

 これをホリガーがイ・ムジチ室内合奏団と録音したCD、ヴェニスの愛~イタリア・バロック・オーボエ協奏曲集

 これは、独断的に書かせて頂きますが、折角この世に人間として生まれてきたならば、聴かないまま死ぬのはもったいないです。

 音楽は趣味・嗜好によりますから、こういう書き方はなるべく避けるようにしていますが、このオーボエい関しては、やや

 強引な表現を敢えて用いております。まあ、聴いて下さい。映画に使われたのは第二楽章ですが、第一楽章から美しい。


 オーボエ協奏曲 ニ短調≪ベニスの愛≫ 第1楽章:Andante e spiccato



Marcello Oboe Concerto Dmoll Andante e spiccato



バロック音楽というのは、即興とまでは言いませんが(当時は本当に即興だったかも知れないのですが)、演奏者が装飾音を付けて良いのです。

マルチェルロのこの協奏曲の楽譜を見ると、ソロ・オーボエのパートはもっと単純な旋律なのですが、

ホリガーの装飾音は次の第二楽章もそうですが、控えめ過ぎず、くどすぎず、しかもそれを演奏するときのデリケートな

ニュアンスがとても見事だと思います。次が映画に使われた第二楽章です。


オーボエ協奏曲 ニ短調≪ベニスの愛≫ 第2楽章:Andante


Marcello Oboe Concerto Dmoll Andante



いいですねえ。恍惚となるほどのロマンティシズム、寂寥感、切なく、悲しく、美しい。

ちょっとキザなのですが、私はロンドン駐在員だったころ、秋に休暇を取ってヴェニスへ行った事があります。

そのときに、CDウォークマンを持っていって、この曲を夕映えのヴェニスで聴きました。

実にヴェニスなんですなあ。この音楽。気が遠くなるほど、陶酔してしまいました。

ヴェニスにご旅行でいらっしゃるときには、絶対、これを今ならiPodで簡単ですから、

是非持って行かれることをお薦めします(なかなか行けませんけどね。本気で行こうとしたら行けますよ)。


さて、同じCDには、オーボエ協奏曲の傑作と沢山書いているアルビノーニの作品も収録されています。

これも綺麗な曲でね。実に多くのオーボエ奏者が演奏し、録音してます。勿論、宮本文昭さんも。


特に綺麗な、作品9-8をお聴き頂きます。


アルビノーニ オーボエ協奏曲 ト短調 作品9の8 第1楽章:Allegro



Albinoni Oboe Concerto G moll OP.9-8 Allegro



切ない中にも、毅然とした美しさが印象的です。大好きなのです。私は。


次はチマローザです。いいんですよ。これが、また。

彼のスタンダール(あの「赤と黒」の作者です)が、

私が生涯を通して愛し続けたのは、モーツァルト、チマローザ、シェークスピアだ。

という言葉を残しています。他にチマローザに言及した歴史上お有名人を、私は不勉強でしらないのですが、

たとえ、スタンダール1人だったとしても、ここまで言って貰えたら、作曲家冥利に尽きますね。


チマローザ オーボエ協奏曲 ハ長調 第一楽章 Introduzione(Larghetto)



Cimarosa Oboe Concerto C dur Introduction Largetto




やはりオーボエという楽器には、このように切なく、悲しい旋律がよく似合います。

第三楽章なんか胸が張り裂けそうに切ないですよ。


チマローザ オーボエ協奏曲 ハ長調 第三楽章 Siciliana



Cimarosa Oboe Concerto C dur Siciliana



ね?


もう少しだけ。

ホリガーが1967年にイ・ムジチ室内合奏団と録音したアルビノーニ・オーボエ協奏曲集から。


アルビノーニのオーボエ協奏曲は作品番号が9で、8番なら、OP.9-8という書き方になります。

あまり聴かれることがない、11番、Op.9-11の第一楽章です。

アルビノーニ オーボエ協奏曲 変ロ長調 作品9の11 第1楽章:Allegro



Albinoni Oboe Concerto No.11 Allegro



はい。何処か今までと違う、と思われた方がいらっしゃるでしょうが、今日取りあげた曲の中で唯一長調なのです。

(チマローザもハ長調と表示されていますが、それは載せなかった、第二、第四楽章です)。


次で最後です。Op.9-2です。アルビノーニのオーボエ協奏曲でも特にこれが好きだ、

という方が多いのではないかと想像します。


アルビノーニ オーボエ協奏曲 ニ短調 作品9の2 第1楽章:Allegro e non presto



Albinoni Oboe Concerto No.2 Allegro e non presto



第二楽章は、弦楽器群の分散和音の伴奏に乗って、オーボエが最初の音を長く伸ばします。

それだけなのに、聴いていると非常な安らぎを覚えます。こういう楽章は、

速い動きがないだけ、演奏者は音色、旋律の歌い方、などで聴衆を魅了しなければならず、

大変難しいだろうと思います。


アルビノーニ オーボエ協奏曲 ニ短調 作品9の2 Adagio



Albinoni Oboe Concerto No.2 Adagio



と言うわけで、ハインツ・ホリガーのバロックの演奏を集めました。

お楽しみ頂けたでしょうか。

どちら様もよい週末をお過ごし下さい。

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