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2010年02月15日(月) |
ギリシャ財政危機の何が問題なのか? |
◆記事:EU首脳会議でギリシャ財政赤字を協議、必要なら支援(2月12日17時18分配信 CNN.co.jp)
欧州連合(EU)は11日、ブリュッセルで臨時首脳会議を開催、ギリシャの深刻な財政危機問題を協議し、
同国に財政赤字を減らすための徹底的な措置を講じるよう要請した。
EUとしての具体的な支援策には触れなかったが、必要な事態には発動する用意があるとした。
ファンロンパイ常任議長(EU大統領)が記者会見で表明した。ギリシャ政府が財政支援を要請しなかったとも説明した。
ギリシャ財政危機の表面化後、通貨ユーロ安の傾向が進み、EU加盟国は悪影響がユーロ圏、欧州全体に波及することを警戒している。
EU内では緊急融資、ギリシャの公的債務への保証供与や同国債を市場で買い支える案などが浮上していた。
ギリシャが仮に債務不履行に陥った場合、ポルトガル、スペインなど財政不安を抱える国々の状況が悪化する恐れも出ている。
ギリシャの財政赤字は今年、国内総生産(GDP)比12.2%に達すると予想される。
ユーロ導入国は財政赤字を3%以下に押さえることが義務付けられている。(注:太文字は引用者による)
◆コメント:ギリシャの財政危機はギリシャの国内問題なのに、何故、世界中が注目するのか。
これは、答は簡単で、ギリシャはEU(ヨーロッパ連合)加盟国だからです。
Wikipediaによれば、現在の加盟国は27カ国です。
全ての国が共通通貨「ユーロ」を使っている訳ではありませんえ。イギリスはEU加盟国ですが今でもポンドを使っています。
それはともかく、EU(ヨーロッパ連合又は欧州連合)は、経済的には、原則的に単一通貨ユーロで結びついた運命共同体なのです。
要するに経済的には一つの大きな国と言うとやや語弊がありますが、大雑把に言えばそういうことです。
ヨーロッパの国々は一国ずつでは経済力が弱く、とてもアメリカや日本と対等にはなれませんでしたが、
EUという経済共同体を構築したので、巨大な経済圏を形成し、ユーロという通貨は今や、米ドル、日本円に次ぐ
世界の基軸通貨の一つになることが出来たのです。
その代わりに、ギリシャ一国の問題もEU全体の問題と見なされるのです。
「運命共同体」だから仕方有りません。そしてギリシャが破綻すると、他にも財政的にかなり危ない
ポルトガルやスペインも危ないかも知れない。となると世界中の投資家がユーロから離れていきます。
世界通貨の一つであるユーロが暴落したら、或いは欧州全体の株が売られたら、再び世界経済が、
パニックに陥りかねません。
日本もその影響から無縁ではありません。
最近の外国為替市場を見ると、ユーロ避難した資金が日本円を買うので、
ユーロ/円相場は、円高になっています。
円高になったら、日本の輸出企業はもちろんヨーロッパにも製品を輸出しているので、
円にしたときに、売上げが減る訳です。
どうしてこんな事になったかというと、元はと言えば、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻以降、
世界中が不況になり、税収が減ったことなどが原因ですが、それは他の国も同じ事。
ギリシャ政府の前政権の統計がいい加減だったようです。
EU加盟国はユーロの信頼性を保つために財政赤字や国の借金を
GDP(国内総生産)の3%以内に抑えなければならない、という財政基準があるのですが、
ギリシャの財政赤字は、その4倍、GDPの12%に達していたことが判明し、世界中、
ギョエーッ!ウ、ウソだろ?
の気持でしたが、本当でした。EU諸国は、自分の国の財政も苦しいのにギリシャまで
構っていられるか、というのがホンネなのですが、放っておいたら、EU全体の信用が失われ、
欧州株が暴落し、折角、すこーしだけ立ち直り書けていた世界経済が再び大混乱に陥りかねない。
放っておく訳にはいかなくなりました。
そこで11日に、EUはギリシャを支援する意思があることを表明した、というのが、上の記事ですが、
この時点ではどのように支援するのか具体策が全く提示されなかったので、市場の不安が募っています。
15日にユーロ圏財務相会合がブリュッセルで開かれましたが、結構厳しい意見が出ています。
ギリシャは再建資金を市場から調達すべき=フィンランド財務相
とか、
ギリシャ救済ファンドの創設、解決策にならず=ドイツ財務省
などの見出しがでています。いずれにせよ、EUはギリシャに財政赤字を減らすための緊縮財政措置を取ることを促していますが、
自己主張の強いヨーロッパ人は勝手なもので、ギリシャ国内からは財政支出を減らすための公務員給与の凍結などに対して、
「労働者」がストを予定しているそうで、どうなるか分かりません。
常識的には、ギリシャの国債が不履行(デフォルトといいます)になったらEU全体の信用が失墜しますから、
なんとかすると思います(IMFが登場するだろうという話もありますね)が、暫く注視する必要があります。
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