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JIROの独断的日記
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2005年02月15日(火) 「防衛出動前でもミサイル迎撃…自衛隊法改正案を決定」 ←これは、やむを得ないと思います。迎撃できるかは別として。

◆記事1:防衛出動前でもミサイル迎撃…自衛隊法改正案を決定

 

 政府は15日午前の閣議で、日本に向けて発射された弾道ミサイルなどをミサイル防衛(MD)システムで迎撃する際の手続きを定めた自衛隊法改正案を正式決定した。

 改正案が成立すれば、第三国の武力攻撃に対する防衛出動が発令されていなくても、自衛隊が迎撃ミサイルを発射することができるようになる。政府は改正案を今国会に提出し、早期成立を目指す。

 改正案では、弾道ミサイルなどを迎撃ミサイルで破壊する根拠規定として、防衛出動のほかに、<1>弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがある場合には首相が迎撃命令を承認する<2>首相の承認を得る時間がない場合にも対処できるように、あらかじめ定めた緊急対処要領に従い、防衛長官が期間を定めて迎撃命令を出すことができる――との二つの規定を新設した。緊急対処要領は首相が承認しておく。迎撃ミサイルを発射した場合には、その結果を「速やかに国会に報告しなければならない」としている。
(読売新聞) - 2月15日12時3分更新


◆記事2:<米ミサイル防衛>迎撃実験、3回連続で失敗

 【ワシントン和田浩明】米国防総省ミサイル防衛局は14日、地上配備型ミサイル防衛(MD)システムの弾道ミサイル迎撃実験で、迎撃ミサイルが発射されなかったと発表した。

迎撃実験の失敗は02年12月以来3回連続となった。

米国は当初、北朝鮮などの弾道ミサイルに対抗するため、04年末までのシステム稼働を目指していたが、相次ぐ失敗でシステム稼働がさらに遅れそうだ。

 実験では、米アラスカ州から模擬弾頭を装備した標的ミサイルを発射。太平洋中西部のマーシャル諸島から迎撃する予定だった。同局で原因を調査中だが、「迎撃ミサイルではなく、地上施設の問題とみられる」と説明している。(毎日新聞)- 2月15日12時9分更新


◆コメント:これは個別的自衛権を現実的なものとするためにやむを得ない措置だと思います。

 

 個別的自衛権というのは、要するに、個人になぞらえれば、刑法で定める「正当防衛」みたいなものです。

他国が日本を侵略してきたら、対抗しなければならない。日本国憲法もそれまで禁止していないはずです。

何故なら、憲法では、何より国民が平和に暮らす権利、「平和的生存権」を守らなければならない、と規定しているからです。

 もしも、どこかの国の首領様がヤケのヤンパチになって、ノドンだかタドン(たどんって何?という方は辞書を引いてね?)だか知らないけれども、弾道ミサイルに、核弾頭なり、生物兵器、化学兵器(サリン、VXなどの毒ガス)の弾頭を載せて発射したとします。

すると、それは、成層圏まで高く高く、上昇して、そこから自由落下するわけです。数分で日本に落ちてきます。


◆私が急に好戦的になったのではありません。1年以上前から述べております。

 

 私は、従来の専守防衛態勢のままでは、北朝鮮にミサイルを発射されたらおしまいだ、という意味のことを、2004年1月6日に書いています。以下は、その稿と重複するところがありますが、あしからず。

  話を続けます。

自由落下し始めた弾頭は、重力加速度に従って、どんどん加速します。地上に近づくにつれてマッハ10とか20とか、兎に角とんでもない速さで落下してきます。

補足説明しますが、「ミサイルが飛んでくる」といっても、あの煙突みたいな長いものがそのまま飛んでくるわけではありません。

あれは、弾頭を運ぶ謂わばトラックであり、爆発するのは弾頭だけです。

 弾頭は段ボール箱ぐらいの大きさしかないのです。それが、マッハ10で落ちてくる。

 素人の私達が考えてもそれを打ち落とすのは、技術的に非常に困難であろうことは想像できます。

 その難しさを実際に証明してくれたのはアメリカさんです(記事2)。


◆現にアメリカは3回迎撃実験して、全部失敗しました。

 

 記事2に書いてあるとおりです。

 アメリカも打ち落とせない。全然頼りになりません。同盟国なら何でも当てになるというものではないのです。

少し、話がそれますが、イラクに自衛隊を送れば北朝鮮が攻撃してきたときには、アメリカが日本を守ってくれるなどという保証は、どこにもないのです。

 日本に弾頭が着弾して、それが原爆だったら、東京なんか吹っ飛んでしまう。それから、アメリカが仕返ししてやるといったって、そんなの、無意味です。

 だから、日米同盟重視を口実とした自衛隊のイラク派遣は即刻止めるべきなのです。


◆従来の専守防衛態勢だと、どうなるのでしょう?

 

 今の憲法、内閣法、自衛隊法、防衛庁設置法などを厳密に解釈すると、次のような事態になります。

 まず、某国がミサイルを発射する兆候がある、というだけでは、何も出来ない。

日本を狙っているとは限らないし、軍事目的の弾道ミサイルか、偵察衛星を打ち上げるためのロケットか、少なくとも形式論的には、分からないからです。

自衛隊が武力を行使できるのは、防衛出動のときにかぎります(イラク復興支援特別措置法などの解釈は別として)。

 防衛出動をするためには、まず、現実に北朝鮮から発射されたミサイルが(レーダーを見ていればさすがにそれは分かります)、日本の領空で爆発、または、領土(地面です)に着弾して、それが原爆だった。又は、生物兵器や化学兵器を積んでいた。 それが原因となって、日本国民に死傷者が出た。

ここで、初めて、「閣議を開く」のです。防衛出動は総理一人で決めるのではなくて、閣議決定が必要です。

 しかし、内閣の誰か一人でも反対したら閣議決定できないのです。そうしたら、そこでその大臣を辞めさせなければならない。そしてその大臣の職を小泉首相が兼務するという手続きを取り、改めて決を採り、反対がなければ、ようやく防衛出動が閣議決定した、と見なされます。

 そして、それが自衛隊に伝わって、初めて「防衛出動」が可能になります。

もう、おわかりの通り、それから、F-15戦闘機を緊急発射させてもどうしようもない。既に原爆か化学兵器・生物兵器で、何万人、何十万人もの日本国民が死んでいるでしょう。 その後で、戦闘機が出動することを「防衛」といえるでしょうか?


◆緊急時の対応を現実的に修正するのはよいが、なし崩し的に憲法改正させないように。

 

 ですから、国のセキュリティ(安全保障)を現実的なものにするという意味では、記事1で決定したことには、妥当性がある、と判断して良いと思います。

 ただし、問題は、現小泉政権は非常に軍拡路線であり、憲法9条を改正して、「軍隊を保有する」ことにしよう、とか、「集団的自衛権の行使を可能にしよう」とか云っているわけです。それは、また、話が別であることを忘れてはなりません。

繰り返しになりますが、自分の国が侵略・攻撃されそうなときに、自国民の「平和的生存権」を守るために実力を行使することは、個別的自衛権の行使であり、倫理的に許されると思います。

しかし、集団的自衛権は、日本が攻撃されていなくても、同盟国アメリカがよその国に攻撃されたら、日本に対する攻撃と同様に見なして反撃するということなのです。

 これは、日本が確実に戦争に巻き込まれます。日本の国を「戦争が出来る国」に変える必然性、合理的理由は認められません。

 ですから、今回の決定で与党がいい気にならないように、注視する必要があります。


2004年02月15日(日) 「UMRC情報速報 <重要> イラクでのウラニウム汚染に関する警告」それでも新たに自衛隊を派遣する、日本政府。
2003年02月15日(土) 欧州で百万人超す反戦デモ 日本政府はアメリカのご機嫌とり・・・。

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