JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆今週の経済:日本航空の会社更生法適用。 今週の経済ニュースで最も世間を騒がせたのは、19日に日本航空が、 「親方日の丸経営が原因だ」 と書くのは、誰でも出来るので、メディアに乗じて、かつての人気企業、 そして、航空会社の持つ(本当は飛行機に乗るのは全社員の一部なのですが)華やかなイメージ、 パイロットにスチュワーデスじゃなくて、今はCA(キャビンアテンダント)ですか、 の会社が破綻した、というのは、世論の「嫉妬心」を充足させるのに格好の材料だった、 ということが最大の理由だと思います。 日航グループで1万5千人をリストラするそうですが、パイロットのような専門職を減らしたら 航空機の運航に支障を来すので、最初にリストラされるのは、関連施設(日航が国内外に所有するホテルなど) の従業員がクビになるのでしょう。中には随分ベテランの方はっきりいって、トシの方も多い。 今からクビになったら、この不況下で新しい仕事は見つからないでしょう。きっと自殺する人が出るでしょう。 それを思うとやはり、どんな会社でも、潰れると惨めなのは従業員なのであって、気の毒です。 また、日航に融資していた銀行は債権放棄をある程度余儀なくされ、業績に支障が出ます。 関連中小企業も仕事が無くなるというので、本当に頭を抱えている人が大勢いるわけです。 だから、間違っても「ざまあみろ」という類のことは書くべきではない。経営責任は問われるべきですが やはり大多数の従業員は気の毒です。 ◆今週発表された経済指標:景気の改善を示すものは、皆無に近いです。 新聞では、四半期に一度発表されるGDP(国内総生産)のときぐらいしか、 ●17年ぶり4万戸割れ=首都圏マンション発売−09年(1月19日17時5分配信 時事通信) マンションなんか、売れないですよね。それは分かっているのですが、昨年1年の首都圏販売戸数が、 17年ぶりの低水準、とあります。最近、住宅に限らず「何十年ぶりの低水準」という統計が多いのです。 以下の諸指標をご覧になると、分かります。 ●12月消費者態度指数 2カ月連続で低下(1月20日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ) こういうのは、本当は元の資料を確かめるものなのです。 これは、内閣府ホームページに載っています。消費動向調査の 平成21年12月実施調査結果で、報告書(グラフを含む本文全体) (118KB)を開くと、最初に 平成21年12月の一般世帯の消費者態度指数は、前月差1.9ポイント低下し37.6であった。 とある。フジサンケイ・ビジネスアイの記事の通りです。一応検証するのが大事です。 内容を見るのは面倒ですが、要するに一般市民は今後半年、暮らし向きは悪化するだろうと考えている人の方が、 良くなると考えている人よりもずっと悪いことを示している。ということは、財布の紐は固くなるでしょう。 おカネを使わないんですからものが売れない→物価が下がる→企業収益が悪化する→従業員の収入は減る、 という「デフレスパイラル」が続くことを予感させます。 政府の経済見通しはわざと楽観的にすることが多いですが、政府の景気に対する認識を示す、 「月例経済報告」も芳しくありません。 ●日本経済「持ち直してきているが、自律性に乏しい」 1月の月例経済報告、基調判断据え置き(1月20日16時39分配信 産経新聞) これは、内閣府の、月例経済報告関係資料で、平成22年1月を見るのです。 最初に、産経新聞が記事に書いている通り、 景気は持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。 これも、何だかよく分からない言い方です。景気は持ちなおしているが、自律性に乏しいと。 ということは、他律的だということですか。他から刺激しないと良くならないということですか。 そういう状況を「景気は持ち直してきている」と言えるのでしょうか? 21日(木)には日本銀行が主要銀行貸出動向アンケート調査(1月)を発表しました。 新聞はこのように伝えています。 ●企業の資金需要が5年半ぶりの弱さ=日銀調査 (1月21日10時57分配信 ロイター) 企業が設備投資の為の資金を必要としていない、ということです。 それは、例えばメーカー(製造業)ならば、新しく工場や設備を建てても、消費者の購買意欲がないのだから、 売れるはずが無い。下手に設備投資の為に銀行からおカネを借りても売上げが減る一方で儲けも減っているのだから、 返せないかも知れない。滅多なことじゃ設備投資資金など借りることは出来ない、ということです。 個人消費の弱さを端的に示しているのが、コンビニ・スーパー・デパート売上高です。 ●昨年のコンビニ売上高、2年ぶり減=「タスポ効果」の反動で(1月20日19時0分配信 時事通信) 小売業で唯一儲かっていたコンビニですが、昨年は前年比マイナスです。 記事はもっぱらタスポ(自動販売機でたばこを買うときに必要なカード。作るのが面倒なので、 自販機で買う人が減り、コンビニで買う人が増えたのが一昨年。昨年はその分普通に戻ったので、 前年比マイナスになった、というのですが、タスポなんて今でも作っていない人は大勢いる。 状況は一昨年も昨年も変わらないと思います。つまり、コンビニで余計なものまでつい、買ってしまう、 という行動を消費者が控えた結果と思われます。 デパート・スーパーも苦戦しています。 ●百貨店、過去最大の落ち込み=スーパーは21年ぶり13兆円割れ―昨年売上高 (1月22日20時1分配信 時事通信) デパートは、ずっと低迷してますが、昨年一年の売上高は前年比約1割落ちこんで、この下落率は過去最大だと言うし、 スーパーの昨年1年間の売上げは、前年比マイナス4.3パーセント。スーパーの売上げが3兆円を下回るのが21年ぶり、 とここでも「何十年ぶり」が出ます。 このように、日本国内の経済指標は、どれを取っても不況が全然改善していないことを示しています。 ◆オバマ米大統領が発表した新たな金融規制案 そして、これはかなり専門的になるので、簡単に書きますが、 銀行の自己勘定取引を禁止。 という項目でして、銀行が自分の儲けをプールしたおカネでディーリングをしてはいかん、というもの。 これで儲けている銀行が多いですから、相当思い切った規制です。 恐らくオバマ大統領は、サブプライムローンへの投資などを自由に銀行にやらせていたのが、 金融危機の発端になったのだから、これを止めるべきだ、と言うのでしょう。 気持は分かるのですが、これを本当に実行すると、アメリカの金融機関は、リスクも大きい代わりに、 上手くやれば大儲けできた、業務を止められるわけです。すると、米国の金融機関は収益が悪化し、 また、潰れるのではないかと思惑が生じかねません。リーマン・ショックは巨大な証券会社一社が潰れた、 というだけで、世界経済が恐慌寸前にまで陥りうることを示しました。 第2のリーマンを出さない為に、というのがオバマ大統領の新規制案で、過度のリスクテイクを 禁ずるというのはわかりますが、少し一挙に締めすぎている感を否めません。 ◆民主党小沢幹事長記者会見:調べられた方が「私は悪いことをしています」という訳がないでしょ? 小沢幹事長に関わる問題の概要に関しては一昨日書きました(ココログ)。 ●小沢氏聴取、関与否定=虚偽記載「把握せず」−「裏献金は事実無根」・東京地検(1月24日0時9分配信 時事通信) 「土地取引をめぐり、政治資金規正法に違反した行為をしているのではないか?」と思われたから東京地検に聴取されたのです。 その調べを受けた側の記者会見です。「私は何らやましいことをしていない」というに決まっています。 東京地検としても、雑誌のインタビューじゃないのですから、小沢の説明をただ、 はあ、そうなんですか。 と、世間話のように聴いたわけではなく、土地購入の原資などについて、小沢氏の説明はこれまで何度か 変化しているようなので、今日、検察に喋ったことのウラを取ろうとするでしょう。 怪しければ、また呼ばれるでしょう。 とにかく「調べられた側」の記者会見を長々やったって、あまり意味がありません。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年01月23日(金) 日銀金融経済月報、基本的見解「わが国の景気は大幅に悪化している。」怖いほどの景気の悪さ。
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