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JIROの独断的日記
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2009年10月19日(月) 7年前に小柴東大名誉教授、島津製作所の田中耕一氏がノーベル賞を受賞した頃から本気で日記を書き始めた。

◆2002年10月8日に小柴先生が物理学賞、翌9日に田中耕一氏のノーベル化学賞受賞が発表された。

私は2002年4月15日にウェブ日記エンピツにアカウントを開いたが、始めの頃は何を書いたら良いか分からず、

サボり気味で、書いても大した内容ではなく、文字通り日々雑感を認めるだけであった。

htmlタグなど全く知らず、知ろうとも思わなかったので、ただのベタ打ちで読みにくいことこの上ない。

しかし、初めて、本当に書きたいと思って書いたのが、小柴先生のノーベル物理学賞受賞であり、

翌日、田中耕一さんのノーベル賞受賞の感動であった。

小柴先生はそれまで質量が無いと言われていた、素粒子ニュートリノに質量があることをスーパーカミオカンデという巨大な施設を

作って、発見し、ニュートリノ天体物理学の開拓者であり、その偉業は私の理解を超える。なまじ「分かる」というのは失礼である。

ただ、ノーベル賞受賞と聞いても淡々となさって、マスコミの取材に対して、

(受賞の知らせを聞いた日に)帰宅したら、家内と孫娘が急にかしこまって「おめでとうございます」なんていうから可笑しかった。

と笑っておられるお人柄に惹かれた。


また、田中耕一さんは島津製作所の一サラリーマン研究者であり、博士号も持っていない、学部を出ただけの「学士」だったが、

そのようなことは関係なく、純粋に田中氏の業績のみに光を当て、授賞を決定したノーベル財団のフェアな姿勢に多いに感動した。

ただ、サラリーマン研究者がノーベル賞を受賞したがために、色々とエライ人に会うことを余儀なくされたり、

公式の場に慣れていない田中さんが、まごついている様子をマスコミが、半ばからかうようなスタンスで取材していた。


何たる無礼な。


ノーベル平和賞や文学賞は主観的だが、物理賞、化学賞は押しも押されもしない。

科学者にとって、最高の栄誉である。受賞者は、我が国の誉れである。宝である。

丁重に扱うのが当然なのに、マスコミのあの態度は何だ!と感じたのが時事問題を取りあげるきっかけとなった。


◆小柴先生の講義をネットで見て、聞くことが出来る。

東大は2006年4月から、講義のポッドキャストを始めた。
第1弾が小柴先生の講義であった。iTunesならば、「宇宙と素粒子 -物質はどのように創られたのか-」で、

「エピソードを入手」でダウンロードされるし、iTunesを使わないのなら、RealPlayerが必要だが、

東京大学 講義 UT OpenCourseWareの中の、東京大学 講義 小柴昌俊教授 UT OpenCourseWareから、

ビデオ・講義ノートを開くと、小柴先生の1回目の講義、

物質はどのように創られたのか

から、ビデオをクリックすれば、RealPlayerがインストールされていれば、小柴先生の映像と音声を聴くことが出来る。

無論、内容は高度に専門的で、本当に分かるのはなかなか困難だが、講義の前おきで先生がおっしゃった言葉に

私は、心底感動して、先生を尊敬した。聞けば分かるが、次の一言(多少音声通りではない部分があるが)。
皆さんこんばんは。

今日、私がこのシリーズの最初に喋ってくれ、と云われたのは、

「物質はどのようにして生まれてきたか」と言うことなんですが、実はね。これは、大変に難しい問題なんですよ。

あのね。あなた方はそう思わんかも知れないけどね。立派な学者っていうのはね、「沢山のことを知っている人」じゃないの。

「知らないことがこんなに沢山あるぞ」と言うことを痛感しているのが、立派な学者なんですよ。

ビデオへのリンク

上手く再生できない方のために、その部分を含む講義の冒頭を録音した。



宇宙と素粒子 -物質はどのように創られたのか



Dr.Koshiba Lectue



この噛んで含めるように、可能な限り易しく説明しようとしているのはノーベル物理学賞を受賞した先生である。

立派な学者とは、沢山のことを知っている人ではない。知らないことがこんなに沢山あるんだぞ、と痛感しているのが立派な学者だ。

という、この一言を知るだけでも、講義を聞いた価値があるように思う。

ノーベル賞受賞者にして、この謙虚さ。

世の中、大したこと無い奴に限って、「君たち、そんなことも知らんのかね?」とか、

「頭のいい私がバカな君たちに教えてあげるよ」という態度になる。本当に優れた学者とは小柴先生のような方を

言うのだろう。小柴先生は「こんなこともわからないんだぞ」ということを沢山しることになるだろう、

とおっしゃるが、それは、言うまでもなく、自分が立派な学者だ、という意味ではなく、

学者のあるべき姿を示し、自分もそう自戒しながら、学問をしてきたのだ、とおっしゃりたいのである。

とっくに引退し、ノーベル賞まで受賞した先生が、これほどまでに情熱を持って語るのは、ご自身が

科学が好きであるのは勿論だが、若い人達に、科学の素晴らしさ、面白さを教えたいという気持なのだろう。

このような立派な先生の講義をネットで聞けるとは、有り難い時代である。

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