JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆2002年10月8日に小柴先生が物理学賞、翌9日に田中耕一氏のノーベル化学賞受賞が発表された。 私は2002年4月15日にウェブ日記エンピツにアカウントを開いたが、始めの頃は何を書いたら良いか分からず、 (受賞の知らせを聞いた日に)帰宅したら、家内と孫娘が急にかしこまって「おめでとうございます」なんていうから可笑しかった。 と笑っておられるお人柄に惹かれた。 また、田中耕一さんは島津製作所の一サラリーマン研究者であり、博士号も持っていない、学部を出ただけの「学士」だったが、 そのようなことは関係なく、純粋に田中氏の業績のみに光を当て、授賞を決定したノーベル財団のフェアな姿勢に多いに感動した。 ただ、サラリーマン研究者がノーベル賞を受賞したがために、色々とエライ人に会うことを余儀なくされたり、 公式の場に慣れていない田中さんが、まごついている様子をマスコミが、半ばからかうようなスタンスで取材していた。 何たる無礼な。 ノーベル平和賞や文学賞は主観的だが、物理賞、化学賞は押しも押されもしない。 科学者にとって、最高の栄誉である。受賞者は、我が国の誉れである。宝である。 丁重に扱うのが当然なのに、マスコミのあの態度は何だ!と感じたのが時事問題を取りあげるきっかけとなった。 ◆小柴先生の講義をネットで見て、聞くことが出来る。 東大は2006年4月から、講義のポッドキャストを始めた。 物質はどのように創られたのか から、ビデオをクリックすれば、RealPlayerがインストールされていれば、小柴先生の映像と音声を聴くことが出来る。 無論、内容は高度に専門的で、本当に分かるのはなかなか困難だが、講義の前おきで先生がおっしゃった言葉に 私は、心底感動して、先生を尊敬した。聞けば分かるが、次の一言(多少音声通りではない部分があるが)。 皆さんこんばんは。 ビデオへのリンク 上手く再生できない方のために、その部分を含む講義の冒頭を録音した。 宇宙と素粒子 -物質はどのように創られたのか Dr.Koshiba Lectue この噛んで含めるように、可能な限り易しく説明しようとしているのはノーベル物理学賞を受賞した先生である。 立派な学者とは、沢山のことを知っている人ではない。知らないことがこんなに沢山あるんだぞ、と痛感しているのが立派な学者だ。 という、この一言を知るだけでも、講義を聞いた価値があるように思う。 ノーベル賞受賞者にして、この謙虚さ。 世の中、大したこと無い奴に限って、「君たち、そんなことも知らんのかね?」とか、 「頭のいい私がバカな君たちに教えてあげるよ」という態度になる。本当に優れた学者とは小柴先生のような方を 言うのだろう。小柴先生は「こんなこともわからないんだぞ」ということを沢山しることになるだろう、 とおっしゃるが、それは、言うまでもなく、自分が立派な学者だ、という意味ではなく、 学者のあるべき姿を示し、自分もそう自戒しながら、学問をしてきたのだ、とおっしゃりたいのである。 とっくに引退し、ノーベル賞まで受賞した先生が、これほどまでに情熱を持って語るのは、ご自身が 科学が好きであるのは勿論だが、若い人達に、科学の素晴らしさ、面白さを教えたいという気持なのだろう。 このような立派な先生の講義をネットで聞けるとは、有り難い時代である。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2008年10月19日(日) 「太陽風、ここ50年間で最も弱く――寒冷期との関係は?」←非常に久しぶりに科学に関する記事を取りあげます。
JIRO
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