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2009年09月16日(水) |
<鳩山首相>新内閣発足 初会見で「脱官僚政治」へ決意表明←役人を完全に敵に回しても駄目なんで、そこを上手くやれるかどうか。 |
◆<鳩山首相>新内閣発足 初会見で「脱官僚政治」へ決意表明(9月16日21時29分配信 毎日新聞)
民主党の鳩山由紀夫代表(62)は16日午後、国会で第93代首相に指名された。直ちに組閣をし、
16日夜、皇居での首相任命式、閣僚の認証式を経て、新内閣を発足させた。藤井裕久財務相(77)や
仙谷由人行政刷新担当相(63)ら政策に明るい中堅・ベテランぞろいの実務重視型布陣となった。
鳩山首相は指名後初の記者会見に臨み、「脱官僚政治を作り出し、今こそ実践しなければならない」と決意を表明した。
鳩山首相は一方で、「政治家が主導権を握りながら官僚の皆さんの優秀な頭脳を使わせていただく」とも述べ、
官僚への配慮も見せた。また、「試行錯誤の中で失敗もあろうがご寛容願いたい」と国民の理解を求めた。
◆コメント:脱官僚政治を可能たらしめるには、閣僚がものすごく勉強していないとダメなんですよ。
鳩山さん、及び民主党にとって「脱・官僚」がすっかりキャッチフレーズになっている。
確かに、あまりにもこの国は役人、しかも国家公務員一種試験を通った、所謂「キャリア組」の為、正確に言えば、
彼らが何度も関連団体に天下りをして、その度に何億という退職金を受け取る。その一部の利益の為に、国民生活が
犠牲になっているところがあった。それは間違いなく、とんでもない話なので、これを正すのはいいのだが、
あまり、「脱官僚」で張り切り過ぎても上手くいかないだろう。役人には対抗手段がある。都合の悪い情報を大臣に教えない、
という方法が最も簡単である。情報を提示させることができなければ、必要な資料も見られず、政治家は空回りしてしまい、
「脱官僚」も尻すぼみになることが、目に見えている。月並みだが「アメとムチ」を使い分けないと、成功しないだろうが、
これは、多分ものすごく難しいことだろう。
最後は内閣総理大臣でありながら逮捕され、金権政治で失墜したが、昔の田中角栄という政治家は、小学校しか出ていないのに、
昭和32年、第一次岸内閣の改造で郵政大臣になった。そのとき、わずか39歳だった。戦後では最年少の大臣だった。
学歴はない。年齢は低い。
常識的に想像すれば最もキャリア役人にナメられそうな立場であるが、田中角栄は、郵政大臣として大成功を収めた。
既に故人だが、早坂茂三という角栄の秘書を23年務めた人物が書いた「オヤジとわたし」と言う本を読むと、
誰にでも真似が出来るわけではないが、役人をコントロールする「メソッド」が分かる。
まず、角栄は学歴はないが、元来頭が良く、抜群に記憶力に秀でていて、しかも猛烈に勉強したようだ。
役人に「こんなことも知らないのか」と思われたらお仕舞いだが、角栄は仕事に必要な関連の法律、統計などを
猛烈に勉強していた。役人から説明を受けると、鋭い質問を連発して、東大法学部出身のエリートが舌を巻いた。
次に、これは現在全ての役所で可能とは限らないが、最初に、役人をアッと驚かせるようなことを実行した。
田中角栄は郵政大臣になってすぐに、民放36局の大量一括免許を断行した。それまでの大臣が面倒がって先送りにしていて、
たまっていた案件を一挙に片付けた。これで、役人の度肝を抜いた。
そして、これは、少しも変わったことではないのだが、角栄は「方針」がしっかりと定まっていた。
当時、日本経済新聞のインタビューに答えてこう話している。
役人は生きたコンピューターだ。政治家は方針を示すものだ。方針の決まらん政治家は役人以下だ。役人と一度仕事をすれば人間関係は切れない。
最初はケンカするんだ。すると「何であんたの言うことを聞かなければならないのだ?」とくる。そうしたら、「政党政治なんだよ。君が局長になれば、
俺を利用するようになる。」と言い返してやる。すると後で分かるんだね。「やはり子供だった」と役人は自分で言うもの。それだから、役人はまた、
俺のところに来る。
この境地に達するのは、誰にでも出来ることではない。角栄はカネで人の心も買えると勘違いした政治家だったが、
人心も十分に理解していて、役人を立てるべきときには立てた。やはり或る意味では、ひとかどの人物だったのだ。
また、郵政大臣になるまでの10年間に、角栄は夥しい議員立法法案を提出し、その多くが可決されている。
議員立法の過程で、どうしても役人と話し合わなければならず、その時にウルサ型の旧大蔵省や旧建設省などの
役人との駆け引き、押すべき所、引くべきところ。要するに「ツボ」を心得ていたのだ。
◆今の民主党には、これほどの大物はいないでしょう。
記事によれば、民主党の鳩山代表は、組閣に当たって、政策に明るい中堅・ベテラン議員をそろえたというが、
なかなか、田中角栄ほどの「大物」は出ないものだ。
「脱・官僚」を完全に勘違いするような人物は入閣していないと信じたいが、要するに、
この国は、長い間、少数のキャリア官僚の私欲(天下りなど)を充足させるのが目的で運営されていた、
といっても過言ではなく、謂わば「官主主義」国家だった。どう考えても要らない役人が多すぎるし、
そいつらの給料に充てるために国民の血税が使われ、税金を納めている主権者たる国民は不景気による所得減で悲鳴を上げている。
これを正す、という大方針は間違っていないが、早く成果を挙げようとムキになり、官僚が全く政治家に心を開かなくなったら、
上手く目的を達することが出来ない。
その辺、わかっているだろうが、せいぜい角栄を手本にして、頑張って貰いたい。
新しい内閣が誕生することは8月30日(選挙の日)に分かっていて、今日はその自動的な結果だから、
特別な感慨も何もない。これからの民主党の政策をよく観察することだ。
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