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2008年09月16日(火) |
「米AIG、増資失敗すれば17日に破産法適用申請へ−CNBC」←連鎖倒産というのは(まだ倒産してないけど)こういう事です。 |
◆記事1:米AIG、リーマン破たんで多額の評価損計上も=アナリスト(9月16日6時44分配信 ロイター)
アナリストは、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)について、
リーマン・ブラザーズの破たんにより、大規模の評価損計上を余儀なくされるとの見方を示した。
仕組み金融商品やクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に相当の圧力がかかることが理由。
シティグループのアナリスト、ジョシュア・シャンカー氏はAIGの投資判断を「バイ」から「ホールド」に引き下げた。
リーマン資産の投げ売りリスクに伴ないAIGは評価損計上を余儀なくされ、
四半期の業績は過去最悪となる可能性があると指摘。「300億ドルの損失を計上する可能性がある」と述べた。
UBSのアナリストは、第3・四半期にスーパーシニア級のCDSで100億ドル以上、
投資ポートフォリオで50億ドルの実現損失をAIGが計上する可能性があるとの見方を示した。
AIGは2008年第2・四半期まで3四半期連続で赤字を計上し、この間の純損失額は合計で180億ドル超に達した。
◆記事2:米AIG、増資失敗すれば17日に破産法適用申請へ−CNBC(ブルームバーグ)(2008/09/16 23:28)
9月16日(ブルームバーグ):米経済専門局CNBCは16日、
米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が
「基本的には16 日中に巨額の資本を調達する必要がある。そうしなければ、
17日に連邦破産法 11条に基づく会社更生手続きの適用を申請するだろう」と伝えた。
匿名を条件にしたAIGに近い複数の人物を引用した。
◆記事3:【リーマン関連】大手邦銀 1700億円を融資(NHK 9月16日 18時26分)
経営破たんしたアメリカの大手証券会社「リーマン・ブラザーズ」に対して、
日本では、8つの大手金融機関だけで、あわせて1700億円に上る資金を融資していたことがわかり、
一部は回収できないおそれが出ています。
経営破たんした「リーマン・ブラザーズ」がアメリカの裁判所に提出した大口の債権者リストでは、
およそ30の債権者のうち、日本では、8つの大手金融機関であわせて1700億円余りの融資残高がありました。
これらの金融機関によりますと、多くは担保を取っていたり、第三者からいわゆる保険金が得られるような契約になっていたりするということで、
損失は一部にとどまると強調しています。8つの金融機関によりますと、損失が生じるおそれがある債権は、
▽新生銀行がおよそ380億円
▽三菱東京UFJ銀行と▽三菱UFJ信託銀行であわせておよそ240億円
▽中央三井信託銀行がおよそ150億円▽あおぞら銀行がおよそ120億円
▽三井住友フィナンシャルグループで100億円などとなっており、
▽みずほコーポレート銀行や▽日本生命保険でも現在、損失見込みを算出しています。
また、アメリカの裁判所に提出されたリストに載っていない地方銀行も、相次いで損失を発表しており、
日本の金融機関に影響が広がっています。これについて日銀は
「各銀行の経営への影響はいずれも限定的で、金融システム全般に深刻な影響が及ぶとは考えられない」としています。
◆コメント:「だからいわんこっちゃない」のです。
今日1日で、既に世界の金融市場はパニックに陥りかけています。昨日の記事の最後に書きましたが、
やはり、東京でも株が日経平均株価で約600円もの大暴落となりました。明日も売られる可能性が高い。
問題の中心は、言うまでもなく、米国の証券会社、リーマン・ブラザーズが破綻したことですが、
記事1と記事2は、世界最大の保険会社、AIGに関するものです。
AIGはリーマンの債券や株を大量に保有していたのです。そしてリーマンが倒産する、ということは、
それらが、紙屑になる、ということです。当然、投資したおカネは戻ってきません。
大損してるわけです。だから資本を積み増さなければならないのですが、世界中の投資家(主に金融機関)は、
既にAIGが危ないと分かっているので、新たに出資することなど出来ません。
すると、アメリカ時間の15日に米国第4位の証券会社、リーマンが潰れた、そのわずか二日後に、
世界最大の保険会社(ウィキペディアによれば、「2006年末において、130以上の国・地域で事業を展開し、約106000人の従業員を有している。」)、
経済専門誌によれば、2007年3月末時点では、世界優良企業100社ランキング総合世界第6位、保険部門では世界1位だった会社が倒産します。
世界中のAIGの現地法人・支店に務める約106000人の従業員は失業するのです。
リーマンもそうですが、AIGが破綻するとは誰も思っていなかったので、
世界中の投資家が、同社の債券や株に投資したり、融資を行っています。
AIGが潰れれば、その投資家が巨額の損失を被ります。すると、そこに投資していた別の投資家が、やはり損失を免れません。
連鎖倒産。金融危機とはこういう事態です。金融システム全体が不安定になっています。システミック・リスクといいます。
こういうことが、いつまで続くか分からない。誰が、何処にどれだけ投資しているか、全貌を把握している人はいません。
次は何処が倒産するか分からないのです。だから、投資家は皆、危なそうな金融機関の株や債券を投げ売りするのです。
明日も株が売られる可能性は極めて高い、というのは、そういう事情です。
ところで、日本への影響です。記事3のとおり、日本の大手銀行のリーマンへの投融資額は1700億円とのこと。
これを見る限り、たとえ、全額がデフォルト(回収不能)になっても、メガバンクはとりあえず、大丈夫です。
金融庁がまとめた、主要行等の平成20年3月期決算状況を見ると、
みずほ、三菱UFJ、三井住友の三大フィナンシャルグループの経常利益は合計1兆9千億円ですから、余力があります。
但し、のほほんと構えてはいられないのです。
繰り返しますが、リーマンが破綻した事による連鎖倒産がどこで、どれぐらいの規模で起きるか分からないからです。
内外の投資家(金融機関を含む)が、他の金融機関潰れないうちに、そこの債券や株を投げ売りすることは十分予想できます。
すると株価は下がっていますから、当然損失が発生します。そういう現象がいつまで続くのか。誰にもわからない、
という現状が、マーケット参加者を一層神経質にしています。
リーマンを救済しなかったのは、既にアメリカが財政赤字なので、公的資金を注入し、更にそれが拡大することを
恐れたからだと言われていますが、リーマンを救済しなかったことによって金融システムが崩壊するかもしれなくなったら、
最後には、公的資金を注入せざるを得なくなり、もっと財政が苦しくなるでしょう。
だから、私はリーマン・ブラザーズのような超巨大金融機関を米国政府が救済しなかったことは問題だ、
と、言っているのです。
たまたま、ニュースで目にしたのですが、次期首相ほぼ間違いなしの麻生太郎氏が、米国政府を批判しています。
◆記事:米政府の対応に疑問=リーマン破綻−自民・麻生氏(9月16日13時19分配信 時事通信)
自民党総裁選候補の麻生太郎幹事長は16日昼、東京都庁で開かれた都議会自民党の会合で、
米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)に関し「いくら何でも影響が大きすぎる。
全く何もしないで放置するやり方が正しいやり方かどうか率直な疑問がある」と述べ、
救済策を講じなかった米政府の対応に疑問を呈した。
要するに、私が言わんとするところは、この麻生氏の一言に尽きます。
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