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JIROの独断的日記
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2004年09月16日(木) Iraq war illegal, says Annan(BBC) <国連総長>「イラク戦争は違法」 初めて明言←昨日述べたとおり。

◆記事:<国連総長>「イラク戦争は違法」 初めて明言

 

【ニューヨーク高橋弘司】国連のアナン事務総長は15日、英BBCとの会見で、米英が主導したイラク戦争について国連憲章に照らして「違法」との見解を初めて示した。

アナン氏はたびたび同戦争に批判的な見方を繰り返してきたが、これほど明確な批判は異例だ。

アナン氏はイラク戦争は違法かとの質問に、「私の見解では国連憲章に合致していないと思う」と前置きし、「違法だった」と明言した。

また、「国連の承認や国際社会の広範な支持がない、イラクのような軍事作戦が再び起こらないことを望む」と述べた。

イラクの旧フセイン政権に大量破壊兵器完全廃棄を迫る国連安保理決議の審議が続く中、昨年3月、米英が一方的開戦に踏み切ったことへの強い疑念が背景にあるとみられ、アナン氏は「新たな決議を目指すべきだった」と振り返った。

 一方、アナン氏はテロが頻発するイラクの現状に言及し、「このような治安悪化が続く限り、来年1月の直接選挙は信頼に足るものとなりえないだろう」と指摘、早急な治安改善や国連の主体的関与を通じた選挙の正当性確保が重要との認識を示唆した。

 イラク戦争開戦を阻止できなかった「国連の危機」を踏まえ、国連の改革のあり方を問う「有識者諮問委員会」の提言が12月にも公表される。

アナン氏の発言はこれを前に、14日開幕した第59回国連総会などでの活発な議論を促す狙いとみられる。(毎日新聞) - 9月16日12時13分更新


◆記事:Iraq war illegal, says Annan BBCの記事から抜粋。

The United Nations Secretary-General Kofi Annan has told the BBC the US-led invasion of Iraq was an illegal act that contravened the UN charter.

アナン国連事務総長は、BBCに対して、アメリカが主導したイラクへの侵略は国連憲章に違反する違法な行為だった、と述べた。

He said the decision to take action in Iraq should have been made by the Security Council, not unilaterally.

アナン氏は、イラクに対して行動を起こすか否かは国連安保理によって決定されるべき案件であり、米国一国で決めるべきではなかった、と述べた。

'Valid'

"I hope we do not see another Iraq-type operation for a long time - without UN approval and much broader support from the international community," he added.

「私(アナン氏)はイラクで今回起きたような、国連の承認と、広く国際社会からの支持を得ていない、軍事的な行動が二度と起こらないことを臨む。

He said he believed there should have been a second UN resolution following Iraq's failure to comply over weapons inspections.

アナン氏は(軍事的制裁をイラクに加えるためには)、イラクが兵器査察に非協力的であるという事実以外に、もう一つ国連の決議が必要だった、との見解を明らかにした。

And it should have been up to the Security Council to approve or determine the consequences, he added.

そして、その決定は、国連安全保障理事会に委ねられるべきだった。と付け加えた。

When pressed on whether he viewed the invasion of Iraq as illegal, he said: "Yes, if you wish. I have indicated it was not in conformity with the UN charter from our point of view, from the charter point of view, it was illegal."

イラクへの武力侵攻が違法であったと思うか?とのBBCの質問に対して、アナン事務総長は、「そう思う。私は、イラクへの侵攻は国連憲章に違反していると示唆してきた。国連憲章の立場からすれば、違法である。」


◆コメント:アナン事務総長の発言で注目すべきは、大量破壊兵器の有無には、全く言及していないことだ。

 

奇しくも、昨日、私は米国のイラクに対する武力行使は違法である、という所見を認めた(したためた)ところであったので、本日、国連のアナン事務総長の発言を読んで、「我が意を得たり!」という気分になった。

 そこで、念のため、原語の記事で確認したところ、間違いなく、アメリカの取った行動は国連憲章に違反していると述べている。

 そして、注目すべきは、アナン事務総長が、「アメリカの行為が国連憲章に違反している」と述べるに当たり、イラクに大量破壊兵器が存在したか否か、を全く問題にしていない、という点である。

昨日の日記で、私は、たとえ、イラクに大量破壊兵器が存在していたとしても、それだけで、アメリカが単独でイラク攻撃を決定することは出来なかったのだ、と書いたが、アナン事務総長の発言により、より一層その意を強くした。というか、国連憲章を読んで、論理的に思考すれば、必然的にこの結論に達せざるを得ないのである。


◆侵略(Invasion)という言葉を使っている。

 

日本語の記事では「イラク戦争」という言葉が使われているが、英語の記事を読むと、アナン事務総長は、侵略(Invasion)という言葉をはっきり使っている。

 国連事務総長が「侵略」という言葉を用いているというのが、ただごとではない。それは、国際法において「侵略」という言葉は普通名詞ではなく、明確に定義されている用語だからである。

1974年、国連第29回総会で「侵略の定義に関する決議」(決議3314号)が採択されている。詳しくは、5月1日の日記に書いたので、お読み頂ければ有難い。要約すると、



第1条 侵略とは、一国による他国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する、又は国際連合憲章と両立しないその他の方法による武力の行使であって、この定義に定められたものをいう。

のである。

 従って、アナン事務総長はBBCに対して意識的に侵略という言葉を使った時点で、アメリカの行為が国連憲章に違反した行為であることを示唆したわけである。

その後、BBCに違法だと思うか?と訊かれて、「その通りだ」と言っている。二重に肯定していることになる。

 アナン氏は、国連事務総長という、国際社会における、極めて重大な立場にある公的人物として、感情の発露は、極限まで精神力で抑制しているが、本音を言えば、多分「腸が煮えくりかえっている」のであろう。毎日新聞の記事に書かれているとおり、これほどはっきりと国連事務総長が、特定国の行為を「断罪」することは珍しいのだ。


◆首相、ブラジルで歓迎されて感涙にむせんでいる場合じゃないすよ。

 

ところが、我が国の首相は、もはや、イラクで今もなお戦争が行われていることなど、完全に忘れているのだろう。ブラジルの日系人に歓迎されて、随喜の涙を流したそうだ。

 何をいまごろ、ブラジルなんて頓珍漢なところへ行っているのだ。そんなヒマがあるのならば、自分が最高司令官を務めている自衛官達を派遣したイラクへ行って、安全かどうか、非戦闘地域とはどういうところなのか、見てくるべきではないだろうか?

サマワの宿営地を建設するのには、377億円の税金が投じられている。500人もの自衛官が駐留する費用も全て、我々が働いて納めた税金で賄われていることを、忘れてはならない。


2003年09月16日(火) 問題を解決するためには、それなりの段階を経ねばならない。名古屋立てこもり事件に思う。

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