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JIROの独断的日記
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2009年07月08日(水) 「街角景気、6カ月連続改善=「下げ止まり」と判断−内閣府」←毎月書くけど、景気が好転しているわけではありません。

記事:街角景気、6カ月連続改善=「下げ止まり」と判断−内閣府(7月8日16時12分配信 時事通信)

内閣府は8日、6月の景気ウオッチャー調査を発表した。

3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断DI(指数)は前月比5.5ポイント上昇の42.2と6カ月連続で改善した。

家計、企業、雇用関連すべてのDIが大幅に改善し、景気後退局面入りした2007年11月(38.8)を上回る水準に回復した。

総合判断は前月の「悪化に歯止めがかかりつつある」から「下げ止まっている」に5カ月連続で上方修正された。

家計動向関連は5.2ポイント改善し、42.4に上昇した。省エネ家電購入で付与されるエコポイント制度や

エコカー購入補助などの景気対策効果を指摘する小売店が目立った。

企業動向関連は受注や出荷の下げ止まりの動きが自動車関連以外にも広がり、5.8ポイント上昇の42.9となった。

雇用関連は7.6ポイント上昇の39.9。新規求人数などは依然として少ないが、

これ以上悪化するとの見方が減少したため、指数が改善した。


◆コメント:景気が好転しているのではなく、悪化のスピードが弱まった、ということ。

「街角景気」は俗称で、正式には内閣府の「景気ウォッチャー調査」である。

最近数ヶ月、この統計が発表される度に、同じ事を書く。

だから、読者の中には、

また、その話かよ。何度も言わなくても、分かった、分かった。

と、思っている方が、いらっしゃるかも知れない。しかし、それは、この記事を見たから思い出したのである。

こういことは繰り返し書かないと、人々の記憶に残らない。私が同じテーマを何度も繰り返し取りあげるのは、

そのためである。リマインダー(思い出させる物)としてお考え頂きたい。


メディアは「街角景気」という表現をよく使う。私どもは分かっているからいいが、

政府が正式に発表している統計としては、「景気ウォッチャー調査」である。

知らない人は「街角景気」=「景気ウォッチャー調査」であることが、分からないだろう。

正式の統計の名称を用いるべきだ。


さて、ここが内閣府のホームページである。そこから新着情報を見る。

すると、ありますね。景気ウォッチャー調査(平成21年6月)を開く。

まだ分からない。どうして役所のサイトというのは、奥の方まで、何度もリンクを辿らないと分からないようにしてあるのだろう。

経済統計である。公表資料であって、国家機密ではないのだから、もっと簡単に見られるようにして頂きたいものだ。


話がそれたが、このページの調査の結果 という文字があり、更にその下の、

統計表一覧(公表資料)のリンク先を見る。まだ分からない。

平成21年の「6月」を開くのである。それで初めて、

景気ウォッチャー調査(平成21年6月調査) 平成21年7月8日 にたどり着く。

しかし、見慣れない人は、ここまで来るだけでも大変だろう。

兎に角、次にいよいよ、数字を見ることができる。

調査結果(抜粋)(HTML形式)を見る。

そこで漸く、探していた数字を確認出来るのだ。

6月の現状判断DIは、前月比5.5ポイント上昇の42.2となり、6ヶ月連続で上昇した。

ウソではない。
1月 17.1

2月 19.4

3月 28.4

4月 34.2

5月 36.7

6月 42.2

しかし、私はここ数ヶ月、毎回書いているが、現状判断DIは50がニュートラルなのである。

50を下回っているということは、景気は変わらないまたは、悪くなっている、と考えている人の方が多いのである。

そして、内閣府自身、レポート上に書いている。
また、横ばいを示す50を27か月連続で下回った。

ね? つまり、まだ、景気は悪い。3ヶ月前と比べて、「変わらない」又は、「やや悪くなっている」「悪くなっている」と

考えている人の方が多い、という状態が2年3ヶ月続いているのだ。


白川日銀総裁などが繰り返しのべているが、昨年9月15日、リーマン・ブラザースが破綻してから、

かつて、世界中が経験したことがないほどの勢いで、世界景気は後退したが、その殆ど「フリー・フォール」(自由落下)

とも形容出来るほどの景気悪化のスピードは、やや弱まった、というだけのことである。


◆企業倒産件数過去最多。

政府は、やたらと景況感が「改善した」ことを、折に触れて強調したがるが、勿論選挙対策もあろう。

僭越だが、私がここで示したほど、「景気ウォッチャー調査」を詳しく点検する、一般国民はあまりいない。

景気ウォッチャー調査に関して言えば、街の人々の景況感が「相対的に」改善していること自体は、

「ウソ」ではないから、何とか、

「景気はよくなりつつありますよー。自民党の政策が効果があったんですよ」

という「印象」を有権者の頭の中に刷り込みたいのであろう。


だが、今日は、これも毎月一度、民間調査会社の東京商工リサーチと帝国データバンクが、前月(と今回は今年上半期)

の企業倒産件数を発表する。それに関する記事。
◆倒産、6年ぶり8000件超す=大型倒産で負債4兆円突破−09年上期--東京商工リサーチ(7月8日15時1分配信 時事通信)

東京商工リサーチが8日発表した2009年上半期(1〜6月)の全国企業倒産状況(負債額1000万円以上)によると、

倒産件数は前年同期比8.2%増の8169件で、上半期としては03年以来6年ぶりに8000件を上回った

負債総額は47.3%増の4兆6853億円で、5年ぶりに4兆円を突破。商工ローンSFCGや日本綜合地所など、負債100億円を超える大型倒産の増加が目立った。

産業別では景気悪化で需要が急速に減退した製造業が30.5%増の1454件。

市況の悪化が続く不動産業も25.3%増の346件と大きく増えた。

一方、建設業は公共投資の増加もあり0.9%減の2100件となった。
上場企業の倒産は18件で、上半期では02年の22件に次ぐ高水準。東京商工リサーチは

「大企業は資金調達環境が改善しているが、中小企業はこれから正念場。倒産は緩やかな増勢局面に向かう可能性が強まっている」としている。

6月単月の倒産件数は帝国データバンクによれば、過去最多。
◆企業倒産件数が過去最多…6月 帝国データバンク(7月8日22時10分配信 レスポンス)

帝国データバンクが発表した6月の全国企業倒産集計によると、倒産件数は前年同月比21.5%増の1294件となり、

13か月連続で増加した。集計基準を変更した2005年4月以降、倒産件数は過去最多となった

資金繰り難に陥る業者が相次ぎ、建設業の倒産が372件と集計基準変更後で最多。

半導体や自動車関連など、大手メーカーの減産が影響し、製造業の倒産も大幅に増加した。

緊急保証制度の利用が進んでいるものの、中小・零細企業は厳しい資金繰りが続いている。

ご自分で確かめたい方の為にリンクを貼っておく。

【帝国データバンク】

全国企業倒産集計2009年6月報 | 帝国データバンク[TDB]

全国企業倒産集計2009年上半期報 | 帝国データバンク[TDB]



【東京商工リサーチ】

2009年(平成21年)6月度 全国企業倒産状況

2009年(平成21年)上半期(1-6月) 全国企業倒産状況



調査対象、調査方法が、帝国データバンクと東京商工リサーチでは、当然異なるから、倒産件数の絶対値は異なるが、

傾向が全く同一であることが、別の会社によって、示されている。

明日の新聞は、多分、
街角景気、6ヶ月連続改善

と、「大本営発表」をそのままつたえるだろうが、本稿で述べたとおり、それは、

「相対的な問題」であり、今なお、ニュートラルよりも景況感は悪いこと。

企業倒産が6月は過去最悪(帝国データバンク)であり、景気が回復しているのではないこと、

をわすれないで頂きたい。

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