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2009年07月03日(金) |
【音楽】辻井伸行氏のピアノ演奏。 |
◆7月2日、NHK「クローズアップ現代」で辻井さんを取りあげていました。
辻井伸行氏が、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで優勝してから、3週間が過ぎた。
優勝直後に記事を書かなかったのは、何だか、DVDが跳ぶように売れた、とか、例によって日本人が、
よく分からないのに、盛り上がっていたからである。
そういう時に演奏評を書いても冷静に読んで頂けない。
7月2日のNHK「クローズアップ現代」でコンクール優勝後の辻井氏の活動を記録していた。
この様子はNHKオン・デマンドで見ることが出来る。
これを利用するには、まず、無料会員登録をして、ログインIDとパスワードを取得する。
そして、辻井氏の「クローズアップ現代」は、
心癒やす“至福”の旋律〜ピアニスト・辻井伸行で個別に24時間210円で、
ストリーミング配信を購入するのである。ダウンロードは出来ない。
◆ドイツ・ドルトムントのあまり有名ではない音楽祭で、彼は弾いた。始め、聴衆は冷ややかであった。
ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールに限らず、凡そコンクールで優勝するのは、
原則的にただ1人なのであるから(非常に例外的に1位が2人というケースがあったが)大変な快挙である。
だが、これは意地の悪いことを述べるのではなく、本当のことなので、敢えて書くが、
コンクールで1回優勝したぐらいで、世界での評価が固まるわけでも、輝かしい将来が約束された訳でも、全く、無い。
私は、以前から何度も書いているが、コンクールは、「瞬間最大風速」のようなものであり、
その日、その時、その場所で、弾いた参加者の中で、誰が一番上手かったか、によってのみ順位が決まる。
従って、(現実にはそういうことはないが)翌日、もう一回本選を実施したら、全く違う順位になる可能性は十分にあるのだ。
それでも、曲がりなりにも辻井君には「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール優勝者」というタイトルが付く。
これは、世界各地に名前が知られるという点、つまり「読んで貰えるチャンスが増える」という意味では有利であるが、
同時に「コンクール優勝者なのだから、上手くて当然」という、聴衆の期待が、心理的負担となる。
更に、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールというのは、ピアノに疎い私は初めて知ったぐらいで、
ショパン・コンクールやチャイコフスキー・コンクールほど「格が高い」コンクールではない。
書こうかどうしようか迷ったが、はっきり言ってヨーロッパ人はアメリカ人をバカにしている。
だから、アメリカのコンクールで優勝したからといって、無条件で好意的に迎えてくれる訳ではない。
「クローズアップ現代」では、コンクール後、辻井氏がドイツのドルトムントで開かれた、特別に有名ではない
「音楽祭」に招待され、リサイタルを開いた様子が、記録されていた。
ヨーロッパ人は、クライバーン・コンクールなど、全然知らず、辻井君のリサイタルのチケットは、
この音楽祭に招かれた全てのピアニストの中で、最も安かった。
◆「あまり期待していない」「つまらない演奏だったら途中で買える」といていた客がスタンディング・オベーション。
NHKが開演前に、来場した客の様子を探るべきインタビューしたら、
「今日、急に来られなくなった友だちからチケットを貰ったの。期待していないわ」
とか、
「つまらない演奏だったら、途中で帰るわ」
と、冷ややかな雰囲気である。ホールも狭い。
辻井君としては、珍しく、聴衆の冷ややかな、堅い空気を感じ取り、暫く弾くことが出来なかった。
漸く、ショパンのエチュード、作品10-1を弾き始めた。
NHKの映像は載せられないが、彼は今20歳だが、15歳の頃、ニュース・ステーションで同じ曲を生演奏したときの映像
Nobuyuki Tsujii plays chopin etude OP10-1
全ての音がクリアで、手、手首、腕、肩は勿論、全身のどこにも余計な力が加わっていないため、
めまぐるしい音の動きだが音色の美しさが、際だっている。15歳でテクニックは出来上がっていたのである。
最初は渋い顔だったドイツの聴衆も、直ぐに非凡な才能を理解した。
全てのプログラムとアンコールを弾き終わっても拍手が止まらない。
辻井君は、その場でリストのハンガリー狂詩曲第2番を弾くことを決め、華麗に弾き終えた。
ドイツの聴衆はスタンディング・オベーションで、彼を讃えた。
◆コンクール本選でベートーヴェンのピアノ・ソナタ「熱情を弾いているが、それは明日更新します。
流石に疲れてきた。
ハンガリー狂詩曲第2番はまたの機会として、ここは、あんまり録音が良くないが、
ラ・カンパネラをお聴き頂きましょう。こういうのが「ラ・カンパネラ」です。
La Campanella
フォルティッシモでも手や腕が不必要に大きく動いていない。
つまり鍵盤を「ブッ叩いて」大きな音をだすのではなく、その音を出すのに必要最小限の力のみを
加えており、打鍵の後に素早く力を抜いているのであろう。
こういう、ヴィルティオーゾ系の技巧曲ばかりでは、音楽性よりも、技巧に目と耳を奪われがちになるが、
クライバーンコンクールで、辻井氏は、ベートーヴェンの「熱情」を弾いていて、これが大変見事である。
一旦寝ますが、今日、後ほど更新させて頂きます。
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