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2009年06月28日(日) |
「米寿」の記念コンサート 室井摩耶子さん←すごいなあ。ベートーヴェンピアノソナタ32番を演奏なさったとのこと。 |
◆「米寿」の記念コンサート(NHK 6月28日 20時47分)
プロのピアニストとしては国内で最高齢となる88歳の室井摩耶子さんが、28日、
東京で「米寿」の記念コンサートを開き、熟練の演奏で観客を魅了しました。
室井摩耶子さんは大正10年生まれ。6歳でピアノを始め、24歳でオーケストラのソリストとしてデビューして以来、
60年以上にわたって世界を舞台に活躍してきました。
28日は東京・渋谷区のコンサートホールで88歳となった室井さんの米寿の記念コンサートが開かれ、
室井さんがバッハとベートーベンのピアノ曲を演奏しました。
中でも室井さんが長年にわたって研究を続けてきたベートーベンの「ピアノソナタ第32番 作品111」では、
88歳とは思えない力強い指使いと繊細な表現力で、優雅で情緒豊かな演奏を披露しました。
室井さんは今でもコンサート前は毎日8時間の練習を続けているということで、訪れた観客は、長い経験で培われた熟練の演奏に大きな拍手を送っていました。室井さんは
「88歳になり、体は動かないところも出てきましたが、演奏は毎日のように新しい発見があり、楽しくてしかたがありません。
これからもピアノで新しい表現を目指していきたいと思います」
と話していました。
コンサートに訪れた女性客は「私も81歳ですが、室井さんのすばらしい演奏を聴いて、まだまだやれると元気が出てきました」と話していました。
◆コメント:すごいなあ。
室井摩耶子さんのリサイタルは、正に今日(6月28日)代々木の白寿ホールで開かれた。
白寿ホールのスケジュールカレンダーに確かに載っている。
残念ながら、私は室井さんのピアノ演奏を聴いたことが無い。
敢えて冷徹なことをかくならば、プロのピアニストで、おカネを取って演奏をお客に聴かせているのであるから、
リサイタルを開いた演奏者が、88歳であろうが、何歳であろうが、
演奏の評価は演奏そのものによって為されるべきで、88歳でリサイタルを開いた「から」
それだけで、偉い、ということにはならない。
それは演奏家に対して失礼である。
このリサイタル、NHKで(他にピアノリサイタルを番組にするようなテレビは無いでしょう)テレビでもFMでも良いから、
是非放送して欲しい。
◆室井さんは、なんとブログも書いている。
室井さんのことは、恥ずかしながら、私は初めて存じ上げたので、調べたところ、
オフィシャルサイトがある。
しかし、それはどちらでも良いのであって、びっくりしたのは、
室井摩耶子さんは、なんと、ご自分で「室井摩耶子のピアニスト生活」というブログを綴っておられる。
読ませていただいたが、今日のリサイタルの向けての練習や音楽のことを淡々と綴っておられる。
ご本人には、日記を転載するご了解を得ていないのであるが、これは失礼ながら事後報告させていただくとして、
どうしてもご紹介したい。
5月18日のブログ「米寿」は次の通り。
1ヶ月前になりますが今年は米寿というので4月18日(わたしの誕生日)は家のなか中、花であふれかえりました。有難うございました。
でも日常はお祝いどころか6月28日の演奏会をめがけてベートーヴェンと悪戦苦闘してます。
彼の最後のピアノソナタOp.111は彼の53才の頃の作品ですが、今で言えばちょうど米寿くらいでしょう。
でも気難しいジイサマの頭の中は複雑で、何故こんなことを書いたのだろうと我が恋人ながらわからぬことでいっぱいです。
「ねえ ここどうして3ページにわたってPとPPばかりなの? そしてソプラノのこのチョロチョロはしりまわるのは なーぜ?」
「そんなこと 知るか!」と彼は日本の男性みたように威張りかえって素っ気無い。
でも音楽会までにはウンといわせるぞ! この頃の女性は強いんだから!
などとあらゆる兵器を動員して… つまり頭と耳と指にハッパをかけています。
6月28日の白寿ホールの音楽会には是非みなさん応援にきてくださいね。
室井摩耶子
何十年もこのソナタを弾いて来られたであろうに、
何故こんなことを書いたのだろうと我が恋人ながらわからぬことでいっぱいです。
という、この真摯な言葉。
また、5月25日、約1ヶ月まえのブログ「5月の庭 」には、
お花がエネルギッシュに咲き誇った4月も過ぎてお庭も大分落ち着いてきました。
気難しかった恋人ベートーベンとも漸くベートーベン語で話が出来るようになりホッといたしております。
私のパソコン技術も少し上達していろいろな検索も出来るようになり様々な音楽がインターネットに現れてくるようになり面白い経験を一杯してます。
例えばバッハのブランデンブルグ・コンツェルトの5番などアバドのそれとグレングールドのそれではうける印象が
これでも同じ音楽かとおもうほど違います。アバドのは聴いていると胸がワクワクしてきてこちらも踊りだしたくなるようなのに、
グールドのはひたすら音楽に沈みこんでいます。
時々自宅でお弟子さんやファンの方たちと聴き比べてどちらがいいかと評定しますが、
こればかりは結末のつけようがありません。楽譜はおなじなのに音楽ってなんて不思議なものでしょう。
私は一音ずつに心がありこちらの心に話しかけてくるのが音楽の絶対条件と思っているのですが、
数多くの演奏を聴くと彼らのもっている演奏哲学が聞こえてきて興味津々です。
では私が6月28日にはどんな音楽の姿をもって皆様とお話したいとおもっているか?
ぜひ音楽会場にきてください。実は私自身もどんな音楽の姿になるか?と思っているところなのですが・・・・・・
室井摩耶子
こういう方、尊敬しますね。いまだに音楽の忠実な表現者であろうとする誠実さと、お人柄が伝わってきます。
楽譜はおなじなのに音楽ってなんて不思議なものでしょう。
という、謙虚なお言葉。
そして、室井さんは好奇心が旺盛なことは、
私のパソコン技術も少し上達していろいろな検索も出来るようになり様々な音楽がインターネットに現れてくるようになり面白い経験を一杯してます。
これには驚きました。多分80歳を過ぎてから、いや、比較的最近、パソコンとネットを使うことを
始められたのでしょう。
いやはや、こういう方がおられるとは、驚嘆と尊敬を禁じ得ません。
◆因みにベートーヴェンのピアノソナタ第32番作品111とはこういう曲です。
ベートーベンのピアノソナタ第32番作品111とは、ベートーヴェンの最後のピアノソナタです。
ベートーベンの後期のピアノソナタには難曲が多い。この作品111も例外ではありません。
32番は二楽章形式ですが、楽譜をちょっと見ただけで、ピアノが弾けない私にすら、その演奏の難しさは
想像に難くありません。見てみますか?
第一楽章、Maestoso...Allegro con brio ed appassionato
第二楽章、Arietta(5段目からが、Arietta)
ね?半端じゃないでしょ?
とは言っても楽譜だけ見てもどんな曲か分かりませんから、私の手持ちの中から、ブルーノ・ゲルバーの演奏で、
第一楽章だけ聴いて頂きましょう。
ピアノ・ソナタ第32番ハ短調op.111 より、第一楽章。
Maestoso...Allegro con brio ed appassionato
お聴きの通り、ベートーヴェンのピアノ曲の多くに言えることですが、ダイナミックレンジ
(最強音と最弱音の差)が大きく、また、フォルティッシモで鳴らすところは本気で「ガーン」と鳴らさないと、
それらしく聞こえません。「ガーン」と書きましたが、誤解しないで頂きたいのですが、「粗野」であってはならない。
しかし、ある種の「パワー」「エネルギー」を感じさせなければいけません。だからといって、音が濁ってはいけない。
勿論汚くても、割れてもいけない。
ピアノの鍵盤を「グワッ」と掴むような力、しかし、けっして必要以上に無駄な力が入ってはならない、
と大変難しいのです。大昔、「ベートーヴェン弾き」といえば、ウィルヘルム・バックハウスという、
おっかない顔をしたおじさんですが、如何にもこういう人が弾くとぴったりだな、と思わせるようなピアニストでした。
これを女性が弾ききるのは大変だと思いますが、弾ける人は弾けるんです。
室井さんの演奏を聴いていないから、くどくなりますけども、その演奏に対する評価は、今の私には不可能ですが、
このニュースを読み、ご本人のお書きになった文章を拝読して、(失礼な書き方ですが)大変興味を持ったので、記事にしました。
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