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2009年05月25日(月) |
医薬品ネット販売規制取り消し求め行政訴訟←パブリックコメント8割は「規制反対」だが、押し切った厚労省 |
◆記事1:「ドラッグストアは安全なのか」 医薬品ネット販売規制取り消し求め行政訴訟(5月25日16時12分配信 ITmediaニュース)
医薬品のネット販売規制には明確な理由がなく、営業権の自由を保障した憲法に違反するとして、
ネットで医薬品を販売するケンコーコムとウェルネットは5月25日、ネット販売などを規制する
厚生労働省令の取り消しなどを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。
厚労省はネット販売規制を見直さず、離島などを対象に2年間の経過措置を盛り込んだ上で省令を交付する方針だ。
会見したケンコーコムの後藤玄利社長は「ネット販売にこだわるのは、ドラッグストアなどの販売方法が
とうてい安全とは言えないと感じているからだ。客が自分で薬をレジに運び、バイト店員が売るドラッグストアは『対面販売』と言えるのか。」と批判。
コンビニエンスストアが薬剤師不在でも医薬品販売ができるのに対し、ネットでは薬剤師がいても販売できないのは不公平であり、
「省令が安全を基準としたものではないことを露呈している」などとして、販売継続を法廷で訴えていく。
◆記事2:「このままではPSE法の二の舞」 医薬品ネット販売継続求め国会議員と有識者らアピール(5月22日11時45分配信 ITmediaニュース)
「医薬品ネット販売規制は過剰。通販継続に向け、国会で改めて議論を」――6月1日施行予定の改正薬事法に伴う省令で、
一般用医薬品(大衆薬)の通信販売が規制される問題で、与野党の若手議員と浅野史郎・元宮城県知事など有識者、消費者が5月21日、
衆院議員会館に集まりネット販売継続を強く訴え、国の姿勢を批判した。
厚生労働省は「対面販売でなければ安全性が確保できない」として、ネットや電話などによる大衆薬の通信販売を省令で規制する。
ネット業界や消費者などからの反発を受けて検討会を開いたが、議論はまとまっていない。
厚労省は経過措置として、離島の居住者などに限って2年間、通販の利用を認めるよう提案しているが、
このままでは大半の人がネットで大衆薬を購入できなくなる。
「この省令には与党でも疑義を持っている」――呼び掛け人・自民党の世耕弘成・参院議員はこう口火を切った。
省令施行まで時間がないが、まずは現行のままネット通販が継続できるよう訴えながら、国会で議論の俎上(そじょう)に載せたい考えだ。
ただ与野党とも、「党内に業界の権益を守ろうとする人やネットに偏見を持つ人がかなりいる」(民主党の田村謙治・衆院議員)ことや、
衆院選挙前というタイミングもあって党として一枚岩にはなれず、超党派で活動することを決めたという。
呼び掛けに応じて集まった議員は、2人のほか、自民党から山内康一・衆院議員、
民主党から鈴木寛・参院議員、市村浩一郎・衆院議員、鷲尾英一郎・衆院議員の計6人。
「国会などで、きちんと議論する期間を設けるべき。このまま突然ネットで買えなくなれば、
PSE法(電気用品安全法)の二の舞になる」と市村議員は懸念。鈴木議員は「役人の暴走を止めたい」と話す。
●「国内の通販で買えないなら、海外サイトで個人輸入する」 障害者の声
ネット通販は外出しなくても薬が購入できるため、四肢や視覚などに障害を持つ人には特に便利だ。
新型インフルエンザの流行で外出を控えている消費者も通販なら安心して利用できる。
薬品パッケージだけでは分かりにくい副作用もチェック可能だ。
足に障害があり、歩行ができないという岡野圭さんは「規制は障害者の生活クオリティを下げる」と訴える。
「わたしが店舗に薬を買いに行こうとすれば、車に乗って駐車場のあるドラッグストアに行き、
障害者用駐車場が空くまで待ち、車いすで店に入り、と1日仕事になる。ネットの薬局ならその苦労なく購入でき、
効能や副作用も自分で確かめられる」。岡野さんは、国内でネット通販が禁止されれば海外のECサイトで個人輸入すると話した。
視覚障害者の志摩撤郎さんも、「薬局でものを買うのは困難だし、誰かに購入をサポートしてもらうとプライバシーが失われる。
ネットとPCを使えば自力で情報を得られ、失った機能を取り戻せる。ネット通販の禁止は障害者の尊厳を踏みにじっている」と訴える。
●新型インフル流行でネット通販が本領発揮
厚労省検討会のメンバーで、オブザーバーとして参加した楽天の三木谷浩史社長によると、
新型インフルエンザの流行に伴い、楽天市場で神戸地域からの購入が倍増したという。
「新型インフルエンザのような問題が起きた時、薬局に買いに来なさいというのは逆効果ではないか」(三木谷社長)
(中略)
●消費者も反対した「おかしな」省令がなぜ 「与党に見えないプレッシャー」
参加した全員が、「ネット通販にも確かにリスクはあるが、そのリスクは対面販売と大きく変わらず、
利便性の方が大きい。『通販は危険』という厚労省の説明は納得できない」という意見で一致。
反論材料は見当たらず、浅野さんは「どう考えても理屈に合わない」と首をひねる。
それでも強行されつつあるのはなぜか。明らかにおかしなロジックの省令に対して、与党が一枚岩で反対できないのはなぜか。
呼び掛け人の世耕議員が「参加を議員に呼び掛けるのに苦労した。ここに来るには与党的には覚悟がいる」
と話したのはなぜか――浅野さんが世耕議員に詰め寄るひと幕もあった。
世耕議員は「見えないプレッシャーがあった」と話すにとどめ、具体的な説明は避けた。
代わって三木谷社長が「ネット通販禁止は、ネットを知らない人たちが4年前から決めちゃった。
決めた人たちや、決めた時に後ろにいた人たちが対面販売にこだわっている」ことが背景にあると解説。
衆院選が近いという時期の問題もあり、三木谷社長が協力を呼び掛けた議員の中には「選挙が近いから動けない」と断った人もいたという。
◆コメント:厚労省がパブリックコメントを募集したら、8割は「規制反対」だったのです。
この話は、最初は舛添厚労相も疑問を持っていて、審議会でよく話し合うように指示していたが、
いつのまにか、舛添は、インフルエンザ騒ぎに忙しく、或いはそれを隠れ蓑にして、この話に登場しなくなった。
厚労省は、世論の反発が強いので、一応、「公平さ」を装うために、5月12日〜18日まで、一般からパブリックコメントを募集した。
9824件の意見が寄せられた。85%が「規制に反対」だったが、結局、厚労省は6月1日からの改正薬事法の施行を決定した。
記事2に書かれているとおり、厚労省がネットによる医薬品の販売を規制する理由は、
対面販売でなければ安全性が確保できない
というものだが、何を今更、と言いたい。
街の薬局、特に最近の大規模ドラッグストアで、私は風邪薬や鎮痛解熱剤、口内炎用のステロイド軟膏、
などを買ったことが何度もある。確かに対面販売だったが、薬の副作用の説明を受けたことはない。
薬にアレルギーがないか?と質問された事もない。他に飲んでいる薬はないかどうか聞かれたこともない。
あなた、市販薬を買ったときに薬剤師からそんな厳密な応対をされたことあります?ないでしょう?
確かに市販薬だって、極端にオーバードースすれば肝障害を起こして死亡するかも知れないが、普通に服用して、
深刻な副作用の心配がないから、処方箋が要らない「市販薬」として売られているのである。
だから、消費者の安全確保の為に対面販売が必要で、インターネットや、電話注文はダメだ、という厚労省の論理は、
如何にも官僚的形式主義だ。
◆ネット販売規制は1類、2類、だけだが、多くのネット・ドラッグショップはサイトを丸ごと閉鎖しようとしている。
改正薬事法では市販薬を危険性の高い方から、1類、2類、3類に区分している、7割方(風邪薬や、胃腸薬、鎮痛剤など)は、
1類か2類で、これらがネット販売禁止となる。
ところが今、インフルエンザが流行っている。手指消毒剤のエタノール(消毒用アルコール)や塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)は
第3類で、引き続きネット販売可能なはずである。しかし、ネット・ドラッグショップを見ると分かるが、多くの店は、3類だけ売っても仕方がない
と考えているようで、店のサイトを丸ごと閉鎖しようとしている。
閉鎖になる前に買っておこうという人が殺到したのだろう。ベンザルコニウムのエタノール溶液(手指消毒剤)の
ラビネット、ウェルパスはどこでも売り切れだ。
これらは、街の薬屋へ行けば分かるが、殆ど売っていない。
病院を取引先に持つ、消毒液専門の製薬会社にコネでもないと入手出来ない。街で売っていたとしても何しろ液体だから、
まとめて大瓶を買ったら重い。ネットで買うのにぴったりなのだ。
本来6月1日以降も買える、しかも、今のようにインフルエンザが問題となっているときに消毒薬が買えなくなる。
インフル騒ぎが一段落すれば、買えるようになるかもしれないが、一段落してから買えるようになっても、あまり意味が無い。
何故、よりによって今、このような非常事態に、杓子定規に従来の決定通りに改正薬事法を施行するのか。
記事1における、ケンコーコム社長の意見も筋が通っている。今、国はコンビニで薬剤師がいなくても、
市販薬の販売を許可しようとしている。「対面販売」でありさえすれば、コンビニの薬学の知識の無い兄ちゃんが売っても、
ネットで売るよりは安全だというのか?そんな馬鹿なことがあるはずがない。
とにかく厚労省がパブリックコメントを受け付けたのもポーズで、どうやら、記事2の最後のあたりが、
真実の核心を突いているようだ。
世耕議員は「見えないプレッシャーがあった」と話すにとどめ、具体的な説明は避けた。
この国は主権者たる国民のためにではなく、ヤクニンや政治家のセンセーたちが美味しい思いをすることを至上課題として、
運営されているのである。
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