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2004年05月25日(火) |
「家族会に批判メール 「首相にねぎらいない」」 想像力、ということ。 |
◆記事:「家族会に批判メール 「首相にねぎらいない」」
拉致被害者家族会の支援団体「救う会」事務局(東京)に「5人の子供を連れ帰った小泉純一郎首相へのねぎらいの言葉がない」「首相への暴言があった」などと家族会メンバーに対する批判メールが殺到している。
小泉純一郎首相が訪朝を終えて家族会のメンバーらと面会した22日深夜から届き始め、25日までに七百数十件に上った。
大半が批判で、中には「イラクで人質になった日本人と同じで、自分のことしか考えていないのか」とのメールだった。25日は「家族会が怒るのは当然」などと支持する内容が約半分あったという。
家族会には事務所がないため救う会にメールが送られているらしい。
小泉首相との面会で、家族会メンバーは「最悪の結果」「安否不明者の問題が先送りされた」などと訴えていた。
救う会の平田隆太郎事務局長は「メンバーは、首相の再訪朝への期待が大きかっただけに厳しい発言が相次いだが、首相に『5人が帰ってきたことは良かった』『お疲れさまでした』とも発言している。世間の誤解がある」と話している。(共同通信)[5月25日20時38分更新]
◆コメント:しかしねえ。家族は30年、子供がどうなったか分からないのだから。
日本では、常に、卑屈にしていないとたたかれる。拉致被害者会は「このたびは、娘や息子のことで、小泉内閣総理大臣に大変なご迷惑をおかけいたしまして・・・」という態度をとっていれば、「うむうむ」となるが、ひとたび少しでも高飛車に「首相には、プライドがないのですか?」とやってしまったので、こういうメールが殺到するのだろう。
家族会にメールを送る人というのも、ずいぶんヒマな人だと思うけれども、何より、いままでのいきさつを考えてみなければならない。
拉致被害者の家族は1年8ヶ月前に小泉首相が訪朝するまで、何十年もの間、外務省や、代議士に何とかしてくれと頼み続けても無視された。そして、ようやく、一昨年、一回目の小泉首相の訪朝で、行方が分かるかとおもったら、「死亡している」「自殺した」「遺骨を埋めた墓はダムが決壊してながされてしまったので、どこに行ったか分からない」という、とても信じられない答が返ってきたわけである。
若い人は分からないかもしれないが、子供がいる人なら分かるだろう。自分の子供がある日突然いなくなって、どこにいるのか分からない。いや、まず、間違いなく飛行機で2時間ほど飛べば行くことができる、北朝鮮という国のどこかにいるのである。そこまで分かっていてどうすることも出来ない、苦悩と焦燥・・・。地獄の苦しみだと思う。
普通、それはもう、いてもたってもいられないですよ。私だったら、外務省の建物の前に、毎朝たって、太平洋・アジア局長が出勤してくるたびに、胸倉をつかんで「何とかしろ、この野郎」と言ってやりますよ。親っていうのは、そういうものですよ。
だから拉致被害者の気持ちを想像すれば、こうなる。
「3日前の小泉・金正日会談で、1年半前に適当な答しかもらえなかった、残りの10人に対して、石にかじりついても、何とかはっきりした答を金正日から引き出してこなかったのだ。所詮、小泉首相にとって、訪朝は参院選前に5人の家族を連れて帰れば、支持率が上がる、その道具としか思っていないのだろう。だから、このタイミングで、行ったのだろう。5人の家族が日本に来たのは良いことだが、それならなんで、1年8ヶ月もほったらかしにしておいたのだ。安倍前内閣官房副長官が北朝鮮との窓口だったのに、幹事長にしてしまうし。」
それで、被害者の家族から見て恨み重なる金正日に、あっさり、食料と資金援助を約束して来たわけでしょう。それは、腹が立つと思いません?
たしかに、首相が日帰りで帰ってきたときに、最初に今日はご苦労様でした、ぐらい云ってもよかったかもしれないけど。拉致被害者家族は数十年、毎日苦しんでいるわけでしょう。それと、小泉首相の疲労はなんて、やっぱり比べ物にならないよ。首相は、1年8ヶ月で2日間だもの。
◆いつも、誰かを攻撃していないと気がすまなくなってしまった、日本人。
しかし、なんだか、日本人ってこのごろやたら攻撃的になりましたね。。イラク人質事件、年金未納のときの、管直人、そして、今度は拉致被害者。誰かに的を絞って集中砲火を浴びせて鬱憤晴らしをする。常に誰かを吊るし上げていないと気がすまない。しかも、怖くない相手ばかり。現実にはありえず、仮定上の問題だが、もし、イラクで人質になったのが、暴力団の何とか組の組長だったら、同じように、「死ね」という電話、しただろうか?
イラク人質の高遠さんなんて、すっかりPTSDとパニック障害を併発してしまったではないか。精神的障害を負わせているのだから、れっきとした傷害罪だ。取り返しのつかないことをしているのである。あのときに「死ね」などの手紙やメールを送ったものは、全員共同正犯だ。しかし、匿名性、集団性のある犯罪なので、一人一人には、罪の意識が無い。あのとき電話した人々は、多分、今はそんなことをしたのはすっかり忘れているのだろう。
想像力を使って人の立場とか、苦しみとか、痛みとかを理解しようとしないのは、教養の無い人間だ。