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2009年04月15日(水) |
「15.4兆円の追加経済対策」に関する一考察。 |
◆記事:追加経済対策:政府が決定 過去最大規模でGDP2%上げ(毎日新聞 4月11日 0時42分)
政府・与党は10日、15.4兆円の財政支出を行う過去最大の追加経済対策を決定した。
事業規模の総額は56.8兆円で、09年度の実質国内総生産(GDP)の成長率を2%程度押し上げ、
40万〜50万人の雇用創出効果が見込まれる、と説明している。
対策を発表した麻生太郎首相は「国民生活を守り、危機に対処するため断固とした対策を打つ」との決意を述べた。
経済対策は失業者の再就職支援や中小企業の資金繰り支援を大幅に拡大。
環境分野など未来への成長戦略として、電気自動車などの環境対応車や省エネ家電への買い替え促進のほか、
太陽光発電の普及拡大策を盛り込んだ。また、地域交通の活性化や障害者の自立支援などの対策にも取り組む。
◇追加経済対策の主な施策
【自動車・家電】
・環境対応車(エコカー)への買い替え促進に最大25万円(軽自動車は12万5000円)を補助
・省エネ家電を購入すると価格の5〜13%相当を「エコポイント」として補助。地デジ対応テレビは最大で3万9000円のポイントに
【住宅】
・住宅購入時に限り、贈与税の非課税枠を500万円拡大して610万円に
【雇用】
・「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」を7000億円で創設。雇用保険の対象とならない人たちを職業訓練、住宅補助などで総合的支援
・派遣労働者保護の強化
【子育て支援】
・就学前3年間の幼児を対象に第1子から1人当たり3万6000円を支給
【企業の資金繰り支援】
・中小企業の資金繰り支援で緊急保証枠を10兆円追加
・日本政策投資銀行などの長期資金貸付枠拡大
【株価対策】
・政府の関係機関が株式を買い取る仕組みを整備。政府保証枠50兆円
◆コメント:あのね。規模が大きいのは仕方ないけど、弱者より強者を優先しているのですよ。そこが気に入らん。
麻生政権にとっては、「空前の規模」15.4兆円の追加経済対策が私の気に入ろうが入るまいが関係ないことは当然ですが、
所見を述べます。
景気を回復させるためには、個人所得が増加しなければ効果が無いのです。
財政支出で国が需要を生み出し、減税で国民所得を増やし、国民の総支出を増やさないと、景気は良くならない。
それから、まず、これだけ不況になっているのだから、経済的弱者を救済するべきなのです。社会保障は小泉・竹中時代に
ぶっ壊されたけれども、それの再構築におカネを使って欲しかったですね。
「エコカーへの買い替え促進」
上述のとおり、「エコカーへの買い替え促進補助」っていったって、給料が減っているんだから。
これは、自民党に献金している自動車会社から頼まれたんでしょうね。
「省エネ家電を購入すると価格の一部補助」も、家電メーカーから頼まれたのでしょうね。
一見、環境に配慮して良いじゃないか、と思わせてますが、殆ど、見え見えです。
「贈与税の非課税枠を500万から610万円に拡大」、というのは、中途半端ですが、ある程度資産のある、
「金持ち」優遇なんですよ。そう言うことよりも、今は住居を失っている人がいるんだから、
その人達の住むところを確保するべきですね。
まず、弱者を先に考慮すべきなのに、金持ち優遇が先に来ているところが良くないです。
金持ちをイジメろって訳じゃないですが、とりあえず困ってないんだから、後でいいんですよ。
次、雇用対策。
「緊急人材育成・就職支援基金を創設。雇用保険の対象とならない人たちを職業訓練」って、これは、企業におカネが
渡されるわけです。失業者が大勢いるのだから、雇用保険の対象にならない人を訓練する前に、まず、雇用保険の対象を
拡大すればいいでしょ?失業して、ホントにカネが無くて自殺している人がいるのだから、そういう人におカネが回るように
するべきなんですけど、まず、企業に人材育成基金からおカネを渡してって、育成するまでに餓死しちゃうでしょ?
その次。「子育て支援」。
「就学前3年間の幼児を対象に第1子から1人当たり3万6000円を支給」。支給対象を第一子にまで拡大したんですね。
しかし、ここには書いてないけど、これは今年度(平成21年度)1年限りの時限措置なのです。子育て支援としても、
景気対策として、何らかの効果があるとは思えません。
「企業の資金繰り支援」。
「中小企業の資金繰り支援で緊急保証枠を10兆円追加」、だそうですが、コメントのはじめに書いたとおり、
企業の生産が増える見込みがなければ、つまり総需要が増える見込みがなくて、作っても売れそうになければ、
銀行からおカネを借りて設備投資したり、原材料を買ったりする必要がないのです。
需要がないところで、銀行の尻をいくらひっぱたいても、借りる人がいないですよ。
◆結論:景気対策にならないと思います。
以上、ざっと見たように、「史上空前の15.4兆円」の使い方がまずい。
国が需要を作らないとダメです。
国債をこれ以上発行して、財政健全化から遠のくわけにはいかないといっていたのが、竹中平蔵ですが、
結局、国債発行枠の公約を破って、景気が上向いたんです。小泉・竹中は、財政支出を減らして、改革をすすめろ
といって、不景気になったのです。失敗に気付いて、「改革路線」を緩めたから、景気が回復したんです。
国民の多くはそこら辺がわからないですから、竹中平蔵、「サンデープロジェクト」に出てヘラヘラしてますが、
私に言わせれば、
お前さん、よく人前に顔が出せるな?
という立場の人ですよ。
今は兎にも角にも「改革路線」の逆をやらないとダメです。
プライマリー・バランス基礎的収支の均衡、ということがしきりにいわれます。
国の借金をこれ以上増やして良いのか、ということがよく言われますが、言っているのは、不況になっても給料が減らない財務省の役人です。
こんな大不況のときは、もっと公債を発行しても、財政支出を増やし、需要を創出するべきです。
また、「国の借金が増える」と言うけれども、国の借金というのは、会社が銀行からカネを借りるのと違います。
公債という形で、国民から借金をするわけです。公債の発行残高が増えるということは、
その分、国民が公債を買って国民の金融資産が増えるのですから、「日本が倒産する」ということは無いのです。
「将来の世代にに負担を押しつけていいのか?」とか、今はそういうことを言っている場合ではなく、
くどいようですが、日本国が需要を創り出して、経済活動を活発化させないと、国民所得も増えない。
したがって、家計の消費も減る一方。負のスパイラルに陥っていくばかりです。
15.4兆円の使い方は、正しいと思えません。
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