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JIROの独断的日記
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2004年04月15日(木) 「蘇生40分、外傷性心停止から生還 滋賀医大 後遺症なく退院」医療過誤だけではなく、成功例も伝えなければ。

◆記事:蘇生40分、外傷性心停止から生還 滋賀医大 後遺症なく退院

交通事故による心停止後、滋賀医科大病院で40分間の心肺蘇生術と集中治療を受けた結果、奇跡的に生還した大学生が今月初め、神経系の後遺症もなく退院した。昨年、国際標準の外傷救命法を導入した同病院救急集中治療部は「院外の救急隊、院内の救急医療チーム一体となって取り組んだ新外傷救命法の成果。新救命法の普及をさらに図りたい」という。

欧米ではBTLS(初期外傷救命法)、ATLS(2次外傷救命法)など標準化された外傷救命法が普及しているが、日本では昨年から、救急隊員に対するJPTEC(日本救急医学会)、救急医らを対象にJATEC(日本救急医学会、日本外傷学会)などを中心に講習を始めたばかり。

外傷治療は、適切な処置法を訓練されていないために生じる「防ぎうる死」も多く、救命できても心停止後、脳にダメージを受けるため後遺症があるケースが多い。40分間も心肺蘇生術の後、中枢神経系を無傷でリカバリーした例は極めてまれ、という。 (後略) (京都新聞)[4月15日16時2分更新]



◆コメント:人間、失敗を責められてばかりでは、やる気をなくす。

ここ数年のマスコミの風潮として、医療過誤や、それにまつわる医療訴訟の話題が好んで取り上げられ、たいていのケースでは、医療従事者側が「悪者」にされている。そういうニュースが連日のように流れると、あたかも、全ての医療機関は危険な場所であるかのような印象を受ける。

しかし、改めて書くまでもなく、日本中の医院、診療所、病院で、毎日何十万人もの日本人が医療従事者による治療を受け、大部分のケースでは、無事に病気や怪我から回復しているはずである。ところが、報道が世論を誘導すると、その「大部分のケース」が大衆の意識から捨象されてしまう。

そのため、すこし病気の回復に問題があったり、薬の副作用が強いと、「これは医療過誤ではないか?」と騒ぎ出すのである。

これが極端になったのがアメリカで、ちょっとしたことですぐ裁判沙汰にする。

そのため医師はすっかりやる気を失い、たとえば、胃がんの手術で開腹してみて、すこしでもガンが進行していると、何もせずに、閉じてしまうのだと言う。そこで、下手にメスを入れると、後で患者が死んだときに、カルテを見られて、「この時余計なことをしたから、早く死んだのだあ!」と遺族から訴えられるのである。確かにこれでは、やってられねえよ、という気持ちになるだろう。

人間を気持ちよく働かせようと思ったら、褒めなければいけないということは、だれでも知っているはずなのに、なかなか、実践できない。人を褒めることは、叱ったり、文句をつけることよりも難しいのだ。

日米開戦時の連合艦隊司令長官、山本五十六の、「やってみせ,言ってきかせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。」という言葉は有名である。


◆ドリンカー曲線によれば、通常、心肺停止5分後に人工呼吸をしたのでは、25%しか助からない。

救命救急の常識なのだろう。あちこちに出てくる。「ドリンカー曲線」。

1966年にアメリカのドリンカー博士がWHO(世界保健機構)に報告した、呼吸停止後、人工呼吸を始めるまでの時間と、蘇生の可能性をグラフにしたものだそうで、2分以内なら、90%だが、5分経過すると、生存率(正しい用語法かわからない。 蘇生率というべきなのだろうか?)は、25%に落ちてしまう、というのが、30年以上世界の常識だったようだ。(因みに、全く余談だけれども、このドリンカー博士のことを調べようとしたのだが、何処を見ても、「アメリカのドリンカー博士」としか記されていないのが、可笑しかった)

しかし、新しい救命法が、考案されて、従来では助からなかったような患者さんが滋賀医大で、助かった、というのがこの記事。これは明らかに医学の勝利で、もっと大きく取り上げても良いと思うのだが、この記事のソースは地方紙の京都新聞である。全国紙を検索したけれども、取り上げていない。

そして、この記事自体、ちょっと雑なんですね。京都新聞さんが。いい話なのだから、取り上げたのはいいことなんだけど、もう少し、内容を詳細かつ正確に書いて欲しかった。そこが惜しい。

「院外の救急隊、院内の救急医療チーム一体となって取り組んだ新外傷救命法の成果。」としか書いていない。具合的にどういう風に新しい治療法なのか、全然分からない。それから、

「交通事故による心停止後、滋賀医科大病院で40分間の心肺蘇生術と集中治療を受けた」

とあるけれども、よく読めばわかるが、心肺停止後、蘇生術を受け始めるまでに、どれぐらい時間が経過していたのがわからない。心肺蘇生術を受けていた時間が40分だということが、分かるだけだ。だから、「ドリンカー曲線」と比較できない。うーん。ちょっと残念。

これが、医療過誤だと、やたらと細かく調べるでしょう?ならば、成功例も正確、かつ、詳細に報道してあげなければ不公平だ。こういう時、英語で、It's not fair!と言うのですね。


◆イラク日本人人質解放

今、速報で流れている。

解放されたのは良いが、つい数時間前まで、ほとんど進展が無いような話だったのに、誰が、いつ、誰に対して、どのように、何をした結果、解放されたのか。あるいは、何の理由もなく突然解放されたのか。その辺りの背景が分からないので、コメント不可能。


2003年04月15日(火) 犯罪の被害者を非難する人間の心理
2002年04月15日(月) 登録しちゃった

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